どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

「東京スクランブル」~西郷虎之助、半年間の苦悩と葛藤~

成功も…
失敗も…

幸も…不幸も…
何事も…

生きるは己の道にありけり


現世ゆく
瞬きすでに
あるまじき

1秒たりとも
戻れるなかれ

尊き命
感謝のこころ


南無大師遍照金剛

西郷虎之助


時は…
2018年

平成最後の夏が過ぎ去り…

30年という時代の移り変わりを…
人と共に寄りそい彩ってきた平成も…
近づく年の暮れとあわせつつ…

今…
静かに終わりを迎えようとしている・・・


そんな冷たい風が吹き通る繁華街に…
刻々と時を刻みながら少しづつ賑わいを現し始めた冬の頃・・・

一人の男が大きな声で
忙しく歩き交わす街の人達に…
何かを伝えながら…

薄っぺらいビラを配っていた…

その街とは・・・

ゲイの聖地である・・・

「新宿2丁目」


この場所では…
何百件ともあるとされているゲイバー…へ・・・

数多くのゲイの男たちが…

夜な夜な週末になると足を運びだす・・・

それは・・・
昼間の自分とは違う・・・

裏の顔…

本当の自分を嘘偽り無しに堂々と表現する事が出来る…

安息の聖地へ・・・

一体何を思い…
何を求めて…
ここへ向かうのか・・・

一般社会で…
本当の自分を曝け出せず…
裏の顔を隠しながら…
偽りの自分を常々演じ続けなければならない・・・

その辛さは・・・
ゲイの男たちでしか・・・
わからないのだ・・・

近年社会では…
LGBTという専門用語もいつの間にか生まれ…

ゲイ「Gay」(男性同性愛者)

レズビアン「Lesbian」(女性同性愛者)

バイセクシャル「Bisexual」(両性相者)

…これらのセクシャリティに対する差別や偏見も、昔に比べると芸能界やマスコミの間でも頻繁に取り上げられるようになり・・・
社会でも認められるようになったものの…

日本では「同性愛者」に対する差別や偏見が無くなるにはまだまだ程遠いのが現実なのだ・・・

本来の…
人間が子孫を残すための…
男女の自然な摂理から…
逆らわなければならないこの辛さは…

求める性への対象が本質としてきちんと備わっている正常な異性愛者になんて・・・
とうてい分かるはずなんてないのである・・・



今夜もこの・・・
新宿2丁目へ向かう男たちは・・・

昼間の自分とはまた違う…
裏の顔、本来の自然な姿へと変わり…

日々の窮屈なストレスを発散するために・・・
美味しいお酒をワイワイと朝まで飲み明かすのか…

それともカラオケで…
普段では絶対に歌えないアイドルソングを…
可愛らしくなりきって歌うのか…

はたまた新しい出会いを求め…
スマホを片手に眺めながら、アプリで知り合った相手と初めて会うのを心待ちにしているのか・・・

それとも・・・・?





人生は七転び八起き
スペシャルドキュメンタリードラマ

「東京スクランブル」

~西郷虎之助、半年間の苦悩と葛藤~

イメージ 1

(第1話)



冬の始まるこの新宿2丁目で・・・
一人の男が声を上げながら…
薄っぺらいビラを…
ひたすら配りまわっている・・・

「西郷虎之助ー!!」

「西郷虎之助復活ー!!」

ゲイバー
「Romeo」のママ
ルーシー
「ちょっと!ちょっと!あんた、アタシんとこの店の近くで何やってんのよ!」


ビラを配っていた男
ユウジ
「あ、どーも!ママさんお晩でーす、これから開店っすか?」

ルーシー
「開店っすか?じゃないわよ!見りゃわかるでしょ?
アタシこれからすぐお店開けなきゃなんないから忙しいのよ、ビラ配りのバイトなら余所でやってちょうだいな!」

ユウジ
「あ、はーい、すんませーん!んじゃ!ママさん!とりあえず、これ宜しくお願いまーす!」


ユウジはママ、ルーシーに自分が配っていたビラを渡した…

ルーシー
「なんの宣伝よ、まったく~…ブツブツ
パチンコ店の新台入れ替えのビラだったら怒るわよ…」

ユウジ
「俺が勝手に作った号外です!良かったら見て下さいね!」

ルーシー
「あんたこのビラ自作で作ったの!?
あきれた!
若いくせにお暇ね~… 
もっと充実した日々過ごしなさいよ~~~・・・
どれどれ~~・・・?」

ユウジ
「じゃあ俺!迷惑になるからあっちへ移りまーす!お店頑張ってくださーい!」

ユウジはルーシーに自作のビラを渡すと・・・
その場を走り去り、新宿2丁目の煌びやかな飲み屋街のネオンの中…
消えていきました・・・

ルーシー
「あ!ちょっと!待ちなさいよ!
もぅ~~~・・・・何なのよ~・・・勝手に呼びつけておいて~~・・・

えぇ~~・・と・・・
なになに~~・・・?

「西郷・・虎之助・・?」


「誰よ・・・
この西郷虎之助って・・

えぇ~・・・とぉ~・・?
「西郷虎之助、半年の沈黙を破り…ついに復活!」
・・・?

「西郷虎之助復活って・・・・
何よこれ・・・
アタシ全く意味わかんないんだけど・・・

あ!いけない!いけない!
早くお店開店させなきゃ!
こうしちゃいらない!
今夜はイケメンDAIGOの誕生パーティーなんだから!お客さんがわんさか詰めかけてやって来るのよ!あ~忙しい!!」

西郷隆盛だか虎之助だか知らないけど、こんなビラはゴミになるんだから・・・」

クシャクシャクシャ…
ポイッ!

