どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

「百貫村の熊太朗」~人生は七転び八起き・2話連続スペシャル短編集~(其の1)

虎之助が生まれた故郷・・・

愛媛県深山町の寺村



その深山町の更に山奥の峠には・・・


「百貫峠」という・・・


普段から人っ子1人も通らないほどの狭い道の峠道があったそうな・・・


その百貫峠には・・・

遙か昔・・・
江戸時代から伝わる古い村の言い伝えがあったそうな・・・・


かつてこの百貫峠では・・・

子捨て山といって・・・

子供を育てられない親が、この百貫峠に子供を置き去りにして行くという・・・

それはそれは悲しい風習があったのです・・・


その悲しい言い伝えからか・・・

百貫峠の道を渡ると・・・

恐ろしい・・・
祟りがあると・・・


深山町に住む長寿の老人は若者たちに・・・

百貫峠には絶対に近づいてはならぬと、子供の頃から厳重に言い聞かせたのであった・・・


この言い伝えにより、深山町に住む者は祟りを恐れ・・・
誰も百貫峠に近づくことは無かったそうな・・・



そして・・・
もう1つ・・・


この百貫峠には・・・

不思議な言い伝えがあったのです・・・


百貫峠に元気な「男の子」を捨てると・・・

18年後・・・

捨てたはずの男の子が・・・

立派に成長して山を降りて来たという・・・

その姿を見た深山町の住人は・・・

皆口を揃えて言った・・・


その男の子は・・・

身長こそ・・・
それほど高くはないものの・・・

ガッシリとした筋肉質であり、恰幅のある日本男児特有の体格なんだそうな・・・・

そして男児が身に着けているものはというと・・・

法衣に褌だけの姿なのである・・・


更にに詳しい話を聞いてみると・・・


捨てられた男の子は・・・


「百貫村」という、他所から完全に閉鎖された村の者たちに連れて行かれ、そこで育てられたのだと・・・・・


果たして・・・
その・・・
「百貫村」とは・・・
深山町から何らかの理由で村八分にされてしまった者たちが集まり、自給自足でひっそりと暮らしている集落があるらしいのだ・・・

そして・・・

更に不思議なのは・・・

百貫村の村人たちの特徴である・・・


短く刈りあげた坊主頭に

身長は160cm~170cm

体重は100kg~120kg

このように・・・
恰幅の良い豊満な体格をした「男」しか居ない、完全女人禁制の村だとい言われているが・・・


やはり・・・
身に着けているものは・・・


法衣に褌のみという、男児と同じ姿をしているのだ・・・


この峠は「百貫峠」と呼ばれ、そのすぐ近くには「百貫村」があると言い伝えられたのは、その小柄な相撲取りのような体格をした男たちの集まりから由来するものだったそうな・・・



そしてこの不思議な言い伝えは・・・


深山町を出た若者たちによって街中に広がり・・・

今では都市伝説になるまでに拡散されていったのである・・・


果たして・・・

この古い言い伝えは本当なのだろうか・・・・


1台の黒いセダンが・・・

百貫峠へと向かって行く・・・








「~人生は七転び八起き・2話連続スペシャル短編集・其の1~」


「百貫村の熊太朗」

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2001年・12月24日

クリスマスの夜


1台の車が、この人気の無い「百貫峠」へとやって来たのだ・・・

その目的とは・・・



敏樹
「ここがあの捨て子山として有名な百貫峠か・・・
いよいよだな・・・昌恵・・・」



昌恵
「ごめんね・・・
ごめんね和也・・・
こんな酷いお母さんを・・・
許してね・・・」



和也
「ふぁ~~ぷ~~~・・♪
ぱぷぱぷ~♪」



敏樹
「本当に・・・
これで良いんだな・・・
昌恵・・・」



昌恵
「しょうがないのよ・・・
だって・・・だって・・・・
私たち・・・・・
不倫の仲だもの・・・!」



敏樹
「俺もなぁ・・・
妻とは別れられないし・・・
参ったよなぁ~・・・
あの数回で出来ちまうなんてよ・・・」



昌恵
「私だって・・・
今の主人とは絶対に別れられない!
「コスメティックブランド・KARMA」会長の息子よ!!
ようやく掴んだ会長婦人へのセレブ人生に・・・
この子がいたら何もかも失ってしまうもの・・・」



