なんでも知ってるつもりでも...
世の中には知らないことがいっぱいあるんだよ...
(おでんくんのパクり)
2020年 3月 11日
あの東日本大震災から...
今日で9年の時が流れました...
長かったような気がしたけれど...
思い返してみれば速かったような...
来年で10年になるなんて...
時の流れが瞬きする間にどんどん過ぎてゆく...
でもそれはあなたが一生懸命生きたから...
気づかなかった...
幸せな時間を過ごしてきたのかな...
だって...
9年前で時間が止まってしまった人が...
この町にはたくさん居るのだから...
笑ったり、泣いたり、怒ったり
生きているからできるんだ...
今日は大切なあの人と...
暖かい体で触れあえる喜びと幸せを...
一緒に感じたいな...
3.11~9st year hope~
「空からふってきたものは...」(完全版)
東日本大震災から...
今日で9年目となる...
3月11日の朝を迎えた...
遙か遠くまで見渡す限りに続いてゆく砂浜に...
空に向かってグンと伸びてくシルエット...
希望の象徴を表す存在感に...
今日もこの場所へと...
皆がやってくる...
これが...
「奇跡の一本松」
太陽が東の方から顔を出し...
朝日の光が広い水平線を...
キラキラと照らします...
海から砂浜へと吹き抜ける風...
この地を見守る「一本松」の青葉が...
ザワザワと音をたてて揺れている..
まだ冷たい風が...
静けさの中...
松の青葉の揺れる音...
遠くから聞こえる小さな波の音が....
広い砂浜を優しく撫でるようにささやいている.....
...
そんな静寂な朝の中...
まだ周囲に誰も居ない早朝の高田松原に...
ある親子2人の姿が見えてきました....
真奈美(まなみ)
「父さぁーーーーーん!
早くーーーーーーーーーー!!
こっちだよーーーーーーーー!!」
猛(たける)
「ハァ・・!ハァ・・!ハァ・・・!
お・・・おぉ~~~・・・い・・・!
ま・・真奈美~~~・・・・・!
は・・・・走るのだけは・・・!
勘弁してくれよ~~~・・・・!!」
真奈美
「もうっ!父さんったら!
ゆうべビールなんか飲んでるからへばっちゃうのよ~~!」
猛
「はぁ~~~~・・・!しんどい・・・!
ハァ・・ハァ・・・ハァ・・・・
父さん・・・
心臓がパンクしそうだよ・・・!」
真奈美
「父さんが最近太って体重増えたの知ってるんだからね!
年齢も40歳とっくに過ぎてるんだから、いい加減体の事考えておかないと次の健康診断引っかかっちゃうぞ~~!」
猛
「あぁ~~~~!!
さては真奈美~~~~!!!
父さんの健康診断結果通知みたなぁ~~!!」
真奈美
「血圧と尿酸値が高めの肥満型だってさ!
このままだと、生活習慣病になるかもねー!」
猛
「ふんっ!
父さんはまだまだ生活習慣病なんかにならないぞ!
習慣にしているウォーキングだって、しっかり頑張ってるんだからな!」
真奈美
「やだっ!父さん!?
ズボンのお尻が破けてるよ!!」
猛
「え・・・えぇっっ!?
まさかっっ!!」
真奈美
「なぁ~~んてね!!
ウッソぴょ~~~~~ん♪♪」
猛
「このやろ~!(怒笑)
親をからかいやがって~~~!!」
真奈美
「ははぁ~~ん♪
ここまでお~~~いで~~~だ!!」
猛
「こらぁ~~~~!!
逃げるな!!待て~~~~!!」
他愛のない親子の会話...
仲良くじゃれ合う仲の良い父親と娘...
まだ日が登り始めたばかりの広い海辺に...
吹き抜ける風と...
小さな波の音...
2人の楽しげな笑い声が...
遠い砂浜まで届きそう...
「奇跡の一本松」へ...
朝一番のりでやってきたのは...
本条真奈美(15歳)と...
本条猛(43歳)の...
父親と娘の親子でした...
猛
「さぁ鬼ごっこはもうおしまい!
真奈美、父さんと一緒に並んで...」
真奈美
「はーーい!
・・・お祈りの前に・・・
希望の鐘・鳴らすね・・・」
カラァ・・ン♪
カラァン♪カラカラァン♪カラァ~ン♪
真奈美は...
海風に吹かれながら...
一本松の横にある「希望の鐘」を鳴らすと...
