四月
桜が終わる頃
元気な産声
男の子
龍(たつ)は
赤子を抱きよせて
虎とつく名をつけたとさ
我が子のように
かわいくて
笑みがほころぶ
恵比寿さま
虎の子おぶって
子守唄
月夜に光る
葉桜と
ねんねんころりん
ねんころりん
雪駄のあしおと
田んぼみち
九月
大空高々と
甘えん坊な
男の子
龍(たつ)におんぶと
せがみつき
背中追い追い
泣きじゃくる
困った子じゃのう…
言いながら
笑みがほころぶ
恵比寿さま
虎の子おぶって
子守唄
お彼岸知らせる
曼珠沙華
ねんねんころりん
ねんころりん
夕焼けこやけ
赤とんぼ
月日
流れて五月晴れ
虎の子
大きく
なったけど…
龍(たつ)は
細々弱り果て
歩くことさえ
ままならぬ
渡してくれた
千歳飴
笑みがほころぶ
恵比寿さま
龍(たつ)をおぶって
子守唄
そよ風ゆれて
鯉のぼり
ねんねんころりん
ねんころりん
稲穂の芽生え
深緑に
虎の子おぶって
子守唄
大きな背中
逞しく
ねんねんころりん
ねんころりん
寝息すやすや
安らかに
詞:西郷虎之助