どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

「しまんとえれじぃ」~僕が初めてキスした柔道おじさん~…父親と初めてのキス…

待ち合わせ場所の
ファミリーレストランバーミヤン」にて

僕はついに
ガッシリ固太り体型の柔道指導者「あつしさん」と対面した

初めは「男だったらもっとハキハキ喋れ!」とか「相撲で何を学んできたんだ!」
…と、武道の指導者らしきお説教の怒号が多少飛び交ったりはしたものの

その後はお互い冗談を言い合ったりしながらも夕食を楽しんだ

まだ慣れていないせいか、あつしさんの前で上品に焼飯を食べている僕だったが

天津飯、唐揚げ、回鍋肉と、なかなかの量だったにも関わらず、その男盛で豪快な食いっぷりを見せるあつしさんに圧倒されてしまった

出された料理もあっという間に完食

「あー!食った食った!」
と、元々大きなお腹だったのが、さらにぼっこりと出っ張ったお腹をさすりながらの一言

まるで少年漫画のおデブキャラクターのようだった

だけどこれが本物の男らしさのように見えて
まだノロノロとラーメンをすすっている僕は

自分自身の軟弱さを痛感させられてしまう

「伸くん!ゆっくり食べたんで良いからな!」
「俺は嫁にちょっとメール送るから」

食べるのが遅い僕を気遣ってくれているのか、あつしさんはそう言ってベストジャケットのポケットから携帯を取り出してメールを打ち始めた

僕は、この天津飯をガッツリ口に放り込む、がっしり太った柔道おじさんの奥さんって…

どんな女性なんだろう…

あつしさんのどういうところに惹かれて結婚したのかなぁ…

やっぱり
柔道で鍛え上げられたこの肉体と精神力
そして堂々とした男らしさに惚れたのだろうか

僕はあつしさんに、ゆっくり食べるように言われたが、なるべくメールを打っている間に少しでも料理を消費しようと食べる速度上げた

片方が食べ終わって、片方がまだ食べている最中というシチュエーションが僕は大の苦手だから…


そして、あつしさんがちょうどメールを送信した頃合いに、僕はどうにか焼飯と餃子を水で流し込み
やっと好好セットを完食させた

すると
あつしさんは「あー!伸くん焦って無理したな!別にゆっくりで食べたんで良かったんだぞ!」と、苦しそうな表情を浮かべている僕を見ながら心配そうに言うと、また太い腕を組んだ



