どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

第八番札所、十夜ヶ橋「永徳寺」「四国別格二十霊場巡礼記」(第212回目)

四国別格二十霊場礼記



愛媛県大洲市十夜ヶ橋

四国別格二十霊場第八番札所

十夜ヶ橋、永徳寺」

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一巡目、2013年10月13日「新聞配達十年間皆勤記念巡礼」

二巡目、2014年10月「南予方面巡礼第三回」


標高820mの高山地にある、金山「出石寺」から約31km、山を降りて大洲市内へ向かう
そして国道56号線沿いに佇む、十夜ヶ橋「永徳寺」

この大洲市は、山に囲まれた盆地平野地帯となっており、夏は暑くて冬は寒いという
季節に厳しい土地なのである

現在では寺院周辺は大洲市内の中心部となっており、交通量の多い国道56号線沿いに加え、上部には高速道路も設けられている

そして周辺には大型スーパーの「おおずメッセ」を始め、マルナカ、DAIKI、アルペン、フジ等、高いビルのような建造物は無いが、昔に比べると随分賑やかになっている


そんな賑やかすぎる場所にひっそりと構える小さな寺院

十夜一ヶ橋「永徳寺」

四国八十八ヶ所霊場、第四三番札所、源光山「明石寺」から、第四十四番札所、菅生山「大宝寺」までの距離が80kmと難所の札所渡りとなっており、その途中で休憩がてらに立ち寄れる憩いの寺院でもある

この十夜ヶ橋「永徳寺」には、歩きお遍路さんの、無料宿泊宿の「通夜堂」もあり、この場所は全札所で唯一「野宿」が許可されているのだ

さて、どこで野宿するのかというと

それは永徳寺のすぐ傍にある「橋」の下である

十夜ヶ橋

橋の下で一夜を過ごし
弘法大師空海」上人と同じように修行する

寺院ではゴザの貸し出しもしているそうだ

私は様々な歩きお遍路さんのブログを読んできたが、この十夜ヶ橋「永徳寺」では、色々と突っ込み所の多く

この寺院に立ち寄った歩きお遍路さんのは、皆面白い事を記し残してくれるのだ


橋の下には、横になっているお大師様が奉られているのだが、お加持布団が何枚も重ねられている

「いくらなんでもこんなに布団を無理矢理被せられたら、お大師様が汗疹だらけになるだろう、今日から汗疹大師と名付けよう」

「交通量が半端ない国道56号線の橋に、上には松山自動車道に大洲IC、橋の下には鳩が住み着いて糞だらけ、川には鯉がウジャウジャ、現在お大師様がこの橋の下で野宿をしたならば、十夜が百夜に感じるだろうな…」

等々、歩きお遍路さんのブログでは色々突っ込み所満載の記事が記されており、結構笑わかせてもらった

しかし、今でこそ騒がしい場所となってしまった十夜ヶ橋だが、その昔…

いや…
もっともっと大昔は、この辺り一帯が殆ど田畑だらけの田園地帯であり、民家はチラホラと数える程しかなかったそうな…

さて、この十夜ヶ橋

お大師様とどのような縁があったのでしょうか…

それでは四国霊場昔話のはじまりはじまり~





お大師様と同行二人、四国霊場の旅
十夜ヶ橋での一夜」



お大師様がお歩きになった
道を歩き

お大師様縁の寺院を巡礼するお遍路さん

「同行二人」
といって、お大師様はいつも御一緒

お大師様のお導きで人生の道を歩む心をやしなうために

四国霊場をお開きになっています


修行の地、土佐を超え
菩提の地、伊予の国へとやってきた
弘法大師空海」上人

大洲の盆地平野を旅していたところで
ゆっくりと日が暮れてきました

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山々の合間を太陽が沈んでいく様子を
お大師様は高台から眺めていました

お大師様
「なんともきれいな夕陽じゃのう…」

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「しかし、そろそろ暗くなる、どこか一夜を過ごす床の間はなかろうか…」

