ヒトミおねぇちゃんの、ワクワク魔法のカレーライス
みんなアニマルランドへようこそ!
ここにはいろんな動物たちが暮らしているんだ
とんがり帽子が目印のチャイルドホーム
今日はどんなことがあるのかな?
少しのぞいてみましょう
チャイルドホームの台所から、おいしい香りがします
6年生のしっかり者、みけ猫の「ヒトミおねぇちゃん」がなにか作ってるみたいです
ポン太
「ただいま~!」
お絵かき大好きな1年生のポン太が帰ってきました
ポン太
「あ~!お腹すいた!
クンクン…クンクンクン…
このおいしそうな香り!
カレーライスだぁ!やったぁ!」
ポン太はカレーの香りがする台所へバタバタと走って行きました、すると台所には大きなお鍋に、おいしそうなカレーが「グツグツ、グツグツ」音を出して煮えたっていました
ポン太
「ただいま~!わぁ~い!今日はカレーライスだね!ボク早くたべたい!」
ヒトミ
「お帰りなさいポンちゃん!
うふふ♪今日のカレーはね、おねぇちゃんが作った特製なの!
もう少しで出来るから待っててね♪」
ポン太
「え~!やだやだやだ!
ボクもうお腹へってがまん出来ない!
今すぐカレーライス食べるんだい!」
ヒトミ
「ダメよ!
まだお野菜をホクホクトロ~リやわらかくして、カレーの味をもっとおいしくするんだから
ポンちゃんのお部屋、学校から帰ってそのまんまでしょ?
ちらかってるから、カレーが出来るまでにおかたずけしてくるの、わかった?」
ポン太
「え~…
ボク、カレーライス食べてからおかたずけする~…」
ヒトミ
「ポンちゃん、わがままいってると
カレーライスあげないよ~♪」
ポン太
「ふぇ~ん…
わかったぁ~…
ボク、お部屋のおかたずけしてくるぅ~…」
ポン太はヒトミおねぇちゃんにそう言われて、しぶしぶお部屋のおかたずけをしに行きました
ヒトミおねぇちゃんは、うふふ♪と微笑みながら、お鍋のカレーをグルグルと回していると…
ミミ
「わきゃ~お♪
カレーライスだぁ!カレーライスだぁ!
ミミすぐたべる!お皿とってくるね!」
2年生のおてんば娘、うさぎの「ミミ」が帰ってきました
ミミはおいしそうなカレーライスに大はしゃぎです
ヒトミ
「ミーちゃん、帰ってきたら言うことがあるでしょ?」
ミミ
「ぁ!いっけなぁ~い♪
ヒトミおねぇちゃんたっだいまー!
今日のカレー、ヒトミおねぇちゃんが作ったんだぁ!おいしそう!
ミミおなかペコペコ…もうたべていいよね?
ヒトミ
「ダメよ、まだお野菜とカレーをじっくり煮込んでるんだから
ミーちゃん、今日は宿題があったでしょ?
ちゃんとやった?」
ミミ
「まだやってなーい!
だってミミ、宿題きらいなんだもーん!」
ヒトミ
「ダメよ、宿題はしっかりやらなくっちゃ!
カレーは宿題が終わってからね!」
ミミ
「えーん!やだー!
ミミ、カレーライスたべてから宿題するもん!」
ヒトミ
「ミーちゃん、わがまま言ってると、カレーライス
あげないぞぉ~♪」
ミミ
「えー!やだやだやだー!
ミミ宿題してくるから、カレーライス先にたべないでよー!」
ミミはヒトミおねぇちゃんにそう言われると、あわてて部屋へ走って行きました
ヒトミおねぇちゃんは、うふふ♪ミーちゃんは、おてんばさんね♪と微笑みながらカレーのお鍋をグルグルと回し始めます…
すると今度は…
たいち
「オ~レ~♪オレオレオ~レ♪
チャンプオ~レ~♪
あ~腹へった!
ただいまぁー!」
3年生のサッカー大好き少年、イタチのたいちくんがサッカーの試合から帰ってきました
たいち
「うわっ!カレーのうまそうな匂いがする!
