どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

「泣くな!海斗くん!父親ユキラスとの厳しい相撲道の絆~試合開始編~」

8月もあと残り数日となり、深山町の小中学生たちの楽しかった夏休みは…

早くも終盤に差し掛ろうとしていた…


いつもこのぐらいから盆休みになる私ではあるが…

こうやって毎年…

深山中学相撲部員の同級生、「ユキラス」の家に寄り道出来るのも・・・

あと何年になるのだろうかと思うようになった…

何故かというと…

ユキラスは今年の4月に…
市原海斗くんのお母さんの…
「美智子」さんと結婚したからなのだ…

そうなんです

海斗くんにとってユキラスは、優しい電器屋のおいちゃんだったのが…
今では本当の父親となったのであります…


美智子さんが旦那さんと離婚した後、この何もない山ばっかりの里、深山町へと引っ越してきた頃は…

海斗くんはまだ小っちゃな小学生だったのに…

子供の成長は本当に早いもので…

ほんの8ヶ月振りに会ったらまぁ~・・・大きく立派になりましたわ・・・

身長もだいぶ伸び、もうじき私やユキラスに届く勢いです…
まだそんなにガッシリ太い体格ではないが、筋肉質で丈夫そうな体に育っています…

ユキラスの家に住めば毎日がごちそう…
美味いもんたくさん食べてるんだろうなぁ~・・・

顔つきも…
昨年末頃はまだ可愛らしい面影がありましたが…
今ではちょっぴりやんちゃで生意気な中学1年生となりました…

そんなニューファミリー

ニューファザーとの新生活が4月から始まったわけですが・・・!

柴田海斗くんが夏休みに書いた作文が賞を取ったそうです!

8月の初め頃にある夏休み合間の登校日に提出し、海斗くんの作文が、深山町児童文学会長の目にとまり、始業式の全校集会で読み上げる事になったそうです!!

いやぁ~~・・・

なんと申し上げましょうか~・・・

まさか海斗くんに、このような文才知識があったとは思ってもみませんでした…

相撲も日に日に強くなり、
中学校に入学してからは、深山中学相撲部員として、放課後の厳しい猛稽古にも負けずに挑んでいます!

まさに文武両道とは…
こういうことを指すのでしょうね…
私も弱小ながらOBとして頑張る海斗くんを応援します!

さて、賞を貰った海斗くん、何やら悩んでいるみたいです・・・・

作文の内容というのが…
私には…
まだどのような内容なのかはわかりません…

海斗くんとユキラスは、夏の暑い部屋で扇風機一つ、パンツ一丁になって仲良く談義をしていました…

おかげでユキラスの部屋は酸っぱい汗の匂いで充満しております…

これから汗を流すため…
2人はお風呂へと向かって行きましたが…

その間に私が海斗くんの作文を呼んで、自分にとって不都合なヵ所を直すようユキラスに急遽頼まれてしまったのです…

男2人の酸っぱくて汗臭い匂いに耐えかね・・・

窓を締め…
エアコンの冷房と…
空気清浄機の電源をONにすると…

私は静かに作文用紙を手にし、しわくちゃになって読みにくい作文の文面に目を通したのでありました・・・。



「泣くな海斗くん!
親父ユキラスとの厳しい相撲道の絆」

イメージ 1




深山中学校1年生

柴田かいと


ボクには…
4月から新しいお父さんができました!

商店街にある電器やさんの

柴田幸信おじちゃんです!

大きな大きな体

おひげだらけのやさしい顔

ボクをかるく持ち上げる

力持ちの新しいお父さん!

ねっころがって、テレビを見ながら

「ぶぅ~~~~!!」

・・っておならします!

とってもとってもくさいので、ボクはお父さんのおしりを叩きます!

そうしたら、うれしそうに笑っています

そんなおならばかりしているお父さんだけど…

相撲はもっともっと大得意です!

