どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

同じ釜の飯を食べたあの仲間も…シリーズ第2段~相撲部仲間の現代(いま)~「ブログ開設七ヶ月記念増刊号」

亀田のお婆ちゃん家へ洗濯機の配達から戻ってきた虎之助とジバタ電器店の跡取り息子「幸信」

昼飯を一緒に食べようと幸信から強く勧められるものの、遠慮してしまい今一つ乗り気になれなかった虎之助

幸信のお袋さんに何て言ったら良いのだろうかと、少し悩みながらジバタ電器店の扉を潜った

幸信のお袋さんと暫し昔話で盛り上がっていると、奥から親父さんが中洲のお得意さんの家に行くために出てきた

…しかし
ひょんな事から親父さんとお袋さんが意見の食い違いで口論になり、突如夫婦喧嘩が始まったのである…

虎之助がどうにか落ち着かせようと二人を宥めるものの、お互いが睨みあったままで険悪な表情をしている

そんな緊迫した雰囲気の中、跡取り息子の幸信が店に戻ってきた

店に入った幸信の第一声は
「お母さ~ん!腹へったけん早よ飯にしてくれや!」


二人が喧嘩していようが何も気に止めない幸信の図太さに少々呆れながらも感心してしまう虎之助なのであった

ジバタ電器店の跡取り息子として両親から大事に育てられてきた幸信

長男で一人息子の影響か、甘やかされすぎて育った幸信には、夫婦喧嘩の問題なんてどうでも良く、早く美味しいごちそうを食べる事で頭がいっぱいなのだ

この後、信じがたい程の幸信の甘えっぷりに虎之助は遭遇する事となるのであった…


幸信
「お母さん!もう飯出来とるんやろ?
虎助と食べるんやけん、早よぅ飯ついどってくれよな!」

ママン
「は~い、はいはいはい、もうご飯出来とるけんね、すぐご飯ついどってあげるからね~」

パパン
「じゃあ行ってくるけんの!」

幸信の親父さんが不機嫌さながらお袋さんにそう言うと

ママン
「はいはい、どうぞお好きなように!行ってらっしゃい!」

と、冷たく言い放った

パパン
「…ったく!どっちが甘やかしてきたんだかっ…!」

幸信の親父さんは、吐き捨てるような台詞を残して店を出ていった

幸信
「お父さぁ~ん♪午後から仕事頼んだよ~♪」

親父さんに聞こえているかどうか定かではないが、幸信は怒りながら店を出て行った親父さんに対しても余裕寂々で伝えていた

幸信
「さ!虎助!腹へったろ!飯食お!飯♪飯♪」

虎之助
「え~…と、では…お言葉に甘えて…
よろしいでしょぅ~かぁ~…」

私は控えめにしながらお袋さんの顔色を伺う…

ママン
「もぅ~、そんな遠慮せんでえぇ~のよぉ~、さ!上がって上がって!炊きだちのご飯でお寿司作ったけんねぇ~♪」

さっきまで険悪な表情を浮かべていたお袋さんだったが、また平静を装い私をお昼ご飯に招いてくれた

…無理しているのが丸解りで少々後ろめたくなる…

それに対して全く気にする素振りも見せない幸信は「あぁ~あ!腹へったなぁ~!」と、まるで学校から帰ってきた子供のように靴を雑に脱ぎ捨てて奥の台所へ入って行った

その後ろ姿はずんぐりむっくりと太っており、丸みをおびた背中にお相撲さんのようなお尻、程好い筋肉と脂肪がついた太い腕、体重は私とさほど変わりはないものの、幸信は骨格と骨盤が生まれつき広いため、横に並ぶと幸信の方が大きく見える