やったやったやったーい!」
たいちはすぐにカレーの匂いに気づくと、泥んこのままで台所へ走って行きました
たいち
「ただいまー!
あっ!ヒトミねーちゃんカレー作ってんの!?
オレすぐたべるからご飯よそってよ!」
ヒトミ
「こらっ!たいち!
そんな泥んこで台所へ入ってきたらダメでしょっ!?
すぐお風呂へ入ってきなさい!」
たいち
「えー、めんどくさい、オレ腹へったぁ~…
カレーライス食べてからでえーやん~…」
ヒトミ
「ダメよ!お風呂入ってからじゃないと、カレーライスあげないもん!」
たいち
「ちぇ~!わかったよぉ~…
お風呂入ればいいんだろ、
入りますよーだ!」
たいちは、ヒトミおねぇちゃんにそう言われると、ふてくされながらお風呂へ行きました
ヒトミ
「まったくもう、たいちはわんぱくだけど、おぎょうぎ悪いんだから…」
ヒトミおねぇちゃんはまたカレーのお鍋をグルグル回します
すると今度は…
ハナ
「ヒトミおねぇちゃんただいま、頼まれていた物買ってきたよ~」
4年生の心優しい女の子、プードルの「ハナ」がおつかいから帰ってきました
ヒトミ
「ハナちゃんおかえりなさい!
頼んでいた物、テーブルにおいてくれる?」
ハナ
「うん、いーよ♪」
ヒトミ
「ハナちゃんがおつかいに行ってきてくれたおかげで、おねぇちゃんの特製カレーがおいしくできそう!
本当にたすかったわぁ~♪」
ハナ
「お手伝いならまかせてよ♪
私もこれからレモンラッシー作るね♪」
ヒトミ
「うれしい、ハナちゃんが作ったレモンラッシーおいしいから大好き」
ヒトミおねぇちゃんは、いったんお鍋の火を止めて、これからカレーに入れる隠し味の下ごしらえをします
すると今度は…
モッくん
「ただいまぁ~だモォ~!
お!?
クンクンクン…
この匂いはカレーライスだモォ~!
オイラの大好物だモォ~♪」
5年生の力持ち、ウシのモー次郎「モッくん」が、相撲クラブの稽古から帰ってきました
モッくんはカレーの香りがする台所へ
ドスドスドス!と走って行きました
モッくん
「ただいまぁだモォ~!
今日の晩ごはんはカレーライスだなモォ~!
オイラ大盛特大だなモォ~!
ごっつぁんだモォ~♪」
ヒトミ
「きゃー!モッくん!
そんなにドスドス走ったらホコリがたつからやめてー!」
モッくん
「ヒトミねぇちゃんカレー作っただモォ~!?
うまそうだなモォ~♪
オイラに早く大盛特大ヨロシクだなモォ~♪」
ヒトミ
「だーめっ!モッくんも汗びっしょり!
今、たいちがお風呂に入ってるから一緒に入ってらっしゃい!」
モッくん
「オイラ腹ペコでがまん出来ないだなモォ~!
早く大盛特大カレーライス食わせろだなモォ~!」
5年生のモッくんは力持ちでわんぱく盛り、どうにかカレーライスを食べさせてもらおうとヒトミおねぇちゃんに強気で出ますが…
ヒトミ
「モッくん!!
今すぐお風呂入らなければ、カレーライス抜きです!!」
ハナ
「モッくん、カレーはまだ味の調整があるの、だからお風呂入ってきて、ね♪」
モッくん
「わ…わかっただモォ~…
お風呂入ってくるだなモォ~…」
モッくんは、ヒトミおねぇちゃんとハナちゃんにそう言われると、観念してお風呂へ行きました
ヒトミ
「やれやれ…
これでみんな帰ってきたからひと安心ね♪」
…と、お鍋の方を見ると…
院長先生、クマの熊八先生が、カレーの味見をしようとしています
ヒトミ
「きゃぁーーー!!!
熊八先生ダメーーーー!!!」
熊八先生
「わっ!っ…たたた…!
ヒ…ヒトミちゃん…
ちょっとぐらいいいだろぅ~…?
その…味見だけだからさぁ…?」
ヒトミ
「もう!熊八先生まで子供みたい!
