「ほのぼの湖さん、ほのぼの湖さぁ～～～～～ん！」
「ねぇ？聞こえてるかぁ～い、ほのぼの湖さぁ～～～ん」
ほのぼの湖
「んもう、虎之助おじさん、さっきから聞こえてるよ、僕せっかく寝てたとこなのに・・・起こすなんてヒドいなぁ～～～」
虎之助
「ほのぼの湖さんに、頼みがあるんだ」
ほのぼの湖
「どうしたの？虎之助おじさんが僕に頼みごとするなんて初めて…」
虎之助
「僕が今さっき描いた絵を、これからチャイルドホームがあるアニマルランドへと送って欲しいんだ…」
ほのぼの湖
「虎之助おじさん、さっきまで絵を描いてたの？珍しいね、こんな夜遅く…」
虎之助
「男の子を・・・
描いたんだ・・・」
ほのぼの湖
「男の子・・？」
虎之助
「まだ５歳だった・・・男の子だ・・・」
ほのぼの湖
「どうしたの？虎之助おじさん・・」
虎之助
「昨日・・５歳の男の子が・・・
熱い熱い炎の中で・・・・」
ほのぼの湖
「死んじゃったの・・・」
虎之助
「助けられなかった・・・
周囲に大人がたくさんいたのに・・・・
助けられなかったんだ・・・」
ほのぼの湖
「まさか・・・虎之助おじさんが描いたのは・・・その死んじゃった男の子を・・」
虎之助
「ぽん太の弟として・・・
タネキの男の子にして・・・
お願いだ・・・この子をチャイルドホームがあるアニマルランドへ送ってくれ」
この子をチャイルドホームに迎え、新たに命を与えて生かしてあげたいんだ！」
ほのぼの湖
「・・・虎之助おじさんらしいね・・・
わかった・・・クロッキー帳を上に向けて・・・」
虎之助
「ありがとう・・・すまない・・・」
ほのぼの湖
「大丈夫だよ、虎之助おじさん
僕がぽんちゃんの所へと送ってあげる・・・」
虎之助
「ぽん太たちと一緒に・・・今日からアニマルランドで生きてくれ・・・」
ほのぼの湖
「Lake,ShinyHope....」
虎之助
「ぽん太・・・後は頼んだ・・・
この子を・・よろしくな・・・・」
ここはアニマルランド
いろんな動物たちが暮らしている
遠い星
ぽん太
「あぁ～あ、もう日が暮れちゃった！
早く帰らなきゃ、ひとみお姉ちゃんに叱られちゃう・・」
ぽん太
「あれ・・・？ジャングルジムの前に・・・・見かけないタネキの子どもがいる・・・
ちょっと話してみよっと」
ぽん太
「ねぇ～ねぇ～、キミ、どこからきたの？お家にかえらないの？パパは？ママはどこ？」
子ダヌキ
「わかんない・・・」
ぽん太
「どうしたの？迷子になっちゃったの？」
子ダヌキ
「ぼく・・・どうしてここにいるのかわかんない・・・」
ぽん太
「パパやママと一緒じゃなかったの？」
子ダヌキ
「ぼく、パパといたはずなんだ・・・だけど・・・どこにもいない・・・
ここどこなの？おうちにかえりたい！」
ぽん太
「ねぇ、キミ歳いくつ・・？」
子ダヌキ
「５才・・・」
ぽん太
「おなまえは？」
子ダヌキ
「それは・・・わかんない・・・」
ぽん太
「どうしよう・・・もうすぐ暗くなっちゃう・・・・」
子ダヌキ
「う・・うっ・・！ひっく・・、ひっく・・・
うわぁ～～～・・・・ぁ～～ぁぁ～・・・・ん・・・・！！」
ぽん太
「あ・・あぁ～～・・！泣かないで～～～～・・・」
子ダヌキ
「わぁ～～ぁぁ～～ぁぁ～～～ん！！
パパぁ～～～～どこにいっちゃったのぉ～～～～ボクのとこにきてよぉ～～～～わぁぁぁ～～～ぁぁ～～～～んっ！！」
ぽん太
「ケンちゃん！ボクといっしょに・・・チャイルドホームへ行こうよ！」
子ダヌキ
「うぅ・・ん・・ひっく・・
ケ・・ン・・ちゃ・・ん・・？」
ぽん太
「あ・・あれ・・・？どうして・・？ボク・・この子のこと・・・ケンちゃんって呼んじゃったんだろう・・・・？」
ケンちゃん
「え・・・えへへ・・・
おにいちゃん・・・・」
ぽん太
「お・・おにいちゃん・・？
ケンちゃん・・ボクのこと・・・おにいちゃんって呼んだの・・！？」
ケンちゃん
「うん！おにいちゃん、ボク・・
ケンちゃんでいいよ！」
ぽん太
「う・・うん！ボク・・・今日からケンちゃんのおにいちゃんになってあげる！」
ケンちゃん
「うん！おにぃ～ちゃん！」
ぽん太
「ケンちゃん・・・
チャイルドホームへ帰ろう、楽しい仲間がまってるよ！
え～・・とね、熊八先生に、マリア先生、ひとみお姉ちゃんに、お相撲のモッくん、ピアノのハナお姉ちゃん、サッカーのたいちにいちゃん、逃げ足が速いミミお姉ちゃん…
あとね・・
今日からケンちゃんの、おにいちゃんになった、ぽん太だよ！ヨロシクね！
ケンちゃん
「うん！ボク、おにいちゃんといっしょにチャイルドホームにいく！」
ぽん太
「ケンちゃん、おにいちゃんとおててつないで帰ろう」
ケンちゃん
「うん！」
アニマルランドへようこそ・・
ケンちゃん・・・
あとがき
僕には、こういう事しか出来ないんです
勝手な事とはわかっています…
だけど、昨日の夕方のニュースを見て…
あれだけ大人がいながらとか…
安全対策がなってないとか…
ジャングルジムを作った大学生に非があるとか…
もう、事が起こってからでは・・
遅いんです、あの子の命は戻らない…
どうして父親があれだけ助けを求めているのに…
周りの大人たちは…
火事の様子をスマホで撮影しているのか・・・・
普通に会話しながらスマホで撮影って…
この男の子が
どれがけ熱くて怖くて苦しい思いをしてたか・・・・
どうしてこんな悲しいニュースを…
野次馬にインタビューしながら平気で流れているの・・・
どうか
ぽん太たちと共に
幸せになってほしい…
この子の
短かった５年の命は…
クロッキー帳の中で
新たに生まれ変わって生きてゆければと願っています…
御冥福をお祈りいたします。
西郷虎之助
