どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

Boarding ~ 消防士への道~第二話「横田教官の鋭い観察力」前編

四国を離れ、これまで生活の糧にしていた事や好きな事を全てを捨て

この「日本消防庁消防隊員訓練学校」へ、子供の頃から憧れていたもう1つの夢、消防士になるために消防隊員試験を受けに愛媛から遙々やってきた虎之助

邪念も迷いも迷いも無く、真っ直ぐな気持ちで胸を張り、強気な志で試験に挑んで来たはずだったが…

突然の隊員点呼で一瞬の判断を誤ってしまい、大男で恐怖感漂う消防隊員学校の「横田強教官」に予想を遥かに上回る程の恐ろしい大罵声を1人集中的に浴びせられてしまった虎之助…

横田教官の見た目は横綱力士やプロレスラーとはまた違った威圧感があり
いくら学生時代に相撲で鍛えてきた虎之助でも横田教官の前では蛇に睨まれた蛙、いや、それ以上、今にも泣き出しそうな半べその幼稚園児のようになってしまうのである

受講生や消防局長、副教官の前で
横田教官に大罵声で怒鳴られてしまった虎之助は、これから始まる消防隊員訓練学校への厳しい生活、消防士という「人命を救う仕事」に不安感が過るようになる、来校当初に感じていた強い気持ちは、
今にも雨が降りだしそうな怪しい雲によって遮られてしまう

「消防士」ただの憧れだけでは済まされない…

1分1秒の救助が生死の堺


虎之助には、自身に重大な責任感を課せられる仕事なんだという事に、まだ認識が浅すぎたのだ


Boarding ~ 消防士への道~
第二話「横田教官の鋭い観察力」前編


横田教官
「はい!それでは全員席に着け!」

受講生
「はいっっっ!!!」

横田教官
「今のが隊員点呼だ、君たちが試験を合格して訓練学校生活が始まったら、起床後すぐに集合して各班ごとに整列したら直ちに整列番号を行う
その後、私が1班の1番隊員から名前を呼ぶから、呼ばれた者は今のように「1番隊員っ!三宅祐一郎っ!!」と自分の隊員番号と名前を大きな声ではっきり言う!
わかったなっっ!!」

受講生
「はいっっっ!!!わかりましたっっっ!!!」

横田教官
「よし!それでは試験の日程と時間を説明する

先ずは今日、本日の学科試験「一般教養試験」は10時から始まる

場所はこの第1校舎の3階にある教育学部センターで行う事になる、今君たちが座っている会議室の調度3階真上になるから場所はすぐにわかる

一応校舎案内のプリントを各自で渡しておくから、休憩室、食堂、学生調理場、大浴場、洗濯場、講習センター、資料室、図書室、等の場所を各自で確認するように

トイレと洗面所は各階に3ヶ所ある、南端と北端とその真ん中に位置するようになるから、各班で話し合って使い分けるように、あと訓練中は重い防火服や酸素ボンベの装着、消火ポンプ操作、梯子車の乗降訓練等でトイレに行けなくなる事がある、だから訓練前には必ずトイレを済ませておくように、だが、どうしても途中で催し我慢出来なくなったり、体調や気分が悪くなった場合は無理をせず、すぐ私や鈴木教官に報告する!いいな!」

受講生
「はいっっっ!!!」

横田教官
「試験が合格してからの話にはなるが先に説明しておくぞ、基本この消防隊員訓練学校は土曜、日曜は休校でお休みだ

我々教官や局長も非番になり居ない事もあるが、順番で当直している消防隊員が数人待機しているから、何かあった場合には当直の消防隊員に伝えるように

消防訓練は君たちが思っている以上に相当ハードで体力を使う、2日間の連休中にしっかりと体を休めるのも良いが、トレーニングセンターや運動場で筋肉トレーニングをして体力向上を志のも良し、体育館で競技スポーツをするのも良し、解らない事や聞きたい事、教えて欲しい事があれば、順番で当直している消防隊員に何でも質問してみるのも良いだろう

もし外出を希望する者は、外出届けを提出するように、門限は20時までだ

毎週金曜日の夕食は自分達で食事を準備するようになる、これも役割分担をして各班で話し合うように!