これからカレーをもっとおいしくするんだから、台所から出て下さい!」
熊八先生
「ほんの
ちょびっと…
だけでも…
ダメ…?」
熊八先生は、申し訳なさそうにしながらも、カレーの誘惑に勝てずヒトミおねぇちゃんにお願いします
ヒトミ
「熊八先生!あんまりおぎょうぎ悪いと…
奥様のマリア先生に言いつけますよ!」
熊八先生
「わっ!…わわわ…
わかったわかった…
マリアに言いつけるのだけは勘弁してくれ!」
熊八先生は、ヒトミおねぇちゃんにそう言われると、そそくさと台所を出て行きました
ハナ
「ふふ…♪
ヒトミおねぇちゃん、なんだかお母さんみたい」
ヒトミ
「えへへ…
私ちょっぴり言いすぎたかな?
…でも、私ね、熊八先生の事
本当のお父さんだと思っているし
マリア先生はお母さん
そして、ポンちゃん、ミーちゃん、たいち、ハナちゃん、モッくん達は私の可愛い弟と妹よ
そう…みんなは大切な家族なの
だから、私ね、チャイルドホームにきてからちっとも寂しくないもん
ハナ
「私も…チャイルドホームに来てからいつも笑ってる…
ここに来る前は毎日泣いてばかり…
お父さん、お母さん、兄弟、家族がいるみんながうらやましくて…
本当に…本当にうらやましくて…
とにかく寂しくて毎日泣いてた
私…ヒトミおねぇちゃんの事、本当のおねぇちゃんだって思ってるよ」
ヒトミ
「私だって…
ハナちゃんみたいな可愛い妹ができて本当に幸せ…
……………て、
やぁ~だぁ~!
なんか泣きそうになっちゃう!
しんみりしてきちゃったね!
さ、これからカレーがもっとおいしくなる魔法をかけるんだから!」
本当に仲の良い姉妹みたいなヒトミおねぇちゃんとハナちゃん
これからカレーの最後の仕上げに入ります
ヒトミ
「まず、ハナちゃんが買ってきてくれたリンゴをすりおろし、その中にハチミツをトロ~リ♪加えてカレーに入れる
そして今度はシーチキン、これはカレーに欠かせないのよね!
缶詰をパックリ空けて、ぜんぶカレーに入れる
最後の隠し味に虎之助おじさんが作った生クリームとバターをトコトコトコ…とかき混ぜたら
カレーに丸く円を描きながら入れる
これを弱火でじっくりじっくり…
おいしくなぁ~れ♪
おいしくなぁ~れ♪
魔法のおまじないを唱えながら
グルグルグルグル回してっと…
ヒトミおねぇちゃんの特製カレーの完成ははもうすぐです…
しかしその頃、ヒトミおねぇちゃんの言いつけを終えたみんなはもう腹ペコでグッタリしていました
ポン太
「お腹すいたぁ~
ボク、もうお腹と背中がくっついちゃうよぉ~」
ミミ
「ミミも今日いっぱい遊んだからお腹ペコペコ~
カレーまだかなぁ~…?」
たいち
「オ…オレもうダメ…
腹へって目がグルグル回る~…
早くカレーくいてぇ~…」
モッくん
「オイラ…
このままじゃ腹ペコで風にとばされるだなモォ~…」
全員
「それは絶対ないから大丈夫」
熊八先生
「はふぅ~…この空腹にカレーの香りはこたえるのぉ~…
どれ、みんなでもう一度台所へ行ってみようではないか…」
熊八先生に言われるがまま、みんなはフラフラになりながらも台所へ向かい
全員
「ヒトミおねぇちゃ~ん…
カレーライスまだぁ~…?」
ヒトミ
「うふふ♪みんなお待たせ♪
ヒトミおねぇちゃんの特製カレーライス
…
できましたぁーーーーー!!!」
全員
「わぁーーーーーーい!!!」
ハナ
「私が作ったレモンラッシーもあるよ♪」
全員
「わぁーーーーーーい!!!」
フラフラだったみんなは大喜び!