幸信
「虎助~♪早よおいでぇ~や♪」

奥の台所から幸信の呼ぶ声が聞こえてくる

ママン
「さ!虎君も上がって上がって!」

私は二人に言われるがまま靴を脱いで奥の台所へお邪魔する事に…

靴を揃えようとすると、お袋さんが「えぇんよ!えぇんよ!おばちゃんがやっといてあげるけんね!」と言って私の靴と幸信の靴を揃えてくれた

…こんな事になるのであれば、もっと綺麗な靴を履いて来れば良かったと後悔する…

そして…のそのそと奥の台所へと案内された私は思わず絶叫した…

私が見たその光景…

それは…

これから結婚披露宴でも開くのか!?と言わんばかりに並べられた超豪華な御馳走だった…

豪快に盛られたフライドチキンの山

大きなお皿に美しく彩られた新鮮な鯛の刺身

さらに結婚式で必ず見掛ける鯛の塩焼きお頭付き

ミネストローネとコーンスープの豪華な二種類のスープ

まるでドレッシングのCMで見るようなサラダの山盛り

「寿し太郎」のようなインスタントではなく、ちゃんとイチから作った、金糸卵と海苔がちりばめられたちらし寿司

さらにはデザートのメロン

昼飯と言うには程遠いであろう、あまりにも豪華な御馳走を目の当たりにした私は

虎之助
「あの!どうしてここまで豪華なんでしょうか!?
あと…こんなに沢山の量、絶対全部食べられないんですけれどっ!!」

と大きな声で幸信とお袋さんに言った

ママン
「いぃ~のよ~、残ったらご近所さんにお裾分けしてるんだからぁ~
お向かいのお爺ちゃんなんて喜んで食べるわよぉ~♪」

虎之助
(そりぁ~こんな御馳走頂いたら喜ぶでしょうねぇ…(^^;))

ママン
「あ!虎君!タッパーにお料理詰めといたから、まぁ~ちゃんとお父さんにも持って帰ってね!、いつもお野菜くれるお礼よ!」

虎之助
「すみませぇん~…何から何まで気を使わせてしまって…
父と母にはよく言っておきますので…」

幸信
「お母さぁ~ん!もうっ!腹へっとんやけん!早よちらし寿司よそってやぁ~!」

と、幸信が子供のようにゴネる

ママン
「は~い、はいはいはい、今お皿出しますからねぇ~、ちょっとまってねぇ~」

虎之助
「あ、いいですよぉ~、お皿下さい…
僕がお寿司よそいますから…(^^;)」

ママン
「あ!虎君、えぇんよ!えぇんよ!座っといて座っといて!」

幸信
「あ、お母さぁ~ん!あと、刺身につけるダシ醤油、あれも出しとしてや!」

ママン
「えぇ~!?あのダシ醤油出すん~!?
だってあれ、高松のお義兄さんがお中元にくれたばかりでしょぅ~…?、池田さん家で買った刺身醤油があるんやけん~…、それで我慢してぇ~なぁ…」

幸信
「いかん!ダシ醤油じゃないと絶対いかんのじゃ!刺身醤油なんか不味くて食えんわい!
ダシ醤油出してくれんと刺身食べんけんな!」

ママン
「もうっ!虎君の前でそんなワガママ言わんのっ!本っ当に恥ずかしいわねぇ~…、この子はぁ~…」

虎之助
「ダシ醤油って…?ぇ…何ですかそれ…?
普通お刺身って、刺身醤油にわさび付けて食べる物じゃないんですか…?」


幸信
香川県高松市にある「河内家」のダシ醤油や!相当旨いんぞぉ~!
刺身醤油なんて話にならんわい!」

ママン
「お中元で頂いたばかりなんだから、ダシ醤油は諦めてよぉ~、虎君も言った通り、お刺身は刺身醤油で食べたんで良いのよぉ~…」

幸信
「もうっ!お母さんっ!ワシはダシ醤油じゃいと刺身食わんって言っとるやろがっ!貰い物なんやけん、いつまでも置いとってもしょうがないやろっ!?
虎助にも食べさしてあげたいんやけん早よ出してきてやっ!」