お父さんは
ボクに相撲を教えてくれる先生です!

体がおっきいから
相撲が強い!

体がおっきいから
まわしがかっこいい!

体がおっきいから
おすもうさんみたい!

ボクの体はまだまだ小さいから……
いつかお父さんみたいな、おっきな体になりたい!

ボクとお父さんは
とってもなかよし!

毎日いっしょにごはん食べて…
毎日いっしょにおふろ入って…
毎日いっしょのベッドで寝ています!!


ボクとお父さんは
本当の親子ぐらいなかよしです!


だけどこの前・・・

ボクとお父さんは初めてケンカをしてしまったのです・・・

それは・・・
6月24日・・・
土曜日・・・

(※ここから虎之助が書いた文章となる)

深山小学校で開催された…
愛媛県支部の相撲大会で起こった出来事でした・・・

この相撲大会は… 
愛媛県の小中学生とOB青年部の大会が合併した大きな大会なんです、今回この大会に出場するのは初めてで、海斗くんは朝からとても楽しみに張り切っていました…


ユキラス
「よーし!これで全員廻しを締め終わったな~~?

みんな集まれ~~~!!
これから中学生の部が始まるからな-!
しっかり準備運動や柔軟体操をしてしっかり体を柔らかくしておくんだぞ~!」

深山中学相撲部員
「はぁ~~~いっ!!」

ユキラスは深山中学相撲部全員の廻しを、保護者と協力しながら締めた…

また、道場の小中学生の指導者であるユキラス自身も、今回は青年部OBの個人戦に出場するため、みんなと一緒に廻しを締めて試合に挑む…


ユキラス
「四股踏みやすり足、てっぽうも無理ない程度で構わないから、1人最低30セットはするよう気持ちを引き締めてな~!」

深山中学相撲部員
「はーーーいっ!!!」


ユキラス
「途中で気分が悪くなったり、お腹が痛くなっりと体調が優れないと感じたら、遠慮しないですぐワシに言うんだぞ-!」

深山中学相撲部員
「はぁーーーーいっ!!」

ユキラス
「よーーーーしっ!
良い返事だ!みんな気合い入ってるなーー-!
その意気だぞぉーーー!
緊張しないで稽古や練習でやってきた事を思い出して頑張れば、きっと良い結果につながるからなぁーー-!」

深山中学相撲部員
「はぁーーーーいっ!!」

ユキラス
「よしっ!それじゃあみんな!頑張るんだぞ!
ワシも側でしっかりサポートするからなーー!」

深山中学相撲部員
「はいっっ!よろしくお願いしまーーすっ!!!」

ユキラス
「おしっ!それじゃあみんな解散!!」

深山中学相撲部員
「はいっっ・・・・!」

正次郎
「おうっ!待てや!ワシにもちょっと言わせろ!」 

そこで突然…
高校生・大学生・一般青年OBの指導者である…

深山町の大将・高橋正次郎がユキラスに割って入ってきた・・・

ユキラス
「な・・・なんだよう~・・・・正次郎~・・」

正次郎
「ユキラスよ、お前もしっかり気合い入れて頑張れよ~・・・
今回青年部は団体戦として出られないから、個人戦に出場するのはワシとお前のみや、ユキラスよ…わかってんだろぅ~~なぁ~~~?」

ユキラス
「や・・・やめてくれよぉ~~・・・
そんなプレッシャー与えられたら緊張して良い取り組みが出来なくなるじゃないかぁ~~~・・・」

正次郎
「小中学生の指導しかしてないお前が、宇和島の梅木や愛南町の伊賀上、野村町の海龍らの強豪な猛者に、どれだけ全力が出せるかワシも楽しみにしとるさけぇ~~のぉ~?
がっはっはっはっは!!」