敏樹
「俺は昌恵の旦那の部下・・・
妻子ありの万年平社員・・・

この不倫がもし会長の息子である昌恵の旦那に見つかったら、当然会社はクビ・・・
妻から婚届を突き出され、子供の親権もとられて・・・
高額な慰謝料に子供の養育費を毎月払わされてよぉ~~・・・

俺の人生お先真っ暗だ・・・」




昌恵
「私にもまだ幼い息子と娘がいるのよ・・・・!?
パパにだってよく懐いてるし、家庭は円満だし、住宅地には何処よりも立派な大豪邸を立てて・・・
ご近所のママ友さんたちからは憧れの眼差しを受けて・・・

もう気分は最高よ~~♪

専業主婦の私は・・・
旦那の稼ぎが低いせいで、安い自給のパートに出てまで働かなければならないママ友さんたちを・・・

いつも哀れみの眼差しで見るのが爽快なのよね~~・・・

うふふふ~~・・♪

だけどこの子が居ればそれが全て無くなるの、そんなの絶対にイヤよ私!」




敏樹
「大丈夫だよ・・・
和也は男の子だ・・・

噂の通り・・・
和也を百貫峠に置いて行けば・・・

必ず百貫村の村人たちが、和也を立派に育ててくれるよ・・・」




昌恵
「でも何だか気味が悪いわ・・・
その噂・・・
なんだか杉沢村とか犬鳴村みたい・・・

サッサと和也を置いて帰りましょうよ・・・・」




敏樹
「ハッハッハ・・・
お前は冷たいなぁ・・・

まぁ確かに、こんな明かり1つない真っ暗闇な峠道、俺も気味が悪いから早く立ち去りたいよ・・・・

この先を上がった所に赤い鳥居がある・・・
そこが例の噂にある「百貫村」につながる道の近くになるらしい・・・」




昌恵
「じゃあ・・・
早くそこで和也を置いて帰りましょう・・・
私もうこんな山奥の田舎イヤだわ・・・
だって自動販売機すらないもの・・・」



敏樹
「あ・・・!
見えて来たぞ・・・!

赤い鳥居だ・・・」




1台の黒いセダンが真っ暗闇の峠道を上がって行くと・・・
道沿いに・・・
目的地である赤い鳥居がヘッドライトに照らされて見えてきた・・・

車はその赤い鳥居の前に止まる・・・

そして昌恵は和也を抱っこして・・・
敏樹と一緒に車を出た・・・



敏樹
「鳥居の横に、布袋尊の石が置いてあって、そこの前に男の子を置いて行くと・・・
百貫村の村人たちが男の子を拾って、連れて帰るらしいんだ・・・」



昌恵
「ねえ!これじゃない!?」

イメージ 3

昌恵が指した所に・・・
その布袋尊の石があった・・・・




敏樹
「よ・・・
ようし・・・・
昌恵・・・和也をその石の前に置くんだ・・・」




昌恵
「な・・・
何だか怖いわぁ~~・・・」



和也
「ほ・・・ほげ・・・
ふぎ・・ふぎゃ・・・ほぎゃ・・・」



昌恵
「ああ・・・
和也がグズりだした・・・」



和也
「ふ・・・ふぎゃ・・・
ふぎゃ・・・ふっ・・・ふぎ・・・・・・・

ふぎぁ~~~・・・あぁ~~ぁぁ~~あぁぁぁあぁ~~~んあんあん・・!!

ぶええぇぇぇ~~~~・・・ええ~~ええぇぇぇええんえんえん・・・!!」



和也は子供ながらに何かを察したのか、とうとう大きな声で泣き出してしまいました・・・

そして・・・
その大きな大きな泣き声は、真っ暗な百貫峠の奥深くまで響き渡ったのであった・・・



昌恵
「あぁ~~あぁぁぁあん・・・(泣)
どうしよう~~~・・・・!!
これじゃあ和也を置いて行けないわ~~~~・・・!!!」



敏樹
「昌恵!何をグズグズしてるんだ!
早く和也をその石の前に置けよ!!

