どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

あの日僕へ3(予告編)と~夢幻の世界へ御招待~

寒くて長い冬が...
ようやく終わりを迎える頃...

菜の花の香りが...

風にのせて僕の鼻先をくすぐってきた...

思わず大きなくしゃみをして...

春の夕映にできた僕の長い影を見たとき...

幼かったあの頃をふと思い出す...






~思いつきおまけ短編集~
「夢幻の世界へ御招待」

(第一話)






僕の名は「田中幸彦」40歳

妻、子供2人

万年ヒラの商社サラリーマンだ...





毎日毎日忙しくて....

時間の流れを忘れて生きていると...

夢や目標を持ち...
未来へ向かって足早に歩いている足を...
なんとなく辞めたくなる時がある...


逃げられない社会で...

重い責任をいくつも背負い...

必死に這いつくばって生きていくことが...

本当に僕の幸せなんだろうか...



僕の子供の頃の夢は...

野球選手だった...

だけどそんな夢も叶うはずもなく...

見積書と報告書がたくさん詰まった安物のカバンを片手に...

硬いコンクリートで舗装された歩道を走って...

得意先のオフィスビルへと向かい...

ひたすら赤の他人に頭を下げる毎日が続いてく...




(田中の心の叫び)

ちっ!馬鹿野郎が....!

それぐらいわかってんだよ...!

この頭でっかちのハゲ!!

まったくよ...!

こいつの嫁の顔がどんなのか...
一度拝んでみたいもんだぜ...!



僕はまた...

深々とお辞儀をして...

ロビーの入り口を出る...

そしてまた...

次の得意先のオフィスビルへと向かって走ってく...


もう...
嫌だ...こんな人生...

疲れた...
何もかも忘れて何処か遠くへ逃げたいよ...

とうとう情けない弱味を口走ってしまった僕...



その時だった...


合同庁舎の駐車場に咲いている...
満開の桜が...

風に乗せてハラハラと舞い散り...

僕はまるで...
映画のワンシーンのような桜吹雪に包まれた...


あぁ...
綺麗だなぁ...

もう桜が散り頃の季節になっていたのか...


僕は走っている足を止め...
ゆっくりと目を閉じた...


すると...




あれ...?

ここは...

僕が再び目をあけた時....


目の前に広がるのは...

どこまでも広く続いてくだんだん畑に...

深々と緑溢れる山々...

一本の細い田んぼのあぜ道の真ん中に立っている僕は...

生まれ育った故郷にいたんだ...


あ!僕の体が...!!


学生服に身をまとい...
頭には学生帽...

肩掛けカバンを下げている...


ど...

どうなってんだ...!?

中学生に戻ってるじゃないか!!




田中く~~~ん!!
待ってよ~~~~!!



え....?


誰か女子中学生が僕の方へと駆けつけてくる...



ハァハァ...
田中くん、一緒に帰ろう!



え....誰だよ...

って!・・・おいっ!!

お前・・・!
確か2年の時同じクラスだった...
「深沢ゆきえ」じゃねえかよっ!!



深沢
「そ~だよ?
私、深沢ゆきえだよ、今さら何言ってんの?田中くんったら変なの!」



田中
「お....お前....
確か山中と結婚したはずなのに....
何で....」



深沢
「山中くん?
やだー!なんで私が山中くんと結婚しなきゃならないのよ!?
私...山中くんなんて...大っ嫌い!!」



田中
「何いってんだよ...
山中に泣きつく程に惚れてたくせによ...!
あいつん家は親父が大手企業の上役部だから玉の輿でウハウハだったじゃねーかよ!!」


深沢
「失礼ね!私、結婚は本当に好きな相手じゃないとしないんだもん!!
お金目当てで結婚なんて、バカみたい!」


田中
「よく、言うぜ...
外車にベンツに海外旅行...
ブランドもんいっぱいちらつかせやがってよ!」


深沢
「もう!田中くんったら~~・・・
さっきから何訳の分からないこと言ってんのよ!」



田中
「お前は金につられた女なんだよ...!」



深沢
「べーだ!そんな意地悪聞かないもーん♪
私は山中くんなんかより...
田中くんの方が理想の旦那さんだも~ん♪」



田中
「あぁっ!?
何言ってんだよっ!!
お前みたいな金づる女と誰が一緒になるかよっ!
バーーーカッ!!」



深沢
「ひ...ひどい...
わ...私...
た...田中くんの事.....好きなのに...
あぁ~・・ん・・あんあんあ~~ん・・・泣!!」



田中
「ば...!バカッ...!!、泣くなよ!こんな所で!」



深沢
「グスン....
じゃあキスして!!キッパリ」



田中
「はぁっ!?キスぅ~!?
バカかよお前はっ!!」



深沢
「う...グスン...
いいもん...また泣いちゃうから...」



田中
「わ...!わかったよもうっ!
キスしてやりゃあ~いいんだろっ!!」



深沢
「うん♪」


田中
「いいか・・・
一度だけだからな・・・」


深沢
「はやく・・・
して・・・」


田中
「じ...じゃあ...
目をつむれ....」



深沢
「うん...」


田中
「よ...よ~し....
じゃあ...いくぞ....」


深沢
「うん...」


田中
(ドキドキドキ・・・)


深沢
「・・・・」


田中
「ぐっ・・・!!」


僕は深沢の肩に手を掛けて・・・
思い切って目をつむった・・・


そして・・・


あ・・・・


あれ・・・・??