幸信が突如怒りだす
幸信は昔から短気な面があり、気に食わない事があるとこのような感じで怒りだす所は相変わらず変わっていないんだなぁ…と思った…

虎之助
「ユキラスもういいってば…
おばちゃん困ってるし、こんな御馳走作ってくれたんだから、そんなワガママ言ったら悪いよ…」

と幸信に言うと

幸信
「イヤだ!ダシ醤油じゃないと絶対ダーメッ!、本当に美味しいんだってば!虎助も1度食べたらわかるって!
なぁ!
お母さぁん早よダシ醤油出しぃやっ!
ワシ腹へってイライラしとんやけん待たせんといてくれやっ!」

ママン
「もうっ!わかったわよぉ~…
本当にこの子ったらワガママなんだからぁ~…」

とうとうお袋さんは幸信のワガママに負けてダシ醤油を取りに行った

幸信
「わさびもお願いなぁ~♪」

虎之助
「なぁ…ユキラス…お前ん家の昼飯…
いつもこんな豪華なんか…?
子供の頃はここまで凄くなかったような気がするんだが…」

幸信
「豪華になったのはこの七~八年ぐらいかなぁ~、少し前にテレビがバカ売れしたからな!うひひひひ♪」

虎之助
「あぁ~あ…成る程なぁ~…、地デジ化の影響かぁ~…
深山町の皆殆んどがお前ん家の店で薄型液晶テレビ購入したんだなぁ~…」

虎之助
「…どれぐい儲けた…?」

ヒソヒソ声で私は幸信に質問すると…

幸信
「ふふぅ~ん…これぐらいかなぁ~」
と、得意気にニヤけつきながら指でその儲け具合を表示した

虎之助
「チッ…クショ~…!羨ましいなぁ~…!お前…そんな金額…今まで働いた分合わせても届いてないわ…」

幸信
「まぁ~、田舎やけど、深山町の皆々様は金持ちが多い訳よ♪
ビエラがバカ売れ!
50型買った家も結構多いし、一家に2~3台は当たり前やったし、本当地デジ化万歳♪
それでCDとカセットテープ置くの辞めたんよ、あ!でも予約の取り寄せは承ってるから虎助も欲しいCDあったら宜しく~♪」

虎之助
「だ~れが買うかいや!
家に帰って近所のBOOK・OFFかTSUTAYAで買った方が早いやん!
…というか、深山町に今時CD予約して取り寄せる人おるん~!?」

幸信
「おるおる、AKBやらHKTやらNMBやらを男子中高校生が予約しに来るよ、ただし初回盤に限るけどな、あと、嵐とかキスマイだっけ?のジャニーズ関連は小中学生の女子が予約しに来る、大人だとEXILEとか西野カナ、JUJU、たま~に浜崎あゆみとかを予約したりするな」

虎之助
「へぇ~!深山町の皆は結構CDで音楽聴くんだなぁ~!」

幸信
「まぁ、コンポだったらPanasonic以外でも取り寄せは出来るけんな!
DENONとかKENWOOD、PIONEERやONKYOの高級機を買うおじさんもおるよ」

虎之助
「えぇ~…!深山町の人がDENONとかKENWOOD買ったりするん~!?
なんか変なの~!」

幸信
「やっぱえぇ音で音楽聴きたいやろ、深山町は田舎やけん大きいボリューム出してもあんまり近所に影響ないしな!まぁ~、それより先ずは飯食おや!」

幸信は拳程の大きさがあるフライドチキンを手で掴み、カリリッ!と揚げたて衣の音を豪快にたてながらかぶりつく

それと同時にお袋さんが例のダシ醤油を持って台所まで戻ってきた

ママン
「ほら持って来たわよぉ~…
高松のお義兄さんから頂いた河内家のダシ醤油…」

幸信
「これこれこれ!虎助!このダシ醤油が最高に旨いんぞ!
これ味わったらもう刺身醤油なんかで食うてられんわい!」

そのダシ醤油は、芸能人や有名な高級料亭が仕入れる程の一級品らしく、牛乳パックのミニチュア盤のような容器に入っている

幸信はナイロンで真空された外装をバリバリ破いてキャップを空けると太い指で不器用に内蓋のシールを剥してダシ醤油を小皿に入れようとするも、テーブルには小皿が用意されていない事に気づいた幸信は…