高田松原の砂浜一辺が優しい音色に包まれる...
左右に揺れる金色の鐘が...
朝日に照らされキラキラ眩しい光を放ちながら揺れている...
真奈美と猛は2人並ぶと...
手を合わせ...
そっ...と目をつむった....
真奈美は4月に入学する高校の真新しい制服を着て...
猛は高校の入学式に着ていく為...
新しくオーダーメイドに仕立て上げた紺の背広を紳士に...
9年前の3月11日...
津波で亡くなった...
真奈美の母親であり...
猛の妻...
本条恵子(けいこ)に...
祈りを捧げた...
静まり返る中...
祈りを捧げる2人...
頭上から松の葉が...
風でザワザワ....
砂浜一辺の波が...
ザザァ...ザザァ....
制服と背広が...
風ではためく音...
2人は9年目の想いを祈った
愛する恵子へ...
2011年・3月11日
あの日...
僕たちは...
当たり前の生活をしていた...
よくあるありふれた...
仲の良い夫婦...
真奈美がまだ6歳の頃...
卒園式が終わったら...
4月から晴れてピッカピカの1年生...
恵子は真奈美の卒園式と入学式には...
3月11日の朝
恵子
「真奈ちゃーん!
ごはん食べ終わったら、幼稚園に行く準備してねー」
真奈美
「え~~!
まだテレビ見た~い!」
恵子
「もう幼稚園に行く時間だから、テレビはもうおしまい、ごはん終わったらすぐにお着替えする!
わかった~?」
真奈美
「うぅ~~~~ん・・・
やだぁ~~~~・・・」
恵子
「真奈ちゃ~~・・ん・・・.
もうすぐ1年生でしょ~・・?
学校へ行くようになったら、朝もっと早起きしないといけないんだぞぉ~~?」
真奈美
「えぇ~~~・・・
そんなの真奈やだぁ~~~・・・」
恵子
「えぇ~~~・・・?
じゃあもう1年・・・
幼稚園通わないといけなくなるぞ~~~?
せっかくパパがピンク色の可愛いランドセル買ってくれたのに~~~~?
それでもいいの~~~?」
真奈美
「はぁ~~~い・・・
ママごちそうさま~~~・・・
真奈、お着替えしてくる~~~・・・」
恵子
「は~い、よく食べました~~♪
真奈ちゃんは良い子だね~~~♪
制服と靴下、ハンカチ、もう出してあるから、お着替えGO♪」
真奈美
「は~~~~い!」
猛
「おーーーい!
おーーーい!恵子ー!
ネクタイがうまく締められないんだ...
ちょっと手伝ってくれよーー!」
恵子
「ちょっと!あなた!?
まだ着替え済んでなかったの!?
早く支度しないと、会社遅刻するでしょ!?」
猛
「わかってるよ~~・・・!
でもワイシャツの糊付けが硬くて..
1番上のボタンが止まらないんだ!
これじゃあネクタイが締められないよ~!
恵子早くしてくれー!」
恵子
「もう~!
しょうがないひとね~~~!
ほら、貸してごらん・・・!」
猛
「はぁ~~~・・・
もう~~~・・・・
頭痛ぇ~~~~・・・
クラクラする~~~・・・」
恵子
「ゆうべビールばかり飲むからよ!」
猛
「なぁ~恵子~・・・
俺の財布と携帯と鞄はーー?」
恵子
「ちゃんと玄関に置いてるわよ~」
猛
「え・・・
えへへへ・・・すまんなぁ~・・・」
恵子
「ちょっ・・・!!
口が超く・さ・い!!!
あなたっ!?
ちゃんと歯磨きしたのっ!?」
猛
「もういいじゃねぇ~かよぉ~~・・・
遅刻しそうなんだからさぁ~~~・・・
通勤中にキスミントガム噛むから大丈夫だって!」
恵子
「あ~~やだやだ!
私、歯も磨かない不潔な夫となんて・・・」
猛
「お・・・
夫となんて・・・?」
恵子
「ふふ~~・・・ん・・・」
猛
「な・・・なんだよぉ~・・・」
恵子
「いってらっしゃいの・・・
キスしてあげないもんね~~~だ♪」
猛
「お・・・
おいおい~・・・
そりゃあないだろぉ~~・・・・」
恵子
「だぁ~~~~~めっ!
ちゃんと歯を磨いてくれるまで・・・
キスはおあずけ!!