僕が再び目を開けると・・・

合同庁舎すぐ横の歩道の真ん中に立っていた・・・



な・・・

何なんだよ・・・

さっきの幻覚は・・・

夢か・・・?


どうやら元の世界に戻ったようだ・・・


足元を見ると...

道道に落ちた桜の花びらが...

風に吹かれてふわりと舞い上がった...



あーーあ・・・

せっかく深沢ゆきえとキスするチャンスだったのによー・・・



足元の桜がサラサラと風に流されてゆく・・・

僕は歩道をゆっくりと歩き出し・・・

小さな声で・・・

一人つぶやいた・・・



バカだなぁ・・・

どうしてあいつを振っちまったんだろう・・・



本当は好きだったんだ・・・

だけど素直になれなくて・・・

あの時...

もし本当の気持ちを打ち明けていたら.・・・








「あら、田中くんじゃない?」




突然後ろから・・・

僕の名前を呼ぶ女性の声が・・・!



え・・・?
って振り返ってみると・・・


黒光りした真っ黒な高級ベンツの窓から顔を出して手を振る女性・・・

その正体は・・・



「田中くんでしょ?久しぶりじゃない!私よ私!」



高級ベンツの窓から手を振っている女性・・・


スタイリストにヘアアレンジを施され・・・

パステルカラーのソフトな仕上がりのナチュラルメイクに・・・

大胆に胸元が見える純白のシルクワンピースでドレスアップしたセレブなマダム・・・


あの深沢ゆきえだった・・・



田中
「なっ・・・!
何処の奥様かと思えばよ・・・

セレブの深沢ゆきえじゃねーか・・・

綺麗にドレスアップなんかしやがって・・・
何の用だ?」




ゆきえ
「あら...いやだ...

久しぶりに会ったのに...
そんな冷たく遇うことないじゃい...

それに私...
今は山中ゆきえよ...
失礼しゃちゃう...」



田中
「ふんっ!
何か御用ですか...
山中グループの御婦人様よ!」



ゆきえ
「ウフフ...
偉そうな口の利き方も相変わらずね...
ところで田中くん...
今何してるの?」



田中
「な・・・何って・・・
見りゃわかるだろ・・・?
仕事だよ!仕事・・・!」



ゆきえ
「また営業回りかしら?
不知火コーポレーションも今は経営不振で大変よね~・・・
あなたの会社、大丈夫なの?ウフフ♪」



田中
「うるせえよっ!
だから今こうやって、必死でオフィスビルを周ってんだろーが!」



ゆきえ
「あら...コワイ顔しちゃて...
ホント昔とちっとも変わらないわね...
営業マンがそんな生意気な態度だと...
いつまで経っても得意先から契約してもらえないわよ?」



田中
「う・・・!!
うっせーよっ!!
余計なお世話だ!!

何不自由なく暮らしているセレブの奥様には関係ねーだろ!」




ゆきえ
「ねえ田中くん...
これから主人が開催する、山中グループ専属会社のパーティーに向かう所なんだけど・・・」




田中
「専属会社のパーティーだぁ~?」



ゆきえ
「よかったら、あなたも来ない...?」



田中
「はぁっ・・・!?」



ゆきえ
「主人と・・・
久しぶりに会ってみたらどうかしら...?」




田中
「さっきも仕事中だって言ったろ!
何をバカなこと・・・!」




ゆきえ
「いいじゃない...
たまには一流シェフの作った世界のグルメ料理食べましょうよ
山中グループの名前出したら、あなたの会社もきっとOKしてくれるはずだわ...」



田中
「バーーーカ!
これだからマダムはわかってないよな!

そんな理由で会社抜けたりしたら信用失っちまうよ...
今が踏ん張り時なんだ!
これまでの努力が台無しになったらどうするんだ...!」



ゆきえ
「雇われのヒラ社員は大変よね~!
田中くんは営業マンなんだもの...
忙しくてパーティーなんかに現を抜かしている暇なんてないわよね...
あ~残念、美味しいシャンパンもあるに!」




田中
「なんだとこのぉっ!!」





運転手
「奥様...
そろそろ急がないとお時間が...」



ゆきえ
「あらごめんなさい...」



プッ♪プーー♪



田中
「早く行けよバーカ!
後ろ車が待ってるぞ!」



ゆきえ
「出してちょうだい」



運転手
「はい、奥様...」




ゆきえ
「じゃあ田中くん、忙しい時にごめんなさいね」




田中
「まったく...
いい迷惑だよ!」




ウィーーーーー・・・ン・・・





ゆきえ
「田中くん...
営業周り頑張ってね!
契約取れるといいわね、さようなら...」




田中
「じゃーな、セレブの奥さん」




ウォォォーー・・・・ン・・・♪




僕は・・・
真っ黒な高級ベンツが出るのを・・・
ただ悔しい思いで眺めていた・・・




これで良かったんだ・・・

これで・・・






一方ベンツの車内では・・・


運転手
「奥様...先ほどの男性との御関係は...」



ゆきえ
「・・・・・・」



運転手
「申し訳ございませぬ奥様...
わたくし大変御無礼を申し上げまして...