「だって…気まずいんだもん…
僕、あんまり食べているところをジロジロ見られるの苦手なんだ…」

僕がこう言うと、あつしさんは腕を組んだままで

「伸くんは性格がナイーブやなぁ!相撲部の男連中は猛獣みたいにガバガバ飯を食い漁るのが普通なんだぞ!?」
と、呆れた顔している


まるで情けない中学生くらいの息子を叱っている父親のようだった


レストランの時計はあと15分で深夜0時

僕とあつしさんに
少しだけ無言の間が続く



「よしっ!行くか!」

あつしさんは、大きく開いた両足の膝に手を「パンっ!」と当てるように揃えて言った

「あ、うん…」

僕が一言返事をすると
お互いに席を立つ

その時初めて気がついた

あつしさんと僕の背丈が、
ほぼ同じということに

そういえば
プロフィールを見て、身長差はそんなになかったはず

だけど初めてあつしさんを見た時は、僕よりも遥かに大きく見えた





伝票を手にしたあつしさんと一緒にレジへと向かう

僕はあつしさんの後ろを付いていくように歩きながら

その低身長でありながらも
、どっしりとした体格に広々とした背中をまじまじと見つめていた

僕はこの土建屋の社長さんみたいなおじさんと

後でキスしたり、互いの物を触ってしごきあったりするんだなぁ…と

押し寄せてくる興奮の波と同時に
少しだけ恐くも感じてしまった


レジで2人が並び
「お会計は御一緒で宜しいでしょうか~♪」
と、店員さんがレジでお会計の確認をすると

「おうっ!」
と、野太い声で返事を返すあつしさん
そしてレジでサイフから三千円を取り出して、店員さんに渡した

僕もポケットからサイフを取り出して「あの…」と言うと

「うんっ!!」とあつしさんに拒否されてしまう

「♪それでは482円のお返しになります~♪ありがとうございました~♪」

と店員さんが言った後
あつしさんが突然

「伸くん、俺な、ちょっとウ○コしてくるから先に俺の車に乗っといてくれ、白のステップワゴン、あっちの方に止めてある!これキーな!」

店員さんの目の前で堂々とウ○コしてくると言うあつしさんに驚いたが、車のキーを渡されてもっと焦ってしまった

あつし
「ちょっとトイレ行く」

店員さん
「あ、はい!あちらになります、どうぞ~♪」


あつしさんは店員さんにトイレの場所を指示されると、ドスドスとトイレの方へと向かって行った


僕は一人店を出て
駐車場に停めてある白のステップワゴンを探す

すると駐車場の隅っこの方に停めてある白のワゴン車を見つけた
岡山ナンバー
これで間違いない、あつしさんの車だ

なんで他にも駐車スペースがあるのに
こんな隅っこに車を停めたんだろう…

ここでもし…
キスしたら…
誰にも見つからないからかなぁ…

そんな事を考えながら
あつしさんから預かったキーのボタンを押す

「ゴトン…」

とロック解除された音が鳴って、僕はワゴン車の助手席へと乗った

キラキラと星の輝く夜空の下
僕の男同士で一緒に過ごす初夜がここから始まった…
















しまんとえれじぃ」
~僕が初めてキスした柔道おじさん~

…父親と初めてのキス…





あつしさんの車
ステップワゴンの助手席に座った

車内は芳香剤の良い香りがする

これがあつしさんが普段の生活で乗っている車

あのがっしり太った男らしいおじさんが乗っている車なんだ…
なんかそう考えただけで
僕は込み上げてくる何かを感じてしまう

助手席の横にはCDが置いてあり
見てみると、知らない洋楽ものや、CHAGE&ASKA、Tommy february 等がある

その中に
槇原敬之の「君は僕の宝物」があった

あ、これ僕も持ってるアルバムだ

と、CDを手にして見ていた時…

「ガチャ!!」と突然
運転席のドアを開けて、あつしさんが入ってきた

伸一(虎之助)

「うわっ!ビックリした!!」

あつし
「ごめんな、待たせてしまって、飯食ったら急にウ○コしたくなってな!
伸くんはウ○コとかトイレ大丈夫か?」

伸一
「あ、はい…今のところは…
僕、大の方は朝するので…

でも小は急に催す事があるので、その時は迷惑かもしれませんが、何処かに車を停めて下さい、宜しくお願いします」

あつし
「伸くん、そんなに気を使うな!
「俺なんか朝も夜もウ○コするぞ!ちょっと快便すぎるか?
がははははは!」

伸一
「あ、僕も時々夜も出ます」

あつし
「いっぱい食たべたらいっぱい出さんとな!
さっきこんなデカいのがでたんぞ~!」

あつしさんは両手でさっき出したウ○コの大きさを示した

伸一
「でっかいなぁ!肛門張り裂けそう!」

あつし
「2時間後ぐらいにまた腹が減るかもしれんな
山道に入る前にはコンビニで何か買っておこう…」

「伸くん、ちょっと時間が遅くなってしまったから、早いとこ風呂入ろ!
この辺に開いてる温泉あるか?」

伸一
松山市は結構遅くまでやってる温泉あるんですよ、この近くだと「星ヶ丘温泉」か天山「トロン温泉」です

あつし
「うん、ネーミングからして「トロン温泉」の方が良さそうだ
そこにしよ!伸くんナビ頼むな!」

伸一
「あ、はい」
「じゃあまず駐車場前の国道を左に出るようになります」

僕はそう言ってあつしさんに、車のキーを渡す

あつしさんは僕からキーを受け取り
車のエンジンをかけた

「ブォー・・・ン!」

…エンジンの音が鳴り出すと同時にスピードメーターやカーステレオのグラフィックイコライザーが光りだし、車内にCHAGE&ASKAの「SnmethingThre」が流れ始める…

