どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

Boarding ~ 消防士への道~第一話「第2の人生への幕開け」後編

身長185cm は軽くあるであろうオレンジの制服を着た消防隊員の大男、横田教官による突然の罵声を浴びせられた15人の受講生達

静まり返った会議室は一気に無音の緊張感と緊迫感に包まれてしまう…

横田教官の罵声に何一つ顔色を変えない局長と副教官…

さっきまで夢と希望に胸を高鳴らせていた僕だったが、一気に恐怖心が芽生え始め、サァー…ッと血の気が引いたように膝から足元が冷たくなっていくのを感じる…

そう…

僕は今日から違う世界へ足を踏み入れたのだ…

これから始まる想像を遥かに超越した過酷な日々は、今の僕にはまだ知るよしもなかった…

消防士への道、第2の人生はまだ扉を開けたばかりである…




Boarding ~消防士への道~
「第2の人生への幕開け」
第一話、後編


沖田局長
「受講生の皆さん、先ずはこの日本消防庁消防隊員訓練学校まで遠路遙々足を運んで頂いた事を、私は大変喜ばしく、そして受講生の皆さんを誇らしく思います、ここまでの長い道程は大変だった事でしょう、本当に長旅お疲れ様でした」

沖田局長
「私が当消防隊員訓練学校の局長、「沖田大悟郎(だいごろう)」と申します、今日からよろしくお願いします!

受講生
「よろしくお願いしますっっっ!!!」

沖田局長
「おっ!だいぶ良い返事になってきたな、それでは君達の指導を勤める教官の紹介を致します、それでは横田教官からお願いします」


横田教官
「はいっ!今日から皆さんの指導をさせて頂く教官の「横田強(つよし)」です!
よろしくお願いします!」

受講生
「よろしくお願いしますっっっ!!!」

鈴木副教官
「えー…、それでは私が先程紹介された横田教官と共に、皆さんの指導をさせて頂きます副教官の「鈴木修(おさむ)」です、今日からよろしくお願い致します」

受講生
「よろしくお願いしますっっっ!!!」

沖田局長
「はい、それではまず消防隊員試験の日程と、消防隊員になるまでの流れについて簡単に説明します、
皆さんが消防隊員、それ以前に消防隊員訓練学校の研修生になるにはまず、消防隊員学課採用試験に合格し、健康診断、基礎体力テスト、消防隊員基本訓練テスト、面接、これらの試練を全てクリアしなければ消防隊員にはなれません」

「この3泊4日の学課採用試験、健康診断、基礎体力テスト、基本訓練テスト、面接を見事合格した者は、消防隊員訓練学校の研修生として、約半年間の間、座学、筋肉トレーニング、消防、消火等の基本訓練をしっかり身に付けていきます」

「半年間の訓練を終えた研修生は、各県や市の消防署に配属されてから、晴れて消防士になるのです、しかし消防署に配属されてもまだ訓練は数段階に別れて続きます、新人の頃は事務仕事や書類選考に食事も作らなくてはいけません」

「新人として配属された消防署の先輩にしっかりくっついて、慣れない火災現場で四苦八苦しながら経験を積み、自分にしっかり先輩の技術を吸収しながら日々を学んだ数年後…

貴方はようやく一人前の消防士となるのです」


「先程、横田教官が厳しく言われたように、消防隊員は民間企業やサラリーマンではありません、人の命を救うのが仕事です、炎から逃げるのではなく、炎の中に入って人命を救出するのです

消防隊員には火災現場だけでなく、土砂災害や地震等の自然災害から被災者を救う救助隊の方も居ます

現場はいつ何が起こるかわかりません…
どんな災害にも絶対という言葉はありません…
被災者を救うのが第一ですが、消防隊員は自身の命、そして仲間の命をも守らなくてはならないのだという事を肝に命じておいて下さい、ここに居る15人の受講生の皆さんが、全員合格して立派な消防士になり、地域社会に貢献出来る日が来る事を心から願っております、以上!」


受講生
「はいっ!ありがとうございますっ!」
(パチパチパチパチパチパチ……)
↑拍手


横田教官
「はいっ!では班分けについて説明する!
先程渡された受験番号、及び隊員番号があるな!

1番から4番迄が1班!

5番から8番迄が2班!

9番から12番迄が3班!

13番から15番迄が4班となる!

其々が班ごとで寮の同室となり共同で生活する事となる!

1班は101号室!

2班は102号室!

3班は103号室!

4班は104号室だ!


まず寮部屋へ案内する前に!