ユキラス
「そ・・・そんなぁ~~~・・・!
みんなの前でそんな驚かさないでくれよぉ~・・」

浜口
「ギャハハ、柴田のおいちゃん怖がってる~~♪」

武智
「浜口くん、もう柴田のおいちゃんじゃないよ~~、海斗くんのお父さんだよ~?」

山内
「海斗くん、お父さん…なんか怖がってるけど大丈夫なの~~~・・?」

海斗
「大丈夫だよっ!ボクの父ちゃんなんだもんっ!
絶対勝つもん!ねぇ!?父ちゃん!」

ユキラス
「か・・海斗~・・・」

正次郎
「おうっ!海斗もおったんやったなっ!
海斗!!今回初参戦じゃけど頑張れよっ!!」

海斗
「うんっ!!ボク頑張る!!誰にも負けない!!」

正次郎
「元気がえぇ~のぅ~!、ワシゃ~こういう男の子が大好きや!
新米父ちゃんのユキラスとはえらい違いやのぅ~~~・・」

深山中学相撲部員
「ギャハハハハハ♪♪」

ユキラス
「う・・うぅ~~・・」

相撲歴も長いユキラスだが…
正次郎の前ではぐうの音も出ない…
大会前だというのに早くも半ベソの表情を浮かべるユキラス…

これにはちょっと同情してしまう心境だ・・・

正次郎
「しっかりせぇよっ!!
ユキラス!!!
お前ガキらに笑われとるやないけっ!」

ユキラス
「もう~・・・
来ないでくれよぉ~~・・正次郎ぅ~~・・・」

正次郎
「頑張ってガキらに良ぇ~とこ見せたれよっ!!
お前はこいつらの大将なんじゃからのうっ!!!」

ユキラス
「そ・・・そりゃぁ~~・・・頑張るよ・・ボソリ…」

正次郎
「なんじゃあ~~・・?
その頼りない返事はぁ~~~~~・・・?
お前ちぃ~とは息子を見習えや?父親じゃろげぇ!」

ユキラス
「わ・・わかってるよぉ~~!!勝ってるように頑張るよぉ~~~!
ワシだってちゃんと稽古してるんやからなぁ~~~・・・」

正次郎
「しっかりのぅ~…まぁ怪我だけはすんなよ、相撲道場の指導者はワシとお前しかおらんのやからなぁ~?
ガキらの面倒まで見てたらワシの体がもたんわい」

ユキラス
「わ…わかってるわい・・」

正次郎
「おう、すまん!邪魔したのう~・・・
ほならワシ、会長と顧問とこ行って挨拶してくるわい…ほじゃの!」

ユキラス
「お・・・おう・・・」

正次郎
「ほれじゃあのうー-!!みんな気合い入れて頑張れよーーー!!!」

深山中学相撲部員
「はぁーーーーいっっ!!!」

深山中学相撲部員最強のOBである・・・
番長・高橋正次郎

青年部の他3人が今回の大会を辞退したのも・・・
おそらく正次郎が怖いからだろうと思った…

だけど、子供達の前で正次郎にからかわれ…
みっともない姿を見せてしまっても…
ユキラスは決して正次郎から逃げたりしはなかった…

そんな父親の姿を
海斗くんはどう見てたのだろう・・・



中学1年生の部、団体戦の試合が早くも始まった…

対戦相手は乙大相撲でも有名な里、強豪野村中学相撲部員だ…

野村町と深山町は昔から相撲に関して相当の対抗意識を燃やしている
いわば犬猿の仲のライバル区でもある

もし私の中学生時代に、高橋正次郎という男が居なければ、相撲は完全に野村町の天下となっていただろう…

今回の青年部の個人戦で、正次郎は因縁の野村中学相撲部員、青年部OBらを潰しにかかる気でいるようだ…

そんな強豪を相手に・・・
初参戦の海斗くんはどこまで相手を追い込む事が出来るのか・・・

ユキラスもそれが気がかりでしょうがないらしい…

団体戦は5人体制

先鋒・次鋒・中堅・副将・大将という順番で取り組みを競い合う…

その中の先鋒となるのが海斗くんだ

試合のトップバッターである先鋒は、何事にも揺るがない精神力と実力が兼ね備えていなければならない…

最初の勝負で互いのチームに与える精神面の影響がかなり大きいからだ…

体重は軽量ではあるものの、スピードと足腰の柔軟性に、勝負が左右される土俵際で放つ技の判断力と、持ち前の瞬発力が備わった海斗くん…
華々しいデビュー戦で気合いは十分だ!!