幸信
「お母さぁん!もう~…何やっとん!小皿がないやろ!?こ・ざ・ら!」

ママン
「は~いはいはいはい!小皿!今出しますよぉ~…!」

もうお袋さんは完全に幸信の言いなりの家政婦さんと化している

ピリリリリリ…♪
ピリリリリリ…♪←(お店の電話音)

ママン
「あ!電話掛かってきた!
幸信、後の事は自分でやるのよ!
虎君、遠慮しないで沢山食べてってね!」

お袋さんはそう言い残すと、台所を出て店に戻って行った…

虎之助
「もう~…、ユキラス…そんなおばちゃんに命令ばっかしてないで自分でとりぃや…」

…と、私が呆れながら言うと

幸信
「えぇんよ!えぇんよ!
だってワシはこの家で一番働いてる大黒柱なんやけん!
家事は女がやるもんだろ?
男は堂々と構えてりゃいいんだ!」

虎之助
「おいおい…ユキラスは男尊女卑派かよ…」

幸信
「だって、男の方が力はあるし経済力はあるし、よく働くし、偉いのは絶対金玉ついてる男だろ?」

虎之助
「お前の考え方古いっ!
今は女性だって働くのが当たり前な世の中だよ
おばちゃんだってちゃんと仕事しよるやんか…」

幸信
「お母さんは、店内業務全般だから、修理したりする技術能力はないんやど
この店が繁栄しとるのも、お父さんとワシがお得意さん家を守っとるおかげで保っとるようなもんやろげ」

虎之助
「店主は親父さんだろ、シバタ電器店が今もずっと続けていられるのは親父さんの人柄と人徳だと思うけどなぁ~…」

幸信
「ううん!違う!今はワシが店主なの!
この店ではワシが一番偉いの!お父さんはもうすぐ引退!」

虎之助
「お前は昭和の関白亭主か!!!
俺より先にぃ~…♪寝てはいけないぃ~…♪
俺より後にぃ~…♪起きてはいけないぃ~…♪
飯は旨く作れぇ~…♪いつも綺麗でいろぉ~…♪
出来る範囲でぇ~…♪構わないからぁ~…♪」

…と、私はふざけて嫌みたらしく幸信に歌うと…

幸信
「何ぞ~?その変な歌?」

虎之助
電器店でCD扱ってるクセに、さだまさしの「関白宣言」を知らないんかよ!」

幸信
「ワシなぁ、さだまさしに全然興味ないんよ、やっぱフォークの神様、吉田拓郎が好きじゃけぇのう~♪」

虎之助
「お前は関白亭主じゃけん、確かに吉田拓郎向きやなぁ…(´¬ω¬`)=3」

幸信
「虎助!それよりもな!早よぅこのダシ醤油で刺身食うてみ!
絶対旨くて辞めれんなるけん!」

幸信はお袋さんが出してくれた小皿に、例のダシ醤油を入れて私に出してくれた

そのダシ醤油は、薄い黄金色であり
まるでうどんの汁のような感じだった

「本当にこんな薄いダシ醤油でお刺身食べると美味しぃんかいなぁ~…?」

私は少々疑いながらも新鮮な鯛の刺身を箸でつまみ、黄金色のダシ醤油が入った小皿に浸すとゆっくりと口へ運んでいった


私はこの後、幸信がワガママを言ってまで欲しがっていたこのダシ醤油の味に衝撃を受ける事となる…


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親父幸信と少年時代の幸信の完成図
クロッキー帳のページが無かったので2人セットで描きました
本日やっと完成盤の公開です。