はい!ネクタイ出来上がり!」
猛
「わかったよ!
今から急いで磨いてくるから・・・
ちょっとそこで待っといてくれよな!」
恵子
「髭もしっかり剃っといてね~♪
私ジョリジョリ痛いの嫌だから!」
猛
「お・・・おうっ!
恵子にはかなわんなぁ~~・・・」
ドテドテドテドテドテ・・・
何気ない朝の日常...
寝ぼすけな僕は...
朝が弱くてなかなかベッドから起きられない...
それでも君は...
毎朝ちゃんと僕を起こしに来てくれて...
台所で美味しい朝食を用意してくれたんだ...
真奈美の面倒も任せっきりで...
本当に...
ズボラでダメな夫だった...
だけど僕は...
本当に...
本当に幸せだったよ...
恵子・・・
・・・
僕は君を・・・
恵子
「ほら、あなた...
おサイフ、携帯電話、ハンカチに鞄・・・
大丈夫?忘れ物ないわよね?」
猛
「まだひとつ...
忘れているぞ~~~・・・?」
恵子
「・・・・・・?
・・・何よ・・・
もう持って行く物は全部持ったでしょ?」
猛
「・・・・・・・・・・・・・・・
んーーーーーーーーーーーーー・・・・」
恵子
「んふふふ・・・
もう~・・・
あなたったら~~・・・
しょうがないな~~・・・・・・」
「チュ❤」
真奈美
「あぁ~~~~~~~!!
ママとパパがチューしてる~~~!!」
それが...
君との...
最後のキスになるなんて...
そして...
恵子
「ねぇ...あなた...
今日金曜日だから、お仕事早く終わるんでしょ?」
猛
「おうっ!
新しい企画の案件も目処が立たった事だし...
今日は残業もなく早く帰れるぞ!!」
恵子
「じゃあ...
今晩の夕飯、何がいい?」
猛
「そうだなぁ~・・・
今日は寒いから、恵子の作ったアツアツの...」
「ロールキャベツが食べたいな!」
恵子
「ロールキャベツね!
オッケー!
ちょっと下ごしらえが面倒だけど...
まぁいいわ!任せといて!!」
猛
「多めに作っといてくれよな~~♪」
恵子
「わかってるわよ♪」
猛
「それじゃあ・・・」
恵子
「うん・・・」
猛
「行って来まーーす!」
恵子
「行ってらっしゃーーい!
気をつけねー!」
・・・・・・
これが....
恵子と交わした...
最後の言葉だった....
9年間・・・
僕と真奈美・・・
2人3脚で生きてきたよ・・・
まだ幼かった真奈美を...
男手1人育てるのは...
想像を絶する苦労だった...
父親と娘という関係は...
言ってみれば男と女...
いくら親子であれど...
性別の違いによって...
絶対に踏み入れる事の出来ない大きな壁があるんだよ...
真奈美が小学校高学年になる頃には...
何度も衝突したし...
母親の役割がどれほど必要か...
身をもって刻まれたよ...
だけど...
今こうして真奈美と一緒に...
君を想い...
祈りを捧げてる...
6歳だった真奈美も...
15歳になり...
4月から高校生だよ...
僕もすっかり43歳...
中年の親父になってしまって...
だけど...
僕と真奈美の中に残っている...
君と過ごした思い出の記憶は...
あの日で止まったままなんだ...
いつも明るくて...
いつも優しくて...
いつも朗らかで...
いつも活発で...
いつもキレイで...
いつも笑っている...
そんな君の姿が...
そんな恵子の姿しか・・・・・
真奈美
「父さん...
泣いてるの・・・?」
猛
「あ・・・
真奈美...
ごめん...
父さん...
恵子の事...
色々思い出しちゃってな・・・」
真奈美
「いいよ・・・
今日ぐらい泣いてもさ...
神様は許してくれるよ...」
猛
「神様かぁ・・・
もし本当に居てくれたら...
父さんは・・・
恵子を天国から連れてきてもらいたいなぁ...」
真奈美
「父さん・・・
海・・・
キレイだね・・・」
猛
「うん・・・
キレイだね・・・
海の光が眩しいな・・・」
真奈美
「こんなにキレイな海なのに...
まっ黒な津波がこの砂浜一辺にあった松の木を押し流してしまうなんて・・・
何だか信じられない・・・」
猛
「7万本もあった松の木を...
この1本だけを残して...」
真奈美
「あれ・・・?
ちょっと父さん!父さん!