放送係員
「東!野村中学!菅つよしくん!」


「はい!」

放送係員
「西!深山中学、柴田海斗くん!」

海斗
「はい!」

審判
「両者礼!前へ!」

野村中学の菅つよしくん

海斗くんより少し身長があり、体格もガッチリしていて強そうだ

しかし、そんな彼にも怯まず余裕な表情を見せる海斗くん、ユキラスの指導と厳しい稽古の成果を存分に発揮出来るのか・・・

土俵上に緊張が走る…

浜口(次鋒)
「海斗頑張れ~!!」

武智(中堅)
「キバって行けよ~!」

山内(副将)
「負けたら腕立て50回だぞ~!」

小山田(大将)
「海斗ーーーっ!!
父ちゃん母ちゃん見てるからなーーー!!
カッコイイとこ見せてやれよーーーーーっ!!!」

ユキラス
「海斗ーーーーーーっ!
緊張するなーーーっ!!
肩の力抜いて深呼吸だ!」

美智子
「きゃ~~~~♪
海斗~~~~♪
頑張ってぇ~~♪」


お母さんの美智子さんもここで観戦に入る…
周囲からの熱い声援が飛び交う中…
土俵上に立つ海斗くん

みんなからの視線が集まり注目を浴びる…
今のキミは深山町期待の若力士なんだ!
頑張れ!!

審判
「両者構えて!!」

審判の指示に従い、両者互いに構えの姿勢を取る…

審判
「発揮よぉーー・・・・い・・・・」

両者右手を降ろした瞬間…
審判が叫ぶ…

審判
「のこったぁぁぁーーーーーーーぁぁあああ!!!」

・・・と、次の瞬間だった・・・

体制を低く取りすぎてしまう海斗くんのクセが仇となり・・・
相手とぶつかり合う前に軽くはたき込まれ…
あっさりと土俵の地に倒されてしまう海斗くんは…
初戦からいきなり負けてしまったのである…