「いらないわ!」

ルーシーはユウジから受け渡されたビラをクシャクシャに丸め、そのまま冷たいアルファルトにポイ捨てすると、自分のお店へと忙しそうに向かっていった・・・

そして冷たい北風が吹き荒れ…
丸めたビラは、黄色い銀杏の葉っぱと共にアルファルトを転がって行きました…

孤独で寂しそうに・・・


すると・・・
一人の体格の良い男の足元へ・・・
丸めたビラが風と銀杏の葉と共に流れ…シューズにコツン…と当たりました…

男はそれを拾い、クシャクシャになったビラを広げます…

体格の良い男
浩介
「西郷虎之助・・・
・・・・復活・・・」


慎吾
「おおーい!コーちゃん!セブンでピザまん買って来たよ~!熱いうちに食べよう!」

ビラを広げ、それを見つめている浩介の後ろから、相方(彼氏)である慎吾がセブンで買ったピザまんを持って駆け寄りました。

浩介
「お!慎吾サンキュー!」

慎吾
「コーちゃん…
何見てんの~・・・?」

浩介
「あ!あぁ~・・!!
これな!駅前のパチンコ店のビラだよ!何でも月曜に新台入れ替えの、初日はメンズオープンするんだってさ!アハハ!」

浩介は慎吾に見つかると、慌ててそのビラを再びクシャクシャに丸め、誤魔化しながらコンバースカーゴパンツのポケットへ入れました。

慎吾 
「ダメだよ!コーちゃん!もうパチンコはやらないって僕と約束したでしょ!?こないだだって4パチで3万負けたじゃん!?」

浩介
「アハハ!悪りぃ!悪りぃ!大丈夫だって、もうパチンコはやらないってば!」

慎吾
「そんな事言って、僕から3万借りたクセに!」

浩介
「わかってるってば~!
来月の給料入ったら利子付けて返すって、ちゃんと誓約書まで書いて約束しただろ~!アハハハハハ!」

慎吾
「もう~~・・・・
今度パチンコやったら別れるからね・・!」

浩介
「そんな意地悪言うなってばよ・・・
チュッ・・・!」

浩介は、いじけた慎吾のホッペにチュッ…とキスをした…

慎吾
「も・・・もう・・・
コーちゃん・・・
ズルいよ・・・」

不意にキスをされた慎吾は、顔を赤らめて…
かぶっていたGAPの帽子を深く下げる…
照れ隠しのつもりだが、本当は嬉しい気持ちでいるのが隠せなかった・・・

浩介
「冷めないうちに、ピザまん食おうや・・・!」

慎吾
「ふんだ…!
もうコーちゃんにはあげないよーだ!」

浩介
「まだ拗ねてるんなら、もう一回チュウするぞー」

慎吾
「う・・うふ・・・
うふふふふふ・・・
い…いーよ・・・」

浩介
「・・・ったく・・!
慎吾は甘えん坊だな~!
チュッ・・・!」

慎吾
「え・・えへ・・
コーちゃん・・・・」

浩介
「なんだよ!」

慎吾
「大好きっ!!」

慎吾は…
人目もはばからず、浩介に抱きついた…

浩介
「バ・・!バカッ・・!
こんな街中で・・・!
人が見てるじゃないかよ!」

慎吾
「良いんだもーん!
僕たちの幸せをみんなに見せつけてやるんだ~♪」

浩介
「早くピザまん食わせてくれよ~~~~悲!
冷めちゃうだろ~~~!」

慎吾
「はい!コーちゃん!
あ~~~~~~・・ん!」

浩介
「あーーーー・・ん!」

慎吾
「はい!」

慎吾は、大きく口を開けた浩介に…グッ…!とピザまんを押しつけた…

浩介
「う・・・!うわっ熱っちぃっっ!!!」

慎吾
「アハハハハハ!!
アハハハハハハハハ!」

浩介
「こ・・・こ・・・
このやろう~~・・笑怒
やったなぁっ!!!」

慎吾
「コーちゃん!
早くお店いこうよ!
今夜は僕たち付き合ってちょうど1周年なんだから!ママが一杯ごちそうしてくれるって言ってたでしょ?」

浩介
「んがぁっ!ふっふ!
はぁ~・・・やれやれ、それじゃあ行くか、ロマンスへ・・・」

ロマンスとは…
浩介と慎吾が初めて会ったゲイバーであり・・・・
ママの口利きでお互いが付き合うようになった、2人にとって記念すべき場所なのである…

浩介
身長172cm
体重100Kg
年齢45歳
ジムでのトレーニング歴25年の鍛え込まれた筋肉質な体格に、キレイに刈り揃えられた短髪、口にラウンド髭を生やし、学生時代は野球部で培った体育会系の男らしさを兼ね備え、いわゆるこちらの世界では「モテ筋」の男であった・・・

新宿2丁目では…
このようなカップルは…
ありふれている…

どこにでも見かけるような…
幸せいっぱいの男同士カップ
「浩介と慎吾」

しかし・・・
浩介が拾った
「西郷虎之助復活!」
という自作のビラを見て…
一体何を思っていたのか・・・

それはまだ・・・
慎吾の前では絶対に明かせられないのであった…


周りから見れば幸せいっぱいの2人…
人目も気にせずお互い手をつなぎ…
ゲイの聖地である「新宿2丁目」の飲み屋街のネオンの中へ染まっていった・・・

~第1話おわり~