あつしさんがアクセルを踏んで
車は動き出す
そして駐車場前の国道を左方向へ出た


僕はこの時…

「あれ…キスはしないのかな…?」

と…、少し期待外の展開にちょっぴりジェラシーを感じたのと、内心、ほ…っとしている自分がいた


本当は怖いんじゃないのか…

僕はそんなふうに思った


深夜の0時すぎ
日付は変わって
金曜日から土曜日になった

こんな深夜でも天山交差点はたくさんの車で込み合っている

この交差点を右に曲がってジャスコの前を通り過ぎ、橋の手前を左に入り降下の踏み切り前を右に曲がればすぐに天山トロン温泉だ


ほんの10分弱で天山トロン温泉に到着する

あつしさんは車の窓から駐車券を取り駐車場へと車を進めた

あつし
「ここ、駐車料金いるん?」

伸一
「あ、温泉利用者で時間内は無料ですよ」


あつし
「そっか、別にもったいぶってる訳じゃないが、なんかタイムリミットがあると落ち着かんな
伸くんまったりするのは別の場所で良いか?」

あつしさんは、そう言うと突然僕の手を握ってきた

伸一
「あ…あ!ぼ…僕はどこでもいいです……!」

僕は慌てて返事するが
不意に手を握られて驚きと動揺を隠すことが出来ない


車は端の暗い所へ停めた

キーをカチッ…と切ってエンジンだけが止まる

車内にCHAGE&ASKAの「めぐり逢い」が流れている最中

あつしさんは握っていた手を掴み、僕を抱き寄せてきた

そしてお互いの顔と顔の距離が10cmも満たなくなった時





ガッシリ太った
柔道おじさんは…


僕に初めてのキスをした…

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お互いの唇と唇が重なる…

初めてのキスの味
それはトリュフチョコレートのようなほろ苦い大人の味がした

あつしさんが生やしている、鼻の下と顎の無精髭がチクチクザラザラ当たって痛い

大人の男性の髭を感じたのは
子供の頃に、酔っ払った近所のおじさんに頬ずりをされてしまったあの日以来だったと思う



この日
とうとう僕は初めて大人の男性とキスをしてしまった…


重なり合った唇は
くっついたり離れたりしながら
「クチュ…グチュ…
ペロッ…ピチャ…」

と、生々しい音が車内に響き渡り
まるでキスの音とCHAGE&ASKAの音楽が合わさっているようだった…

僕はあつしさんに流されるがまま不器用にキスを交わしている…

肩を小さく震わしながら
ただただ受けるだけ…

初めての
臆病なキスだった…




あつしさんは更に僕をもっと強く抱き締める

そしてキスもどんどん深くなり

ついに舌を絡ませてきた

「クチュリ…クチャリ…
グチュリ…グチャリ…」

キスの音がだんだん大きくなってくる…



「うぅ…ん…う…ん…
むうぅ……ん…」

「むふぅ…むふぅ…
ぐ…う…ふぅ…あふぅ…
はぁ…はぁ…ぐむぅ…」

あつしさんの声……
凄く興奮しているのが僕にも伝わってくる…

鼻息は更に荒くなり

「む…むふぅ…ぐむむ…
ぐ…う…うん…う…!う…!
はぁ…」
と重苦しいような息使いをしている

あつしさんは僕からようやく唇を離し、顔をジッ…と見合わせながらこう呟いた

あつし
「あ…はぁ…はぁ…
伸くん…
可愛いなぁ…
ほんっとに可愛い…

まるで本当の息子のようだ…

と…父ちゃん……

も…もう…
伸くんが可愛すぎて
辛抱できないよ…

む…はぁ…はぁ…
あぁ…む…!ふぅ…