これから1人づつ名前を呼ぶ、呼ばれた者は大きな声で「はいっ!1番隊員の横田強ですっ!」と、自分の隊員番号と名前をハッキリと言うように!わかったな!?」

受講生
「はいっっっ!!!」

横田教官
「じゃあ1班から始めるぞ!!
三宅祐一郎っ!!」

三宅
「はいっっ!!!1番隊員っっ!!三宅祐一郎ですっっ!!!」


早速横田教官から呼ばれて1番隊員から大きな声で返事が返る、自分が1番じゃなくて良かったと、呼ばれる順番をヒヤヒヤ待ちながら思った…

そしてすぐに1班が終わって2班の番が来る

横田教官
「続いて2班いくぞっ!
藤田太輔っ!!」

藤田
「はいっっ!!!5番隊員っっ!!藤田太輔ですっっっ!!!」

横田教官
「匠大学っ!!」

匠大
「はいっ!6番隊員!匠大学です!」

横田教官
「声が小さぁいぞっっっ!!!」

匠大
「はいっっ!!!6番隊員っっ!!匠大学ですっっっ!!!」

横田教官
近藤真彦っっ!!」

近藤
「はいっっ!!!7番隊員っっ!!!近藤真彦ですっっっ!!!」


え…!?
近藤真彦っ!?
マッチ…!?

僕はこの時一瞬反応してしまった…

横田教官
「西郷虎之助っっ!!」


虎之助
「え…!!あ・あ……は…はい…!」

横田教官
「はい…!じゃなかろうがぁぁぁああ!!!
俺の説明聞いてなかったんかぁぁああ!!!」

虎之助
「は…は…はは8番隊員の…っっっ!!!
さ…ささ…西郷…虎…っっっ!!!」

横田教官
「お前はバカかっっっ!!!
そんな返事じゃあ訓練出来まいがぁぁああっっ!!!人の話をちゃんと聞けっっ!!!外に放り出すぞっ!!ゴラァッッッッ!!!」

虎之助
「す…すす…すみませんでしたっっっ!!!もう1度お願いしますっっっ!!!」

横田教官
「あほぅっっ!!お前っっっ!!!
消防士に「もう1度」は無いんじゃぁぁぁああっっっ!!!ゴラァッッッッ!!!」

虎之助
「はいっっ!!!」

この時の恐怖はもう相当な物だった…、僕は頭が真っ白になり体の感覚が麻痺していた

横田教官
「もうあかんっ!あかんっ!!あかんっ!!あかんっ!!あかんっ!!!
最初からやり直しじゃあっっっ!!!」

虎之助
「すみませんっっっ!!!もう1度始めからお願い致しますっっっ!!!」

横田教官
「お前が足引っ張ったせいでみんなが迷惑しとるんぞっっ!!!
これがもし火災現場だったらどうなるっっ!?

救えたはずの命を死という結果に招いてしまうんだぞっっ!!?

命にやり直しは無いっっっ!!!

1度消えた命の炎は2度と還らないっっっ!!!
火災の炎は消しても命の炎は消しちゃいかんのだっっっ!!!

それが消防士だぁぁああっっっ!!!
わかったかぁぁああっっっ!!!

消防隊員になる前にしっかり頭に叩き込んでおけっっっ!!!バカッッッッ!!!」

虎之助
「はいっっ!!!わかりましたっっっ!!!ありがとうございますっっっ!!!」

この時点で僕は既に半ベソ…
赤ら顔で目に涙を浮かべている…

横田教官
「それじゃあ始めからやり直すぞっっっ!!!
三宅祐一郎っっ!!」

三宅
「はいっっ!!!1番隊員っっ!!三宅祐一郎ですっっっ!!!」

今度は隣りのマッチと同姓同名の近藤真彦さんに動揺しないよう意識を集中させる

そして…

横田教官
「西郷虎之助っっ!!!」

虎之助
「はいっっ!!!8番隊員っっ!!西郷虎之助ですっっっ!!!」

どうにか今度は落ち着きを取り戻しつつ大きな声でハッキリと返事を返した

横田教官
「続いて3班いくぞっ!!
村上秀一っっ!!」

村上
「はいっっ!!!9番隊員っっ!!村上秀一ですっっっ!!!」

号令は15番隊員まで無事に指名されて、名前と隊員番号の号令はようやく終わった…

8番隊員、西郷虎之助

これから神風特攻隊として敵の軍艦に出撃するような…
なんだか自分が太平洋戦争の兵士になってしまったのではないかという身命な気持ちになってしまう…


今日から始まったばかりの消防隊員になるための生活

消防隊員訓練学校へ到着し、バスを降りた当初に感じていた、あの晴々とした気持ちも今や完全に曇りがかってしまい、今にも雨が降りそうな予感がした…

子供の頃からの夢だった筈なのに…

両親の反対を押し切ってまで選んだ夢なのに…

滝行、新聞配達、お四国巡礼、ポンコツ丸との旅、イラストお絵描きスケッチブック…

全てを失ってでも掴もうとした夢だった筈なのに…


僕は自分の選んだ道が本当に正しかったのか…
心の奥に疑問を問いかけている…



僕は…消防士になれるのだろうか…?


龍玄さん…

どうしよう…


果たして虎之助の歩む道に栄光の光は導いてくれるのか…?

第二話へと続く…

イメージ 1