深山町で語り継がれている伝説の同級生…
教師もさじを投げ
大人でも手に負えなかった…
深山中学最強の番長
高橋正次郎
深山中学を卒業してからは
人が変わったように真面目になり…
高校に入学してからは猛勉強し
相撲部で輝かしい成績を残して…
大学からはアマチュア選手として活躍してきたが…
いくら深山町で最強といえど…
全国にはもっともっと強い猛者がゴロゴロ居る事を思い知らされ…
プロでは通用しないと悟り…
大相撲の道へは進まなかった…
そして
大学を卒業してからは就職
地方公務員になる…
職場から近い歯医者さんに通っていた時、歯科衛生士として勤務していた今の奥さんと運命の出会い
正次郎はその歯科衛生士さんだった奥さんに一目で惚れ込んでしまい
「今度の日曜日に、喫茶店で一緒にコーヒーでも飲みませんか？」
と、駄目元で誘ってみた所
「いいよ～♪おごってね！
でも私、コーヒーにはうるさいわよ♪」と、OKの返事
奥さんは学生時代は陸上部、就職してからは歯科衛生士をしながら空手道場に運動不足解消と体調管理をかねて通っていた
美人だが気の強い
バリバリの体育会系女子だ！
なので現在の正次郎も奥さんには全く頭が上がらないのである…
それから２人は体育会系同士という事で意気投合し…
四年半の交際を得てめでたくゴールイン
プロポーズの言葉は・・・
「恵さん・・・
あ・・・あのなぁ・・・
わ・・わしとなぁ・・・
け・・結婚・・してくれぇや・・・！」
・・・と至ってシンプル
それがまた
正次郎らしい・・・
あの深山町最強の番長が結婚した…
当時は町内じゅうの話題になり…
なんと挙式は深山中学校の体育館で町内の皆が集まり盛大に行われた…
その時…
なんと、番長の正次郎が…
皆の前でまさかの号泣…
そして
声を詰まらせながら…
正次郎
「町内の皆様…
今まで本当に…
本当に…
迷惑ばかり掛けて…
すみませんでした・・・！
今日から私は大人になり心を入れ替え
皆様に恩返しをしていきます
私の妻「恵」と共に・・・
故郷の深山町で・・・
男泣きを
町内の皆に晒した正次郎は
立派だった
本当に
本物の男になったんだなぁ…と
涙と鼻水だらけの
グシャグシャで真っ赤になった
正次郎の顔を見て
自分もしみじみと・・
貰い泣きをしてしまいました・・
それから…
一年後…
早くも第一子を授かり
あいつも親父になりました
元気な元気な女の子
名前は「つぐみ」ちゃん
深山の山々と大空に…
大きな産声が高鳴ります…
続いて
第二子
またまた女の子の「かのん」ちゃんが誕生
さらに
第三子
これまた女の子の「なずな」ちゃんが誕生
しかし…
正次郎は
どうしても男の子が欲しかったのです
息子と一緒に相撲をとるのが夢なんだと願い
第四子で男の子が生まれなければ
これで子作りは止めて諦めると…
頑張った結果・・・
第四子
可愛い可愛い・・・
これまた可愛い・・・
女の子の「さくら」ちゃんが誕生しました…
正次郎は
わしは子供の頃の行いが悪かったけぇ…
神様は願いを叶えてくれへんかったんやろなぁ…
と、えらくガッカリした様子…
私は…
可愛い女の子が四人も授かって…
正次郎幸せだよ…
バージンロード
四回も歩けるなんて…
だけど
旦那さんになる人
正次郎がお義父さんなんて…
ちょっと大変かも・・・
…と言って
不器用に励ました…
学生時代は大将と子分のような関係だった私と正次郎
今では怒るとちょっと怖い
兄のようであり
私の間違った行動や失敗に対し
叱咤激励してくれて…
助けてもらった事もあった…
誰よりも仲間想いであり
深山中学相撲部員の事をちゃんと考えてくれていた
私の知性の事も
今まで本気で馬鹿にした事は無かった
本当は優しい男の・・・・
はずなのだが・・・・
相撲の稽古になると・・・
人がガラリと変わり
大魔神と化すのである・・・
それはもう・・・
あの頃以上の恐ろしさが蘇る
相撲の稽古で仕事や家庭でのストレスを発散しているそうだが・・・
周りはたまったものではない・・・
これさえなければ・・・
本当に男の中の・・・
男なんだがなぁ・・・
廻しを締めると
気合が入り、アドレナリンが高まるそうだ・・・・
やはり褌は
男の起爆剤なんだなぁ・・・
・・・と、しみじみ感じた冬の始まりでした・・・・
