どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

3月11日~たった1本だけで生きてきた6年間と、これから生きる新しい命~

ここは陸前高田市

七万本もの松の木が生い茂っていた
高田松原

2011年、3月11日
東日本大震災

人間の想像を遥かに超えた大津波

その七万本もの松の木のほとんどを

膨大な力で押し流していきました


高田松原
七万本あった松の木は無くなり

無惨にも
津波によって押し上げられ
流木となって至る箇所で山積みになっていました・・・



しかし…


1本だけ・・・


1本だけ流されずに
立っていた木があったのです…


それが…

陸前高田市
高田松原の「奇跡の1本松」


高田松原に生い茂っていた松の木の種類

「あいまつ」



その中でも

以前からひときわ目立っていたという

通常の種類の中で、最も大型な松の木だったのです…



すぐ傍に立っていたユースホステルが防波堤となった事も相まってか

丈夫な根っこで
あの巨大津波でも流されなかった為

別名「ど根性松」とも言われている



しかし…

海水に10日間浸かっていたので根っこが腐敗している問題が見つかり、このままでは枯れてしまう…


何としてでもこの「奇跡の1本松」を
生かしてやりたい

震災復興の希望として残さなければ…


「奇跡の1本松を守ろう」

たくさんの人達によって
幾度となく処置が施されました…


その甲斐あって

枝から新芽が出ます

やがて緑の葉を実らせ

松ノ木の先端は傘状になりました…


これで大丈夫だろう…

こうして定期的に修復作業とメンテナンスを重ねていけば・・・




このまま元気な姿で…

陸前高田市を見守る
希望の1本松として…

残していけるはず・・・



・・・そう願っていました・・・









「~3月11日、たった1本だけで生きてきた6年間と、これから生きる新しい命~」

「Kent’Graphics’Presence」




今日は「3月11日」

東日本大震災

恐ろしい大津波の被害にあったあの日から…

ちょうど6年という月日が経った日です



高田松原の「奇跡の1本松」である

1本松おじさんは、津波によって流されてしまった仲間や兄弟たちを思い出し

ただ1本


今日も1本だけで
美しい海を眺めていました…


1本だけで寂しい…

だけど…

たくさんの人達によって
ここまで修復してくれたのだから…


これからもしっかり
強く生きていかなければと…


自分にそう言い聞かせながら…

西の海に沈んでいく

オレンジ色の太陽と
まっ赤な夕焼け空を

まぶしく見つめていました


1本松おじさん
「あの震災、津波があった日から
もう6年も経ってしまっあのかあ~・・・

わしにとっては、まだ昨日の事のようしゃ…

仲間や兄弟達が、わしの目の前で流されていく様子を見ながら、ただ自分を守る事しか出来なかったんじゃ・・・」


「すまんかったのう・・・」




「結局わしだけが生き残ってしまって・・・


震災後には「奇跡の1本松」と言われるようになってから人気者となり、皆に大事にしてもらっている・・・」


「本当は・・・

本当はあの時・・・

わしも仲間や兄弟達と一緒に・・・

流されていった方が良かったんじゃないのかと・・・・

時々思う時があるんじゃ・・・」


「わしを修復するのにも、莫大な費用が発生している・・・

もういやじゃ・・・

そんな事はもう辞めてくれ・・・


わしの修復に費用を使うんじゃったら、まだ仮設住宅で生活している者や、津波で親を失った子供達らを助けてあげてくれ・・・・」


「わしはただ運良く生き延びただけの・・・

普通よりも大きめな・・・


・・・ただの松の木じゃ・・・・

これ以上
わしの修復のために・・・

大事なお金を使わないでくれ・・・

これからは被災地で困っている人のために・・・」


1本松のおじさんは

自分を生かそうと一生懸命に活動してくれている人たちに、大変感謝しています


しかし…

必要以上に高額な費用を使ってまで保存を強いられるのは・・・

被災者の事を考えると…
心が苦しくてなりませんでした…



1本松おじさんは
だんだん海に沈んでいく太陽を眺めながら

昨年、自分に会いに来てくれた「ぽん太」や、チャイルドホームの家族たちの事を思い出していました…



1本松
「1年前・・・
わしに元気になる水を与えてくれた

タヌキの男の子

「ぽん太くん」

今日は来てくれないのかなぁ~・・・

会いたいなぁ~・・・

また楽しくお話ししたいよぉ~・・・」



1本松おじさんはさみしくて

泣いてしまいそうになります…



1本松おじさん
「グス・・・
ぽん太く~・・ん・・・

も・・・もう・・・

おじさんの事なんて・・・
忘れてしまったのかな・・・

グスン・・・」



涙ぐむ1本松おじさん・・・


しかし・・
もう日が暮れようとしています・・・




太陽が水平線に触れた時でした…



突然海が「ピカッッ・・・!!!」眩しく光りました!


1本松おじさん
「う・・・うぐっ・・・

ま・・・まぶしい~・・・

一体何が起こったと言うのじゃ・・・!」





突然光り出した海は…

辺りの景色が見えなくなるくらいの
まぶしさを放っていましたが…




ゆっくり…

ゆっくりとおさまり…
元の落ち着きを取り戻していきました…



1本松おじさん
「び・・・
ビックリしたのぅ~・・・

今の光は一体何だったんじゃぁ~・・・」



突然の光に驚いた1本松おじさんは、
落ち着きを取り戻しながら
何気なく辺りを見回してみると・・・



浜辺に…

先ほどまでは

確かに無かったはずの…

ジャングルジムがあったのです…



1本松おじさん
「あれれれ・・・?