差し支えなければと思ったのですが...」




ゆきえ
「あの男はね・・・」




運転手
「あ...
はい...」




ゆきえ
「私の・・・・
初恋の男だったの・・・」




運転手
「は....
さようでございましたか...

ありがとうございます...
わたくしなんぞに心の内を話して頂いて...

ですが心配御無用ですぞ奥様...

旦那様には...御内密にしておきますので....」





ゆきえ
「バカな男よ・・・
私を振ったするから・・・

ちょっと意地悪しちゃった・・・」




運転手
「奥様には旦那様がふさわしいと
わたくしは思いますぞ...」




ゆきえ
「スッキリしたわ!
あの男に・・・
私との格差を見せつけてやったの・・・」




運転手
「同じ男のわたくしならわかります...
あの男性...
奥様を見て...大変悔しい思いをした事でしょうな...」




ゆきえ
「フンッ...
私の勝ちね...」




運転手
「もちろんです...
奥様は山中グループ会長である旦那様の...
御婦人なのですから...」




ゆきえ
「男はやっぱり・・・
経済力よね・・・

いつまで経ってもヒラの雇われ社員では...
主人の足元にも及ばないわ・・・」




運転手
「誠でございます奥様...」




ウォォォーーーーー・・・・ン・・・







そして・・・

ゆきえが乗った高級ベンツが・・・
交差点を右に曲がり見えなくなると・・・



田中
「バーーーカ!!
バーーーカ!!バーーーカ!!
バァァーーーーーーーーーーーーーァァカッ!!
2度と現れんな!!金に目が眩んだ銭ゲバ女が!!
いつか山中に捨てられろっ!!!」


ハァ....ハァ...ハァ....


僕は息を切らしながら・・・
ふと腕時計へと目をやると・・.


やっべっ!!!
もう15時半かよっ!!

早く湧永商事のビルに急がないと!
アポイントの時間に遅れちまう!!

僕は慌てながら...

見積書と報告書がたくさん詰まったカバンを抱え...

再び走り出したのであった...




厳しい現実社会の中で・・・

重い責任をたくさん背負い・・・

僕はこれからも・・・

この街で・・・

忙しい毎日を生きていくだろう・・・



いつかは訪れる・・・
夢幻のような安らぎの世界へと旅立つ日まで・・・













(終わり)






あの日僕へ3(仮)
(予告編)




マー坊
「ねぇ、虎にーちゃん」



虎之助
「んー?どうしたマー坊?」



マー坊
「どうして虎にーちゃんの、おちんちんには毛が生えてるの?」



虎之助
「んん~~・・・
それはだなぁ~~・・・
おちんちんが風邪をひくからかなぁ~?」


マー坊
「じゃあボクのおちんちんには、どうして毛がないの?寒くて風邪ひいちゃうよ~?」


虎之助
「う~ん・・・
マー坊のおちんちんはね、まだ小っちゃいから風邪ひかないんだよ・・・」


マー坊
「どうしておちんちんが小っちゃいと、風邪ひかないの~?」


虎之助
「マー坊のおちんちんは、皮を被ってるでしょ?
あったかいから風邪ひかないんだよ~」


マー坊
「ふ~~~ん・・・
そうなのか~~・・・
皮を被ってると、風邪ひかないんだね!」


虎之助
「大きくなったら、皮を脱ぐだろう?
それで寒くておちんちんが風邪ひきそうになるんだ!」


マー坊
「だから虎にーちゃんのおちんちんには毛が生えてるんだね!」


虎之助
「えっへん!そうなのだ!」


マー坊
「ボクにも早くおちんちんに毛が生えてこないかなぁ~?」


虎之助
「大丈夫だよ!
マー坊も、きっと大きくなったらおちんちんに毛が生えてるからさ!」


マー坊
「ほんとう~?」


虎之助
「本当だよ!」


マー坊
「ボクのおちんちんに毛が生えてたら、虎にーちゃんは1番で見せてあげる!」


虎之助
「にーちゃん1番で見せてくれるの?
楽しみだな~!」


マー坊
「うんっ!!」



僕を「お兄ちゃん」と呼んでくれたのは...

ケン坊の8つ歳下の弟「将弘」(まさひろ)

通称「マー坊」だった...

ケン坊とマー坊は

僕のお向かいに家があるんだけど...

親父さんが出稼ぎ労働者のため、家には殆ど居なかったので...

幼い頃から僕の家に住んでいたのです...

なのでマー坊は本当の弟のように可愛がっていました...

マー坊も、僕を「虎にーちゃん」と呼び、とても懐いてくれたので...

マー坊の前ではいつもお兄ちゃんぶって、弱い所や泣いている姿はなるべく見せないようにしていました...

そんなマー坊を肩車した時の思い出を...

ちょっぴり思い出してみました...


「お兄ちゃんと肩車」
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