あそこ!見てよ!」
猛
「真奈美...
どうしたんだ...?」
真奈美
「ほら!父さん!
一本松のふもと見てよ!」
真奈美が指差す一本松のふもとをへ...
猛が目を伏せるやると...
そこには・・・
小さくてかわいらしい...
新芽の松の木が生えていました...
この松の木は...
誰が植えたのだでしょう...
真奈美
「わぁぁ~~~~~!!
こんなに小さな松の木が生えてるよ~~~!!
かわいい~~~~~!!!」
猛
「またずいぶんと小さな松の木だな・・・
こんなの前は無かったよな気がするけど・・・?」
と・・・
2人が小さな松の木に夢中になっている...
その時でした・・・
パラパラパラ・・・
と何か・・・
雨のような雫が降ってきました・・・
真奈美
「え・・・!?
ちょっと父さん・・・!?
雨降ってきたんだけど・・・!?」
猛
「わっ・・!わっ・・・!
なんだなんだなんだ~~・・・!!
急に雨が降るなんておかしいぞ~!?」
2人は突然の雨に...
慌てながら空を見上げると・・・
真奈美
「変なの~~・・・
雲なんてほとんど無いのに・・・」
猛
「こんな晴れた日に雨なんて...
考えられないよ...
きっと...
松の木の若葉に付いていた朝露か何かの水滴が...
風に揺られて降ってきたのかもしれないな...」
2人が上から降ってきた...
謎の雫に不思議がっていると・・・
真奈美はある異変に気がついて大声をだした・・・
真奈美
「ちょっと父さーーんっっ!!!」
猛
「な・・・!
何だよ真奈美・・・!!
急に大声出したりしてー!!
父さんびっくりするじゃないかー!!」
真奈美
「この雨みたいな水滴・・・!!
おしっこの匂いがするんだけどっっ!!!」
猛
「おしっこ~・・・?
今の雫がかぁ?
ははは!まさかぁ~~・・♪」
クン...クン...クン...クン...
・・・と
猛も背広の袖を嗅いでみると・・・
猛
「う・・・うわ・・・!
うそだろ・・・!?
これ・・・・!
本当に小便の匂いがする・・・!!」
真奈美
「でしょーーーっ!?
この匂いは間違いなく・・・
おしっこよっっ!!!」
猛
「うっへっ!!
くっさいな~~!!
せっかくオーダーメイドした背広に小便かけられるなんて冗談じゃないぞ!!」
真奈美
「私だってー!!
今日母さんに高校の制服見てもらおうと思って着てきたのにーっ!!
こんなの最悪だよーっ!!」
猛
「鳥の大群とか飛んでなかったよな・・・?」
真奈美
「もうっ!ヤダー!!
父さん!早く帰ろうよー!!
早くクリーニングに出さないと匂いが染みついちゃう!!」
猛
「父さんだって・・・
このオーダーメイドしたスーツ高かったんだぞ!」
真奈美
「私帰るっ!!
父さん早くしてよ!!」
猛
「待てよ真奈美ー!
走るのだけは勘弁してくれー!!」
怒りながら...
奇跡の一本松を後にした真奈美...
それを慌てて追いかける猛...
冷たい雪の降っていた...
9年前のあの日とは...
うって変わって良い天気...
恵子...
天国から見ているかい...?
僕と真奈美は...
こんなに元気だよ...
まだまだ真奈美の気苦労が絶えない...
毎日が続きそうだけど...
君の分も...
しっかりと生きていくからね...
いつか真奈美が結婚して...
バージンロードを真奈美と一緒に歩く日が来るまでは...
気が抜けそうにないかな~~・・・
今日は2020年の3月11日
あの東日本大震災から9年目となる日
猛の愛する妻であり...
真奈美の母親の...
本条恵子に祈りを捧げ...
しんみりと思い出に浸っていたはずが...
空から降ってきた「おしっこ」のせいで・・・
ムードが壊れてしまいました・・・
この・・・
空から降ってきた「おしっこ」は・・・
一体誰の仕業なのでしょう・・・
西郷虎之助のブログを見てきたユーザーさんなら・・・
何となくわかる・・・よね・・・?
3・11~9st year hope~
「空から降ってきたものは・・・?」
(終わり)
恵子へ
僕は今でも君のことを
愛している。
猛
母さんへ
4月から高校へ入学するよ!
カッコイイ彼氏が出来たら紹介するね!
真奈美