「あぁ~~~・・・あ・・・・」

西側の後ろからはチームや深山中学相撲部の関係者や保護者達からの残念なため息が会場全体に響き渡った…

一方…

対戦相手の野村中学の東側からは・・・

野村中学相撲部員・関係者や保護者達から
「やったぁーーーー!!
楽勝!楽勝!
つよしいいぞぉーーー!」

ワァーーーーーー!!!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

勝利の喜ばしい歓声が会場全体を明るく盛り上げる…

そう…
相撲はどちらかが勝ち…
どちらかが負ける…

一生に負け無しで勝ち続ける人は居ない・・・

勝つ喜びもあれば…
負ける屈辱も味わなければならないのだ・・・

勝つか負けるか…
やるかやられるか…

これが武道の厳しい道…


華々しいデビュー戦から…
無様にあっさりとまけてしまった海斗くんは…

土俵上の冷たい土に突っ伏したまんま起き上がろうとしなかった・・・

いや・・・
恥ずかしくて起き上がれないのだ・・・

彼は初めての敗北を前に、立ち上がる気力も失せてしまっていた・・・

土俵に突っ伏したまんまで肩を振るわしている…

悔しくて泣いているのであろう・・・

それを見かねた父親のユキラスは・・・

ユキラス
「海斗ーーーーーー!
泣くなぁーーーーーっ!
良い突進だったぞーーーーーーっ!!!」

・・・と、土俵側から声援を送る・・・

続いてチームのみんなも海斗くんに励ましの声援を呼びかける…

浜口
「海斗ドンマイ~~♪」

武智
「海斗負けてもいいんだ!気にするな~~~!!」

山内
「腕立て20回でいいから頑張って立て~~!」

小山田
「海斗ーーーーーー!
泣くなぁーーーっ!!
頑張って立てーーーっ!
後は俺たちが頑張るから大丈夫だぁーーーっ!!!」

美智子
「海斗~~~~!!
しっかりしなさい~~!!
男の子が泣いたりしないの~~~~~!!」

審判
「大丈夫か!?」

海斗
「う・・・!う・・・!
グシッ!・・・グシッ!
アフッ!・・・アフンッ!アフッ!!アフンッ!」

審判が海斗くんに声を掛ける・・・
顔中涙と土だらけになって泣いている姿に同情したのか、対戦相手の菅つよしくんが、海斗くんに優しく手を差し伸べる・・」


「柴田くん・・・
大丈夫・・・・?」

菅つよしくんが海斗くんの手を取ったその時だった…

「パシーーンッ!!」

なんと、海斗くんは…
優しく手を差し伸べてくれた菅つよしくんの手を叩いて払い除けたのだ・・・!

これを見た瞬間…
辺りの空気はシーーーーーー・・ン・・・と静まり返った・・・

審判
「こらっ!キミ!!そんな態度を取るんだったら出場停止にするぞっ!!」

審判が海斗くんに怒り出す

そして周囲も響めきながらも批判が飛び交う…

野村中学相撲部員
「あいつなんだよーー!」
「態度悪いなぁーー!!」
「もう相撲やめろよー!」

野村中学相撲部関係者、及び保護者達
「全く!深山中学相撲部の稽古指導は礼儀もまともに教えられないのでしょうかね!」

「もう深山中学相撲部は出場禁止にしたらどうでしょう~~~?」

「やれやれ…近年大相撲のイメージが悪くなっていたのもやっと落ちついてきたというのに・・・」

「おいコラァ!後がつかえてんだから早くのけよ!」

「みんなに迷惑が掛かってるのがわからないのかしら・・・深山中学って生徒の態度が良くないのねぇ~~・・・」

東側からの批判が飛び交う中・・・

更に海斗くんは悪態を晒してしまう・・・

ようやく起き上がったと思ったら、相手側の菅つよしくんにかかるように、土俵の土を蹴ってとばしたのである・・・

会場はさらに響めきが走り叫び声を上げて批判する人が出てくる始末!


野村中学相撲部員
「あぁーーーーっ!!!
あんな事してるーーーーっ!!!」

「出場停止だ!出場停止だぁーーーっ!!!」


野村中学相撲部関係者・及び保護者

「審判-!もうその子は出場停止にしろーーーっ!!!!」

「礼儀もまともに出来ないようでは相撲を取る資格も無いだろー!!」

「深山中学の指導者は誰なのかしら!まったく不愉快だわ!!」

「謝る意思もないなんて・・・あの子は一体どんな教育や指導を受けてきたなかしらねぇ~~~~?」

「もう帰れ帰れーーーー!!
深山中学なんて帰っちまえーーーー!!!」


深山中学相撲部員

浜口
「海斗・・・お前・・」

武智
「なんてことするんだよ~~・・・・」

山内
「バカだなぁ~~・・・」

小山田
「出場停止になるぞー!
早く礼をして土俵降りろーーーーーー!!
海斗ーーーーっ!!!」

美智子
「こら!海斗!ちゃんと菅くんに謝りなさい!!」

これにはさすがにユキラスも慌てて土俵上に上がり、海斗くんの頭を抑えて無理矢理礼をさせた…

そして会場の皆に深くお詫びをする…

ユキラス
「審判、すみません・・・マイクお借りします・・・」

審判
「まったく・・・!どういう指導してるんですかねぇ~・・・!」

ユキラス
「えー・・あー・・あー・・、キィ~・・・・ン・・
えーーー・・・
会場にお集まりの皆様、及び関係者や保護者の方々へ、先ほどの試合で、私の息子である海斗が大変御迷惑をおかけしました事を深くお詫び申し上げます・・・!
皆様、本当に申し訳ありませんでした・・・」

