薄暗い山中
途切れる事の無いひぐらし蝉の鳴き声
水の流れ、滝に流れる流水の迸る音が山々周辺に響く
ここには自分一人しか居ない
もし何か起こっても誰の助けもない
本来ならば自然に満ち溢れたマイナスイオンを体全身で感じられる癒しのスポットのはずだが、日が暮れようとしている今時分ではそんな感覚は微塵も感じられなかった
早く行を終わらせて帰ろう…
こんな薄暗い鬱蒼とした山中の林から早く出たい
そんな恐怖心を感じながら足場の悪い滝壺をよろめきながら歩いた
滝壺はゴツゴツした石が沈んでいる所もあれば、砂で覆われているヶ所もあり、踏み込むと足がズボ…と沈んでビックリする
なんか沼みたいで気持ち悪い…
ここはあまり好ましくない滝だと予感させられる…
入滝して手を印に組む
初めてこの滝に打たれて感じた事…
こんな山奥の山中なのにも関わらず
「滝の水があまりにもぬるい…」
どんな滝でも初めの入滝にはそれなりの冷寒を感じるはずなのだが、この滝にはそれが全く無い…
これならば家にある水道水や、水シャワーのほうが断然冷たい
なんなんだこの温かい滝水…
まるで温水プールの水みたいではないか…
この時初めてわかった事は、水温の高い滝水は不快感極まりない…という事だった…
不満もあったが何といっても気味が悪い
滝行の最中もどこかいつもと違う違和感を感じてしまう
普段の滝行で感じるはずの冷水と水圧による苦痛からだんだん水に慣れてきて心が落ち着き、滝と一体になり水の音、自然の恵み、生命の喜び、生かされている有り難さを感じるはずが…
…この滝には恐怖心、不安感、不快感、不満感、そして滝場周辺から言葉では例えようがない程の「黒色」の圧迫感しか感じられないのである…
滝に打たれている時は目を瞑っているが、まるで私の周辺をこの世の者ではない何者かが取り繕っているのを頭の中で想像してしまう…
水の当たる音と、ひぐらし蝉の鳴き声が絶え間なく山中に響いている…
経の読み上げがいつもより長いように思えた…
一回目の滝行を終える
スマホのムービーをストップして映像を早送りしながら速やかに確認すると…
何故か映像が途中までで途切れてしまっていて最後まで撮影出来ていない…
おかしいなぁ…なんで止まったんだろぅ…
スマホのタッチパネルを押していると、ムービー動画が作動する
…ん…!?
ちょっと…
なんだこれ…?
タッチパネルのストップの所を叩くように押して再び止める
画像保存にムービー動画が追加されていたので再生してみる…
すると真っ暗な岩が二秒間のみ映っている不気味な映像だった…
うわ…なにこれ…気持ち悪い…
私はその映像をすぐに削除した
いつも三回は滝に打たれているが、気味が悪いのと怖いのと心細いのでこれ以上長居はしたくない…
最後に座禅の滝行をして終わりにしよう…
あと一回で行を終わらせたらすぐに服を着て山を降りて帰ろう…
そう決めると周辺を見渡してから再び滝壺をよろめきながら歩いて入滝した
足元にある岩が丁度良く、そこに座って座禅を組み経を唱え始める
…そこで「あっ…スマホのムービーセットするのを忘れてた…」と思い出す
どうしよう…座禅の行もブログ用にカットしたい…
経を読み上げながら悩む…
この場所は比較的近場なのでいつでも来れるし…撮影はまた今度来た時にしよう
…
それよりも早く行を終わらせてこの鬱蒼とした山を降りたい…
今はその気持ちの方が強かった…
川水の音
ひぐらし蝉の鳴き声
自身に受けている滝水の当たる水しぶきの音…
山の中で聞こえているのはこれらの穏やかで静寂な自然の音…
今私にはその音だけか聞こえない…
滝行もあと少しで終わる…
だんだん私の心も落ち着いてきた…
この滝は一番安全だし、これから頻繁に訪れていればそのうち慣れてくるだろう…
そんな事を安易に考えていた…
光明真言を唱え
二回目の滝行も終盤に差し掛ったその時!!
突然
私に山ノ神の怒りが襲いかかってきた!!!!
続
この写真…よく見ると…
私の向かって左後ろに
…悪霊のような姿が……
拡大
…↑青白い男性の顔が…不気味に笑っているように見える…
今編集していて気づきました…
歯の形と鋭い眼球が、見れば見るほど鮮明に映ります…
他のカット拡大
こちらの写真にはいない…
貴方にはどう見えるだろうか…