グチュ…ペロリ…

イメージ 2


父ちゃんな…
初めて見たときから
伸くんが愛しくてたまらなかった…

伸くん…いや…
伸は…
父ちゃんの息子だ…

父ちゃんのな…
可愛い自慢の息子だ…

そうだろ…?
息子の伸よ…」

僕はあつしさんにガッシリ抱き締められながら囁かれ
る…

そして唇を少し離して頬を真っ赤にしながら僕もあつしさんに囁いた

伸一
「う…うん…

お父さん…
僕…

僕…

お父さんにずっと…

ずっと…
会いたかったんだ…

お父さんが好き…

もう…
大好きすぎて泣いてしまいそう……」


あつし
「そ…そうか…
伸は父ちゃん事が大好きか……
はぁ……はぁ……
嬉しいなぁ…


伸…
もう父ちゃんに一切遠慮するな…
今夜はおもいっきり父ちゃんに甘えても良いからな…
言いたい事は全部吐いてしまえ…

この2日半だけは
父ちゃんが伸の本当の父親になってやるからな!」


伸一
「お父さん…
僕…

僕…

うぅ…グズ……」

僕は言葉を詰まらせ
瞳から一筋の涙が頬を伝う…

あつし
「伸…いいだぞ
遠慮しないでおもいっきり泣くんだ…
父ちゃんがしっかり受け止めてやるから……」


伸一
「僕…
本当の父親から…
そんなこと…
一度も言われた事ない…

いつも…
いつも女々しいオカマみたいな息子だって…
ケン坊と僕を比べて
お前は出来の悪い息子で町内の恥さらし、ケン坊が息子だったら良かったのに…

こんな事ばっかし!!」

「うわぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぁん!!!!」

僕は今まで出した事がないような激しすぎる嗚咽を上げて泣き叫んだ…

この時が生涯で一番激しく泣いた瞬間だった

まるで5才児が駄々をこねながら大泣きするように…



あつしさんは何も言わず
僕の顔を右胸に抱き寄せ、坊主頭をなでなでしながら反対の手で背中をポンポンと優しく叩いてくれた

僕の顔からあつしさんの心臓の鼓動が「ドクン…ドクン…」と伝わってくる

暖かい…

僕たちは生きているんだ…

お互いに支え合って

「人」として共に生きているんだ…

そう僕は生きる喜びを強く噛みしめた

あつしさんの腕の中で

僕はたくさん

本当にたくさん泣きました

長い間
溜まりに溜まっていたものを全て吐き出したかもしれない…



あの日の夜に泣き叫んだ思い出は…
今でも僕の恥ずかしいような…嬉しかったような…

思い出す度に
この2つが時と場合によって交差してしまう…

そんな複雑な気持ちの夜でした






結局僕とあつしさんが温泉を入ったのは…
深夜の1時を過ぎた頃になってしまった…

だけども僕は
ちっとも眠くなかった…

普段の生活ならば
とっくに寝ているハズなのに…

この日の夜の出来事は

僕が深夜の街まで自転車を走らせて
ゲイ雑誌「○-men」を買いに行ったあの日から

わずか3週間後のことでした


駐車場内に植えられている桜の蕾はチラリ…チラリ…と咲き始めているのがライトに光って映っている…



菜の花の季節が終わり

桜満開の春爛漫の季節が
もうすぐそこまでやってきている

駐車場の隣にある山で鳴いている
小さな虫の鳴声は
僕の激しい泣き声のせいで聞こえない…

車内の音楽は
CHAGE&ASKAの「めぐり逢い」から

ASKA
「はじまりはいつも雨」に変わっている…


これが初めて男同士でキスした夜だった…