季節はもう十月が過ぎる頃

夜になると冷え込みは一層厳しくなる

お大師様
「宿は無さそうじゃな…微かに明かりが灯っている民家を訪ねてみるとするか…」


お大師様は、だんだんと薄暗くなってゆく田園地帯を、小さな明かりを便りに歩いて行きました


そしてお大師様は、一軒の民家に辿り着き、門前で御経を唱えます

すると、中から母親らしき女が出てきました


「お坊様…なんでしょうか…」

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お大師様
「こんな夜分に失敬、今夜の寝床を探しておるのだが…」

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「母殿の家に一夜泊めて頂けぬかのう…」


「あぁ・・・」

女は少し間を開けて考えるが…



「申し訳ありませんが、他を辺ってください…

娘が病に倒れて寝込んでいるのです…」

お大師様
「そうであったか…
それはさぞ気の毒じゃ…」

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「夫には先立たれ、毎年の高い年貢を納めなければならないので…
家にはお坊様に施しを与える事もできませぬ…」

お大師様
「いや…良いのだ、突然邪魔して悪かったのう…
それでは失礼つかわす…」

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お大師様が女の門前から去ろうとした時でした


「あの…お待ちください…」

女はお大師様を頼りない声で呼び止めた

そして…


「七草の粥です…こんなものしかありませんが…外は冷えますので
どうかお召し上がりになってください…」

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女はお大師様に、一杯の七草粥を小さな茶碗で差し出した

するとお大師様は


お大師様
「これはかたじけない…
貴重な食べ物をありがとう…」

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お大師様は、その場で温かい七草粥を美味しく頂きました

そして「ふぅ…」と一息ついたお大師様は、胸元から何かを出しました


お大師様
「これを母殿の娘に与えるとよかろう…」

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お大師様は、七草粥をご馳走してくれたお礼にと、持っていた生薬を母殿に渡した


「あ…ありがとうございます…薬が買えなくて困っておりました…」

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「すぐ娘に与えてみます…」

お大師様
「大丈夫じゃ、母殿の娘は
きっと良くなる」

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「それでは私は失礼つかわす…」


「お坊様、本当にありがとうございます…」


お大師様が立ち去ってすぐ後、女が娘に生薬を与えてやると…

娘は一夜で病が治り、元気になったそうな…



お大師様は寒い暗がりの中を、また他の民家を目指して小さな明かりの方へと歩いて行きます


そして今度は馬飼いの家の門前で御経を唱えました


すると

ガッシリとした体格の馬飼いの男が出てきました

馬主
「こんな時分にうるさいのう!!門前でブツブツと誰じゃあっっ!!」

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馬飼いの馬主が血相を変えて門扉を開けました


お大師様
「夜分に失敬つかわす、今夜過ごす寝床を探しておるのじゃが……
一夜だけ泊めて頂けぬかのう…
何なら馬小屋でも構わん…」

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「もし無理ならば…僅かながらの施しだけでも恵んでもらいたいのじゃが…」

お大師が馬主にこう頼み込むが…


馬主
「おのれのような乞食の坊主にくれてやる宿も施しも何も無いわい!!」

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「邪魔じゃ!とっとといね!(帰れ)」

馬主はお大師様に吐き捨てるように言い放った


お大師様
「米をひとさじ、野菜の欠片、砂糖か塩をほんの少しだけでも構わんのじゃ…」

お大師様は寝床を諦め、馬主にほんの僅かな施しを求めました

しかし…


馬主
「しつこい坊主じゃのう!!とっとといなんとホーキで張り倒すぞっ!!」

馬主の男はお大師様に突っかかり、冷たく払いのけるように言い放った

するとお大師様は…


お大師様
「そうか…
邪魔したな…」

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お大師様は男にそれだけ言い残し
寒い暗がりの中を去って行きました


「ヒヒィ~ン・・・」

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馬主の馬は、そんなお大師様を気の毒そうに見つめていました