元気になってカレーライスをよそいました
マリア先生
「ただいまぁ~、あら♪カレーの良い香り♪
ヒトミちゃんが作ったのね」
熊八先生の奥さん、マリア先生も本屋さんから帰ってきたようです
全員
「マリア先生!おかえりなさ~い!」
マリア先生
「うふふ♪ポンちゃん、ミーちゃん、たいちくん、ハナちゃん、モッくん、ヒトミちゃん、みんな私の可愛い子供たち、
そして愛しのあなた…
ただ~いま♪」
ヒトミ
「マリア先生、私ね、前に教えてもらった通りにカレー作ったよ!」
マリア先生
「まぁ!そうなの~、ヒトミちゃんえらいわね~…
すっかりみんなのおねぇちゃんだもんね~…」
ヒトミ
「でもみんなすぐに食べたがるから大変だったの」
マリア先生
「そりぁねぇ~、こんなおいしそうな香りがしてたらしょうがないわよ~、私だってがまん出来ないわ」
ポン太
「ねぇ~!ヒトミおねぇちゃん、マリア先生、早く食べようよぉ~!」
ヒトミ
「もう、ポンちゃんったらぁ~…」
マリア先生
「はいはい、それではみなさん手を合わせて…」
総全員
「いっただきまーーーす!!」
パクリ!ホクホク!ハホハホハフハフ!
トロ~リ!ムシャムシャ!ごっくん!
全員
「お…お…お…
おいしぃーーーーい!!!」
ポン太
「ヒトミおねぇちゃんが作ったカレーライス、すっごーーくおいしい!」
ミミ
「ハナおねぇちゃんが作ったレモンラッシーも甘酸っぱくておいしいね!」
たいち
「ジャガイモごろごろホクホクであっつあつ!お野菜もおいしい!」
ハナ
「玉ねぎがじっくりとけ込んでて、ニンジンがほっこりやわらかくておいしい」
モッくん
「ほっかほかご飯に、トロ~リとしたカレーの中にはシーチキンとたっぷりお野菜!モー最高にうまいだなモォ~♪」
ヒトミ
「うふふ♪良かった♪ハナちゃんもお手伝いがんばったもんね!」
熊八先生
「本当においしいカレーだ!レストランよりもずっとおいしい!ヒトミちゃんは将来良いお嫁さんになるぞ!がっはっは!」
ヒトミ
「や…!やだぁ~…!もうっ!
熊八先生ったらぁ~…!」
ポン太
「あっ!ヒトミおねぇちゃん、ほっぺた赤くなってる!」
ヒトミ
「ちょっと!ポンちゃん、やめてよぉ~!」
全員
「わっはっはっはっはっは!!!」
マリア先生
「ヒトミちゃん、カレー、とってもおいしくできてるわよ」
ヒトミ
「ほ…本当!?」
マリア先生
「そりゃあヒトミちゃんは私の自慢の娘だもの、当然よ!」
ミミ
「えー!マリア先生、ミミは?ミミは?」
ポン太
「ボクもだよー!マリア先生、ボクもだよねー!」
マリア先生
「あらあら…ミーちゃん、ポンちゃんったら…
もちろんですよ、ポンちゃん、ミーちゃん、たいちくん、ハナちゃん、モッくんだって同じ、みんな私の大切な大切な
自慢の子供達ですよ!
ねぇ、あなた」
熊八先生
「もちろんだとも!
チャイルドホームの子供達はみんなわしの可愛い可愛い息子と娘だ!
がっはっは!」
…お父さんお母さんがいないチャイルドホームの子供達…
しかし誰も悲しくも寂しくもありません
それはみんなが肉親を越えた本当の家族
だからです
しかし、世界中にはお父さんお母さんがいない子供達、おいしいものが食べられない子供達がたくさんいます
そんな恵まれない子供達にも、いつかチャイルドホームのような家族がいて、毎日を幸せに暮らせる日々が訪れるよう
自身の無力さながらも祈ります
ヒトミ
「みんなおかわりあるからね~♪」
総全員
「ヒトミおねぇちゃん、
おーーかーーわーーりーーー!!!」
ヒトミ
「えぇー!みんなおかわりー!?」
チャイルドホームは今日もにぎやかです
きっと世界で一番幸福な子供達かもしれませんね
おしまい