どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

「Dog,of,Flanders」~Xmas,special,lastepisode~

それは
雪の降るクリスマスの夜…



寒さで凍えて震えている
一人の少年が

瀕死の状態になりながらも
このアントワープ聖母大聖堂へと
やってきた…


冷たいくて硬い床

ペタ…ペタ…ペタ…
…と、既に寒さで麻痺してしまった足には、歩く感覚さえも伝わらない…


大聖堂には
誰も居なかった…


少年はゆっくりと大聖堂を歩き

ルーベルスの絵が飾られている所へと近づいて行く…


・・すると・・・


「カーテンが開いてる・・・!?」


このアントワープ聖母大聖堂に飾られているルーベルスの絵は

普段はカーテンによってさえぎられている…


銀貨や金貨等の硬貨を納めなければ

ルーベルスの絵を見ることは
許さないのだ…


少年は1セントすら持っていない…


だけど、今はカーテンが掛かっていない

しかも…

大聖堂にあるうちの2作品ともだ…


ルーベルスの2枚の絵

「キリストの降架」と「キリスト昇架」




ルーベルスの絵を…
両方とも見ることが出来るなんて…!


少年は
寒さを忘れて
ルーベルスの絵の前に立ち
顔を見上げた



ネロ
「ああ・・・

ぼくは・・とうとう見たんだ・・・

ルーベルスの2枚の絵を・・・・」


少年はルーベルスの絵に
安堵と感激で胸がいっぱいになった…



ネロ
「マリアさま・・・
ぼくは幸せです・・・
もう・・・何もいりません」


少年は手を合わせ
神に感謝を告げると


ネロ
「これでもう・・・
思い残すことはない・・・」


そう言って
安堵の笑みを浮かべながら
硬く冷たい大聖堂の床へ
パタリ・・・と倒れてしまいました



すると…

「コロン・・♪・コロロン・・・♪」


大聖堂の門から首輪の鈴鳴りが聞こえてきます…

飼い犬のパトラッシュが
口に少年の手袋をくわえて
入ってきました…

寒い寒い吹雪の中を…
少年ネロが落とした手袋をたよりに
ここまで追ってきたのです…


しかし…
そんなパトラッシュも
寒さと空腹で今にも倒れてしまいそうなほど弱っていました


ですが、愛する少年
ネロのためにと
最後の力をふりしぼり
ネロの元までやってきました


ネロ
「パトラッシュ・・・
ここまで追ってきてくれたんだね・・」


パトラッシュ
「クゥ~・・・・ン・・・」


ネロ
「ぼくたちは
ずっと一緒だね・・・」


パトラッシュ
「クゥ~・・ン・・」


ネロ
「パトラッシュ・・
見てごらん・・・・
これがルーベルスの2枚の絵だよ」

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ネロはパトラッシュを抱き寄せ
ルーベルスの絵を指さし
もう一度顔を見上げ、目を輝かせながらパトラッシュに言います


ネロ
「とうとう見たんだよ
ルーベルスの2枚の絵


パトラッシュ・・
ぼくは今・・・

とっても幸せなんだ・・・!」

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ふたりは
幸せそうに
絵を見ていましたが・・

パトラッシュは冷たい大聖堂の床に
ペタン…と、うずくまってしまいます…


ネロ
「パトラッシュ・・・
疲れたんだね・・・・


ぼくも・・・疲れちゃった・・・

なんだかとっても眠いんだ・・・・

一緒に寝よう・・パトラッシュ・・・」



ネロとパトラッシュは
たがいに身を寄せ合い

ゆっくりと瞳を閉じました…



そしてもう…
ふたりは目覚めることはありませんでした…


ネロとパトラッシュは
永遠の眠りについたのです…


誰もいない
広くて寒い大聖堂のロウソクが

風もないのにフ…と消え
辺りは真っ暗になりました


大聖堂の塔にある窓から

月明かりが入り込み
ネロとパトラッシュが
光に照らされると…


天使が空からふたりの元へとやってきて



ネロとパトラッシュは天国へと導かれていきました…


これからふたりは永遠に

悲しいことも
お腹が空くこともありません

お空にいる
お母さんやおじいさんたちと一緒に

いつまでも幸せに
暮らしていくことでしょう…

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