そしてお大師様が去ってすぐ後…

馬主の腹が急にギュルギュルと鳴り出し
猛烈な腹痛が襲ってきました…

馬主
「ぐわああああああああああああああああああああああーーーーー!!!
腹が・・!!!腹が痛いいいいいいいいいいいいいいいーーーーー!!!」


馬主は尻を押さえながらカワヤ(便所)へと走りましたが・・・

キツく結んだ褌が外せず・・・

馬主
「ぐああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

「☆★☆★☆★☆★☆★!!!」

馬主の家中は糞だらけになり、たいそう汚く臭い匂いまみれてしまい…
さらに…
それを見ていた馬主の馬は、あまりの臭さに何処かへ逃げて行ってしまったんだとさ・・・


それからお大師様は、数少ない民家の明かりを訪ねましたが、結局どこの家も泊めてくれませんでした…

諦めたお大師様は、小川に掛かる橋を見つけます

そして橋の下へ潜り、横になりました

お大師様
「仕方がない…今夜はこの橋の下で一夜を過ごすとするか…」

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お大師様は、小川の橋の下で今夜一晩野宿する事にしたのです…




しばらくしすると
すっかり夜も更けて冷え込みは厳しくなりました
橋の下では「ピュ~ピュ~」と容赦なく冷たい風が吹き抜けます

お大師様は薄い衣で身を縮め、寒さに耐えながら夜を過ごします

橋の上には時折「カツン…!カツン…!」と杖を突く音が橋の下に響き、寒さと合わさって、とても眠ることが出来ません

お大師様は寒さに身を縮めながら考えました

お大師様
「下の者は苦しみ
上の人たちは楽な暮らしをしている」

「どのようにすれば、仏様の教えを学び、皆が平等に幸せになる世の中に・・・変えられるのだろうか・・・」


「お米や麦も
種をまかねば芽はでない

けれどもその芽を出すためには土や水がなければ芽は出ない

種は因、土や水は縁、人の生死もまた同じ・・・」

「仏様の教えには、世の中すべてのものは因と、それを助ける縁によって成り立つもの・・・」

「もっと一心に修行に励まねば…」


お大師様は橋の下

一晩中寒さに耐えながら、仏様の教えの悟りを乞いました…


長くて…辛い夜を…
お大師様は寒さの中で、考えながら過ごしていました







そしてしばらくしすると…

いつの間にか

外は明るくなり
山の合間から眩しい太陽が東から顔を出しました


朝がやってきたのです


お大師様は、東の山間から眩しく輝く太陽の光に照らされた時…

心の中から自然の温もりを感じ、生きている喜びを改めて気づかされたのでした


お大師様
「嗚呼…太陽の光が温かい…
こんなにも朝日が恋しいと思った日はなかった・・・


橋の下で過ごした一夜が…
まるで十夜のように長く感じた・・・」


そしてお大師様は
御詠歌を歌います

「ゆきなやまむ
浮世の人を、渡さずば

一夜も十夜の橋と思ほゆ」


こうして十夜ヶ橋「永徳寺」では

お大師様と同じように、橋の下で一夜を過ごす修行の風習は、こうして伝わったのです

そして、お遍路さんが四国の橋を渡るとき、橋の上では杖を突いてはならないという旅の慣わしも、ここから始まりました…



四国霊場には、まだまだ
お大師様が残していった足跡や歴史がたくさんあります


次に四国の遍路道
新しく足跡を残していくのは

貴方かもしれないですね・・・


南無大師遍照金剛


納経の御朱印と1200年記念スタンプ

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御本尊
弥勒菩薩

1200年記念カラー御影

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真言
おん
またれいや
そわか

通常の御影

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1200年記念風景散華

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期間限定
虎之助の滝修行御影

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御詠歌

ゆきなやまむ
浮世の人を、渡さずば

一夜も十夜の橋と思ほゆ