どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

「名作プレイバック劇場~同じ釜の飯を食べたあの仲間も~2017新装版」

それは…
小雨が降りそうな曇り空の日曜日・・・

朝の午前9時半頃から始まった出来事だ・・・

「ピンポーン♪ピンポーン♪」

突然私の家のインターフォンが鳴り出す

あれ・・・?
ヤフオクAmazon楽天

先週は何も買ってないはずだけど…


私はヤフオクAmazonで購入した商品の配達日時は日曜日の午前中と必ず決めている・・・

なので買い物をしなかったにもかかわらず、普段からの癖で宅配業者が商品を配達に伺ってきたのだと勘違いをしてしまった・・・


玄関ドアの曇りガラスからは黒い人影が立ちすくんでいた・・・

どうやらわりと大柄な男のようである…

玄関を空ける前に、最近私の家のインターフォンを鳴らす宅配業者以外の者は…

ある宗教団体の勧誘(○○バの○人)

ポスティング業者

生命保険の訪問営業

この辺りといったとこだろう・・・

私は玄関の鍵に手をやり「ガチャリ・・・♪」と重いドアを空けながら

今日は誰だろうか・・・
今日はどうやって断ろうか・・・
新手の業者かもしれないから注意しないと・・・

・・・面倒な訪問者の相手に乗り気でないため、あえて警戒心を持たず、ランニングシャツに縦縞パンツというおっさん風浪の恰好のまま出たのだ・・・・

・・・すると・・・!

玄関から太った体を半分出した私の前に立っていたのは・・・

・・・思いも寄らぬ・・・

・・・奴であったのだ・・・

・・・その相手とは・・・






「名作プレイバック劇場」

~同じ釜の飯を食べたあの仲間も~

2017年新装版

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「おはようさぁん~~・・・♪」

虎之助
「な・・・!?なんやん!?
いきなり・・・!?」


「遊びに来たでぇ~~~♪♪♪」 

虎之助
「アホか!遊ぶ暇なんかあるかいや!」


「まぁ~♪まぁ~♪まぁ~♪
虎之助ちゃん♪早よビール飲みたいけん家入れてくれぇ~や!」

虎之助
「ビール・・?あ・・・!
お前また!?コンビニでアサヒクラシックラガースーパードライの500ml買ってきてるやんっ!!」


「ほうよ~~♪♪
ワシの相棒(トラック)は温泉ホテルの駐車場で休ませてるから♪」

虎之助
「あーーっ!!
セブンイレブンの袋や!!」


「前来た時は無かったのに、いつの間にか駐車場のすぐ先にセブンが店出しとったけん、ビール買うてきたんやわ!!」

虎之助
「おかげでその斜め向かいにあっあファミマが3ヶ月で廃業したわいや…」


「ファミマなんかいらんやろうげ!
今コンビニ業界はセブン&アイ・ホールディングスの一人勝ちや!!
がーーーっはっはっはっはっは!!!」


私の家(コーポ)に突然やってきたのは・・・・

かつての深山中学校の同じクラスであり、深山中学相撲部の同級生だった・・・

「宮本太」「みやもと・ふとし」
(既婚・2児の父親)


虎之助
「シッ・・!玄関先で笑うなや・・!!
向かいの201号室と上の101号室は最近越してきたばかりなんやから静にしいや・・・!」


「お前はまた相変わらず両津勘吉みたいな恰好しおってからに~・・・」

虎之助
両津勘吉はお前!!
ほんとそっくり、眉毛といい角刈りといい体格体毛はまさに実写版!!」


「なぁ~~・・・に、じろじろと人の体を舐め回すよう見よんじゃい!!
もう入るぞ!!ビール1本飲んだらシャワー浴びるさけえ、その前にまた適当につまみでも作っとくれなさいや!!」

虎之助
「なんで連絡も無く急に押しかけて来るんよまったく~・・・!!」


「じゃかぁーしぃーわ!!
長距離ドライバーに定時刻なんてないんじゃっ!!
今回たまたまお前が休みの日曜日に愛媛県横断するんで寄れただけよ!!
この時間ここに来れたんもホンマ奇跡的っちゅうわけや!!
おら、太った坊さんどけや!いつまでもそこ突っ立っとったら入れまいげぇ!」


虎之助
「もしかして・・・
明日は土佐清水市・・?」


「ふふっ…バーロィ!
今回は窪川町よ!!」

虎之助
窪川町かぁ・・・
(昔あつしさんと道の駅・あぐり窪川行ったなぁ…)」


「ひひんっ!顔まっ赤にしやがって!
本当はワシが来て嬉しいクセに!!
なぁっ!?ほうじゃろげ!虎之助ちゃん♪」

虎之助
「顔が赤くなるんは体質なんやから…
しょうがなかろうげ・・・!」


「はいはいはい♪
後でちゃんと優しく抱きしめてやるから早くそこどけ!
はい、お邪魔さぁ~ん♪」

虎之助
「お前なんかに抱きしめられたないわい・・・
大嫌いなんやから・・・」

太は
玄関のドアに半分体を出した状態の私を真正面から体ごとグイグイおしつけながら強引に家の中へと入って行った…

その時・・・
太から漂ってくる体臭は・・・

長距離ドライバーという不摂生な生活が長期にわたり体に染み付いており…

自分にはない加齢臭の混じった
親父のほろ苦い香りが私の鼻へとフワン・・・と漂ってくるのだ・・

頭はタワシのように剛毛なソフト角刈り

顔は一重まぶたのヤッさん風

鼻の下には髭を蓄え、顎はポツリ…ポツリの無精ヒゲ

口元からは常に
たばことお酒の匂い…

○○高速運運輪と刺繍の入った黒のベストに紺色の作業ズボン

長距離ドライバーには重い荷物の積み込み作業も業務に入るのだが…
たまに高速のサービスエリアで腕立て伏せ等の筋トレもやっており…
時と場合に合わせて体を鍛えるようにしているらしい…