ユキラスは土俵上から東西南北方向に深くお辞儀をした…

ユキラス
「えーーー・・・
今回息子の不始末は全て私の責任です…
2度とこのような事が起こらぬよう、徹底した稽古指導を一層強化していきますので、どうか出場停止だけは許して下さい・・・!
宜しくお願い致します…!」

野村中学相撲部関係者、及び保護者達
「もういいからサッサと降りろよ!!
時間が限られてるんだからな!!」

「青年部の試合時間が迫ってるんだから早くしろよ~~~!!」

「お前んとこの電器店潰すぞコラァ!!」

「父親失格!指導者辞めろ!!」

「深山中学出場停止にしろーーー!!」

ユキラス
「すみません、マイクありがとうございました…」

野村中学相撲部関係者からの猛批判が飛び交う中…
ユキラスが審判にマイクを返す・・・

審判
「両者・礼!!」

ようやく土俵上で互いに礼をした2人…

放送係員
「えーーー・・・皆様大変お騒がせ致しました!
勝者!東!野村中学!
菅つよしくん!!!」

ワァーーーーーーッッ!!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

放送係員
「では、続いての対戦相手を発表致します!!

東!野村中学!鎌倉亮助くん!」

鎌倉
「はいっ!!」

放送係員
「西!深山中学!浜口貴弘くん!」

浜口
「はーい!!」

なんとか出場停止は免れ、ホッ・・・としたユキラス

だが、このような悪態は愛媛県支部や相撲連盟の耳にすぐに流れてしまう・・・

深山中学相撲部のイメージが悪くなってしまったのは今後の相撲大会にも絶大な影響を及ぼしてしまいそうだ・・・

ユキラス
「小山田くん、ちょっと海斗と向こうで話してくるから、みんなの事頼むな!」

小山田
「あ・・はい・・・!」

ユキラス
「美智子、海斗と向こうで話してくるから、何かあったらスマホに連絡して!」

美智子
「私からも話があるわ、海斗、ちょっとこっちへいらっしゃい・・・!」

ユキラス
「いや、ワシだけで直接海斗に話したい・・・」

美智子
「う~~・・・・ん・
・・・わかったわ・・・
海斗の指導者は父親であるあなたですものね・・・

しっかり叱って下さいな…」

ユキラス
「うん・・・」

ユキラスは浮かない表情でうなずくと…
海斗くんの手を引き、熱い歓声で盛り上がっている土俵から離れた…

そして、土俵から離れた多目的広場へ着くと…
海斗くんから手を話し、腕を組んで正面に立った…

海斗くんは、ふて腐れた表情で父親のユキラスとは一切目を合わせようとはしなかった・・・

顔中土俵の土だらけで…
手を強く握り、拳をブルブル震わせている海斗くん

よほど悔しかったのであろう・・・
普段の稽古であれば取り直しが出来るが、試合でそうはいかない・・・

初めての敗北に…
どうしても納得いかない海斗くんは…
細い目をして遠くを睨みつけるような表情をしている、反省の意志は全く無いようだ・・・

そんな海斗くんの正面で…
腕を組み、無言で立っている父親のユキラス・・・

ついに彼が初めて父親としての役目を果たす時がやってきたのだ・・・!

しばらくの沈黙が続いた後…
あのユキラスから思いも寄らぬ言葉が放たれる・・・!!!