・・・ったく!ノロマな女だなぁ!
お前はよぉっ!!!」



昌恵
「な・・・何よっ・・・!
そんな言い方しなくったっていいじゃないっ!!!
だいたいあんた万年平社員のクセに偉そうなのよっ!!」



敏樹
「な・・・何だとお~~~・・・!
女のクセに偉そうだなぁ~~~!!」




昌恵
「あ・・・
あんたね・・・・
子供を産んだ事が無いからわかんないのよ・・・!!」




敏樹
「当たり前だろ、男は子供産めねーもん・・・
だから俺はあの時、和也は降ろせって言ったんだよ・・・

それなのにお前がさぁ・・・

それじゃあこの子がかわいそうだから・・・
せめて外の世界だけは見せてあげたい・・・!
とかほざくからこんな面倒な事になったんだろうが・・・!
身の程わきまえろよ!バカッ!」



昌恵
「ひ・・・酷い・・・

お・・・
男のあんたにはねぇ・・・

女が出産でどれだけ痛くて苦しい思いをするのか・・・・

生まれてきた子供がどれだけ愛しくて可愛いのか・・・!

一生わからないんだからっ・・・!!」




敏樹
「なんだよ~・・・
面倒くせえ~~なぁ~~・・・
もぉ~~~・・・・・!

とにかく俺は和也の責任はとれない、
お前に情が移ろうがなんだろうが、とっとと山を降りるからな!!」




昌恵
「私・・・私・・・
やっぱりこの子を捨てられない・・・

和也をこんな真っ暗な山奥に置き去りにするなんて・・・・

無理よぉ~~~・・・!!

ねぇ~~~敏樹ぃ~~・・・!

私・・・
一体どうすればいいのよ~・・・!!」



敏樹
「そんなに子供と離れるのが嫌ならば・・・・
お前もそこに残ってろ・・・
俺はもう1人だけでも帰るからな・・・

こんな真っ暗闇な気味悪い所、もう御免だぜ・・・!!!」



昌恵
「嫌ァ~~~~・・・!!
待ってよぉ~~~~~・・・!!
あなたって・・・
そんな冷たい人だったのねっ!!!」



和也
「ぶええぇぇぇ~~~んえんえん!
ぶええぇぇぇ~~~んえんえん!!」



2人が言い争っていたその時・・・!!




「あいやまたれい!!!」




人っ子1人居ないはずの・・・
真っ暗闇な山奥の峠道に・・・


もの凄い野太い親父声が渇を入れた・・・!!!




敏樹
「おいっ・・・!
何だよ今の・・・
野太いおっさんのようなガラ声は・・」




昌恵
「ひいっ・・・!!!」




怯える2人の前に姿を現したのは・・・・



噂通り・・・

身長はそれ程高さはないものの・・・

ガッシリとした筋肉質で恰幅が良く・・

そして身に着けているのは・・・

法衣と褌だけの姿・・・

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金剛・熊吾郎
「あんさんらや、わしは・・・
百貫村の村長・金剛・熊吾郎じゃ」

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石川・権左衛門
「拙者は石川・権左衛門と申すでござる・・・」


越後屋・八兵衛
「おいどんは、越後屋・八兵衛ですたい!どすこい!」


なんと・・・
山奥にある百貫峠の真っ暗闇から現れたのは・・・

体重100kg以上の法衣に褌を締めた、逞しい坊主頭の太った男3人衆だったのだ・・・!!!



昌恵
「ぎゃぁぁぁーーーーーーぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁああっっ!!!」



敏樹
「で・・・・
出たあぁぁあぁぁぁーーーーーーーーーーーーぁぁあぁ!!!
百貫村の奴らが来たぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁああっっ!!!!!」



2人はその場で泣きながら腰を抜かしてしまったとさ・・・