さらに学生時代から相撲部で稽古を積んできたこともあり、それの名残もあってか体格は相変わらずガッシリ太く堅太りな太…

さらにその体にビール腹が加わり太鼓腹
という完全な親父体型…

学生時代
相撲の稽古では何度も太とぶつかり合った…

太の方が断然強かったため・・
いつも土俵の外に突き飛ばされたり

思いっきり投げられて

土に手足をつけるのは・・・

いつも自分だった・・・


あの時の太から漂ってくる香りは…

汗と唾液と土と若干の脇の下の匂い…

それから汗を何日も吸った…

酸っぱい鼻のつく香りがする…
茶色く濁った九桜の稽古廻しの匂いだった・・・

少年時代の
あの意地悪だった宮本太…

帰り道では田んぼで取っ組み合いの喧嘩をしていて酒屋の親父に見つかり2人とも頭をシバかれたこともあった・・・

あのわんぱく盛りの少年が・・・

すっかり立派な大人になり…
長距離ドライバーとして…
2児の親父となった同級生の太…



太には…
今の私にはない…
「男」を感じるのだ・・・

熟成された大人の親父・・・

そんな太を前にしたら・・・

どうしても平常心では要られなくなるのが私の悲しい性の事情である・・・


私は・・・
昔から嘘をつくのが下手くそだ・・・

太の事が大嫌いだと・・・
言ってはいるものの・・・

それは学生時代の話であって…
今は同級生の中でも1番の親友になるからなのだ・・・

太が来てくれて…
本当は嬉しかったのである…


太は大型トラックの長距離ドライバー
部署の中でももうベテランクラスに位置する・・・

しかしそんな太でも・・・
上下関係に厳しい長距離ドライバーの世界では・・・
まだまだ子犬程度の扱いになるという・・・

今でこそ長距離ドライバーは待遇や労働時間が割に合わなくなっているせいか若手が続かないらしい・・・

そして太の部署でのボスは・・・
いまだに現役の68歳のドライバー
「松田健吾」さん

元○○○幹部であり…

背中には立派な龍と鯉の刺青…

左手の小指はない…


太が言うには
この人には絶対に逆らえないらしい…

元○○○だから怖くて…
怯えているのではないらしい…


「長距離ドライバーにはな…
ワシも含めて波瀾万丈に生きてきた奴らが多いわけよ…

そんなワシらを何一つ責めたりせず
優しく受け入れ面倒見てくれたんは健さんや…
皆の父親のような存在やからな…」


マルボロに火を点け…
アサヒスーパードライ片手に…

網戸の外を眺めながら語る太には…

やはり何処か…
孤独な男を演出しているようだ…

太にはもう…

両親が居ない…

父親は…
太が17歳の時に浮気相手と蒸発…

母親は…
太が22歳の時に病に倒れ病死…

弟も居るが…
ずっと音信不通…

身内関係の従兄弟や親戚からも見放される…

デキ婚して…
奥さん、長女、長男と・・・

ようやく暖かい家庭を築いたものの…

長距離ドライバーが帰省出来るのは…
月に2回程度…

そんな太が家に居ても・・・

家族からは相手にされず蚊帳の外…


本当に・・・

天涯孤独に生きる長距離ドライバーの男

「宮本太」

今日突然押しかけきたのは・・・

きっと何かを・・・

打ち明けたいからなのであろう・・・


今夜も太は・・・
以前来た時のように・・・
おもいっきり男泣きしたいんだろうな・・・と・・・

つまみの冷凍お好み焼きが…
レンジの中でクルクル回転する様子を見つめながら…

私は…
悲しくすすり泣く太の…
タワシのような頭を…

また・・・
優しく撫でてやるか・・・

・・・と思いながら、タンスの中に入っている太専用のランニングシャツと縦縞パンツを…
冷凍お好み焼きが出来上がる前に取りに行った・・・


「おぉーーー・・い・・!!
虎之助ぇーーー・・・!!
つまみはまだかぁーーー・・・?」


虎之助
「太・・・これ・・・
着替えな・・・
シャワー浴びたらまたこれ着てぇな…」



「おうっ!ありがとさんっ!」


「チィーーー・・・ン♪」


虎之助
「あ・・・
お好み焼き出来たみたい・・・・」


「いやっほ~い♪」


私は台所で…
レンジの扉を開ける…

熱々のお好み焼きは…
ふんわり湯気が立っている…

2年前…
あの時と同じ…



今夜もまた・・・

悲しい・・・

男2人っきり・・・

涙の夜になりそうだ・・・


「名作プレイバック劇場」

~同じ釜の飯を食べたあの仲間も~

2017年新装版
(終)

セブンの中からコッソリ撮らせてもらった実物の太貴重shot

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撮影は本人から「絶対するな!」と言われてるのでバレないよう加工しています…