ユキラス
「・・・もう~・・・
相撲やめるかお前・・?」

海斗
「・・・・・・・」

突然の言葉に体がビクッ…となる海斗くんは…
何も言えなかった・・・

ユキラス
「もうやめようか、相撲は・・・・
来週から部活も辞めていいぞ、道場も来なくていいからな~・・・」

海斗くん
「・・・・・・・」

ユキラス
「良かったな、来週から好きなだけDSで遊べるし、お友達ともいっぱい遊べるぞ…」

海斗
「・・・・・・・」

ユキラス
「もう父ちゃんな
お前に対して何にも期待してないから、好きに生きていいぞ!」

海斗
「・・・・・・・」

ユキラス
「もういっそのこと、本当の父ちゃんとこに戻るか?なぁ!?」

海斗くん
「う・・・・うぅ~・・」

ユキラス
「もうお前は帰れや、歩いてな!
試合も補欠の岡本出すから」

海斗くん
「グズッ・・・グシッ!・・・・ヒック・・・!」

ユキラス
「さぁ帰れや、なぁ?
とっとと何処へでも行っちまえバカッ!!」

ユキラスはそう冷たく言い放つと・・・

海斗くんの肩を掴んで軽く突き飛ばした…

すると海斗くんは・・・

海斗くん
「いやだぁ~~・・・!
やだやだやだぁ~~~!
ボク・・・1人で帰りたぁくなぁい~~~・・・!」

そう言って泣きながらユキラスの顔を見上げたのだが・・・

今まで見たことないような鬼の形相をした父親ユキラスに呆然としてしまう…

あの性格の穏やかで優しいユキラスが・・・
まるでお不動様のような表情と化しているのであった・・・・

そして次の瞬間・・・

あのユキラスから信じらない言葉を言い放たれるのである・・・

ユキラス
「やかましいっ!!!
みんなに迷惑かけるような奴は息子でもなんでもないっっ!!!
今すぐ前の父ちゃんとこに行って泣きついてこいっ!!」

このユキラスの怒号は、試合が行われている会場までしっかり響き渡り…

数名の人達が何事かとチラホラこちらの様子を伺っている・・・


海斗くん
「父ちゃんやだぁ~~~~~~~!!!
ボクのこときらいにならないでよぉ~~~~!!!」

ユキラス
「父ちゃんなぁっ!!
人の痛みがわからない奴と、自分勝手に行動して人に迷惑かけるような奴が大っ嫌いなんだっ!!」

海斗くん
「だってぇ~~~!
だってぇ!だってぇ~」~~~!!あいつ卑怯なんだもん~~~~~!!
ボクが足をすべらしたとこを叩き込んできたんだよぉ~~~~~~!!!」

ユキラス
「言い訳すんなぁっ!!
父ちゃんは勝負に負けた事を言ってるんじゃないんだっ!!
周りに迷惑かけてもふて腐れて、菅くんが優しく手を差し伸べてくれたのにお前はそれを引っぱったいただろう!?
あんな態度取るような奴は大っ嫌いだっ!!
もうお前はワシの息子でもなんでもない!!
何処へでも行っちまえやぁっ!!!」

ユキラスの怒りはさらにヒートアップして、ついには会場の殆どの人がこちらを見ている始末…

しかし・・・
そんな騒動の中・・・

ついにあの男が動き出した・・・・

深山中学の番長こと…

高橋正次郎である…

顧問と会長の挨拶から帰ってきた正次郎は…
先ほどの経緯を1年生の大将である小山田から聞き出し、怒りを露わにしてこちらへ向かってきたのである・・・・

まっ赤な顔で…
今まで見たこともないような表情は・・・

ユキラスの怒りのお不動様を遙かに上回り・・・

エンマ様さながらの姿で…

ノッシノッシとこちらへ歩いてやって来る・・・!

高橋正次郎・・・・

嗚呼・・・
相撲大会が・・・
血の海で溢れてしまいそうな展開となってしまった波乱の幕開けに・・・

ユキラスと海斗くんの運命はどうなってしまうのか・・・・!!?

・・・それは私にもわからない・・・・