2016年…
季節は早くも10月を迎える
日も短すっかり
日の出は遅く日暮れは早い…
9月の始めに鳴いていた鈴虫の鈴鳴りは…
コロコロコロ♪と、コオロギに変わってゆく
出遅れたお寝坊さんのツクツクボウシが
まだ鳴いている
もうとっくに夏も過ぎてしまったというのに…
頑張って鳴いている
嫁さんは見つかるのかな…?
川角にはナガコガネグモ
四方八方に張られた綺麗な網にはポツリポツリと
朝露がついていた
まるで宝石のように朝日に照らされ耀いている…
クモの大事な飲み水だ…
彼岸花が
道端の草原や田畑の畦道に咲いている
長い茎を伸ばして
真っ赤な花を広げる
時折白い花も…
辺りを幻想的な風景にしてくれる彼岸花
何時の時代も変わらない
無縁仏のお墓にも
添えられた花のように彩る
彼岸花は曼珠沙華とも呼ぶ
田んぼは稲刈りの収穫期
(高知県、土砂崩れがあった場所)
トラクターに乗ったおじさんが
麦わら帽子を被って稲刈りに精を出す
刈られた稲のかほりが
故郷の深山を思い出す
おいしいお米が食べたいな…
秋の空は高く澄んでいる
なだらかな雲が絵の具みたい
ススキを揺らす秋風が肌を撫でた
少し冷たくて身震いする
その秋風にのせて
金木犀のかほりもやってきた
毎年だけど懐かしい…
もうじき秋祭り
辺りでは
ちょうちんや御神輿の準備が始まっている
巡りくる季節の繰り返し
僕がお爺さんに
なった頃
どんな道を歩いているのだろうか…
静かな秋の朝
始発の踏切の音が小さな町に鳴り響く
毎日こうして朝がくる
変わらない毎日
同じような季節の移り変わり
どうして時の流れは
歳を重ねるほどに
速くなってしまうのだろう…
1秒たりとも止められない
1秒たりとも前には戻れない
時の流れは残酷だ…
僕は
綺麗に稲刈りされた田畑の畦道をボテボテと歩きながら
残された時間を…
何時まで続くかわからない人生を…
どのようにして生きてゆくのか
考えていた
写真「清水ヶ瀬沈下橋」