どうしてあんな所にジャングルジムがあるのじゃ・・・?」



1本松おじさんは
困惑しながらも、突然不意に現れたジャングルジムに視線を向けます

そして・・・

そのジャングルジムを・・・
よぉ~・・・く見てみると・・・」



ジャングルジムのてっぺんに…
タネキの子供がポツリと立っていました…

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1本松おじさんは
ぽん太くんが来てくれたのかな?
と思いましたが…


ぽん太よりも
ひとまわり小さい
子だぬきでした…




1本松おじさん
「子だぬきや・・・
お前さんは・・・
どこから来たの・・・・?」

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1本松おじさんは…
そのジャングルジムの上にいる…

子だぬきにそう問い・・・
話しかけてみました・・・

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子だぬき
「あれれ~・・・?
ここどこだろ~・・・・・?」

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1本松おじさん
「子だぬきや
ここはのう~・・・

陸前高田市高田松原じゃ…


松原といっても、仲間や兄弟達は皆津波で流されてしまったから、今はわし1本だけじゃがな・・・」


子だぬき
「あ~!!
木がお話ししてる~!!」

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1本松おじさん
「お前さんじゃって…
子だぬきなのにお話ししてるじゃろう?」


子だぬき
「あ~!ほんとだ~!!」


1本松おじさん
「子だぬきや
お名前は?」



「ぼく、けんと!」

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1本松おじさん
「けんとくんか・・・
健康で強そうな名前じゃのう・・・

ところで…

けんとくん
どこから来たの?」


けんと
「ん~・・・とねっ!
・・・・・・
わかんない!!」


1本松おじさん
「わかんない…?

迷子かな・・・

ねぇ…
けんとくん、お家はどこ…?」


けんと
「ん~・・・とねっ!


・・・・・・・・・

あっち!!!」



子だぬきの
けんとくんは…

1本松おじさんにそう言われると

海の方を指さしました…




1本松おじさん
「・・・・・?

あっち・・・・って・・・

それだけじゃあわかんないぞぉ~・・・?」



けんと
「ベッドで寝ていて来たのっ!!」




1本松おじさん

「ベッドで寝ていて・・・??

・・・・・・・・

う~・・・・・ん・・・

余計判らなくなってしまったぞ・・・」



けんと
「だって、ほんとなんだもん!」


1本松おじさん
「まあ・・・いいや・・・

きっと迷子になってしまったのを、強がってごまかしてるんだな・・・!


じゃあ…
けんとくん・・・

お前さんの・・・

お父さんとお母さんは・・・?」




けんと
「いない!」



1本松おじさん
「い・・・いない・・・?

そ・・・それは・・・・

何か訳があったのかな~・・・?」




けんと
「いないよ!
だって、ここは夢の中だもん!!」




1本松
「!? 
・・・ゆ・・・夢の中・・・??

じゃあ・・・

こ・・・ここは・・・・

夢の中だというのか・・・??」




けんと
「うん、そうだよ!」


1本松
「けんとくん
おじさんに、そんなウソついたってダメだぞ、今日は3月11日・・・

わしは今日は1日ずっと

あの6年前の大震災による津波を思い出してな…

ずぅ~~~・・・と!海を眺めていたんんじゃから・・・」



けんと
「ほんとだも~ん!

だって、さっきおじさん泣いてたでしょ!」




1本松おじさん
「な・・・・!
ななな・・・!?

泣いてなんかないわいっ!!」



けんと
「泣いてたもん!

向こうの夢から、おじさんの泣き声が聞こえてきたから、ぼく・・・


こっちの夢の中に呼ばれてきたんだもんね!!」



1本松おじさんは

けんとくんの話がよくわかりませんでした

だけど・・・

本当は・・・

けんとくんの言うとおり・・・

さっき・・・
ほんの少しだけですが・・・


さみしくて…
津波に流されてしまった…

仲間や兄弟の事を思い出し…

泣いていたのです・・・・



1本松おじさんは

この子がウソをつくような年齢でもないと感じ…

けんとくんに問いかけます…




1本松おじさん
「けんとくん・・・
いま・・・いくつ?・・・」



けんと
「5才!!!」


1本松おじさん
「あらら・・・
まだ5才のお坊ちゃんか・・・」



けんと
「でも、もうちょっとで6才になるもんね~だ!!」



1本松おじさん
「ふぅ~・・・む・・・
なるほど・・・・

今年で6才になるんか~・・・

まだまだ可愛らしい年頃じゃの~・・・!」



感心したのも束の間…

1本松おじさんは、あることに気がついてしまうのです・・・



1本松おじさん
「あ・・・・
あぁぁ~・・・ぁぁ~・・・ぁぁあ!
今年で6才という事は・・・!





けんとくんが生まれたのは・・・

あの東日本大震災があった年に・・・


生まれた子ども・・・」



1本松おじさんは

けんとくんとの
出会いに・・・


何か運命的なものを感じました・・・



そして

謎の子だぬき

けんとくんは・・・


一体
何者なのだろうか・・・



まっ赤な夕やけ空に…

キラキラと輝いている海と・・・

ゆっくりと沈んでゆく太陽…


1本松おじさんと
子だぬきのけんとくんは

2つの長い長い影を作り

波の音しかしない…
静かな砂浜に…
ぼんやりと揺らめいていました…


(つづく)

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Ponta’Graphics」
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