受講生
「はいっっっ!!!」


横田教官
「では今日の一般教養試験の時間だ
10:00~10:50
「知能分野」
11:00~11:50
「文章理解」
12:00~12:50
各自で昼食
13:00~13:50
「空間概念」
14:00~14:50
「判断推理」
15:00~15:50
「数的処理」
16:00~16:50
「英文理解」
これで今日の試験は終了とする
17:00~19:50
夕食と自由時間

20:00~21:00
講習センターにて消防士、消防隊員訓練学校生活についてのDVD による映像観覧と教官からのお話

21:00~23:00
入浴や洗濯、就寝準備、自由時間

23:00~
就寝

翌朝
7:30~
起床
8:00~8:50
朝食
9:00~
試験2日目といった内容になる
試験の日程が表記されたプリントを校舎案内のプリントと同時に配るから各自で目を通しておくように」

横田教官から校舎案内のプリントと試験日程時刻のプリントを配られ、受講生の皆は其々無言で目を通している

この広い敷地内を構える日本消防疔消防隊員訓練学校には第1校舎と第2校舎があり、他にも水難救助訓練用のプールや、ロープ乗降訓練塔、体育館、運動場、他にも火災、災害想定訓練場、救急救命訓練室等々、圧倒される程の訓練施設があり、流石は日本一を誇る消防疔消防隊員訓練学校なんだと認識させられる

みんなこの学校で厳しい訓練や座学を学んで消防士になっていったんだ…

僕の不安感は更に大きくなる…

何だか怖くなってきた…

自信が無くなってきた…

高い所からロープを使って降りたり登ったり…

重い防火服を着て、重い酸素ボンベを背負って、息苦しい酸素マスクを装着して、何百度もある灼熱の炎の中へ入って行く…

本当に僕が選んだ道は正しかったのか…?
間違っていなかったのか…?

もし消防士になったら、これまでのような安堵な生活は出来ない…

消防士でいる以上、新聞配達は出来ない…

配達中に感じる季節の変わり目頃に漂っていたあの切ない香りも…

深々と澄んだ山の空気、冷たい石鎚からの滝水を体で受けていた滝行も…

今年購入したばっかりのお気に入りのスレンダージャージを穿いて、田園風景の中を歩くのも…

おやちゃい坊主、ぽん太のチャイルドホーム、ボクはこぶたのとんたろうのお話やイラストを描く事も…

ポンコツ丸に股がって、四国を旅をする事も… 

もう…
出来ないんだ…

どうして僕は、それら全てを捨ててでも消防士という道を選んでしまったのか…

夢を叶えるというのは、時に何かを失わなければならないものもある…

しかし失った分だけまた新しい何かが手に入る…

そう…
人は求めるもの全てを手に入れる事は出来ないのだ…

迷ってなんかいられない

みんな幾度の厳しい試練を乗り越えて夢を叶えてきたんだ…

絶対に後悔はしないと自分で決めた事じゃないか!

ここまで頑張ってきたのに今更なに言ってるんだ!

教官に怒鳴られたくらいで諦めるな!

やっぱり自分の気持ちに迷いは無い!

僕は必ず消防士なるんだ!

弱気になっていた心を今一度強い信念で奮い立たせた

横田教官
「今は8:30か…よし!それじゃあこれから荷物を持って、宿舎へ向かい班で共同生活をする各僚部屋を案内する!

同時に各班でそうじ当番や金曜日の夕食当番、消灯、就寝時間等を決めるように!」

受講生
「はいっっっ!!!」

横田教官
「はい!それでは全員起立!!」

受講生
「はいっっっ!!!」
ガタガタ…ガタガタ…ッッ!!

席を立つ音

沖田局長
横田教官
鈴木副教官
「ありがとうございましたっっ!!」

受講生
「ありがとうございましたっっ!!!」

朝の挨拶が終了し、受講生の皆が無言のままで会議室を出ている時、突然、横田教官が虎之助を呼びだした

横田教官
「おい、8番隊員の西郷虎之助!」

突然の事に僕は心臓が鷲掴みにされた程ビックリしたが、さっきのように怒鳴られたくなかったので慌てながらも大きな声で返事をする

虎之助
「は…はいっっっ!!!」

横田教官
「お前、ボォ~…としとったらいかんのぞ!」

虎之助
「はいっっっ!!!すみませんでしたっっっ!!!」


横田教官
「さっき俺が試験の日程を話している間も、何かボ~…と考え事をしていただろうが!すぐにわかるんだぞ!コラッ!」


虎之助
「はいっっっ!!!すみませんでしたっっっ!!!以後気をつけますっっっ!!!」

横田教官
「あのな、俺は新人を見る目に関してはプロ中のプロだ、いくら誤魔化しても俺には通用せんぞ!」

虎之助
「はいっっっ!!!わかりましたっっっ!!!」

横田教官
「ほんっとにわかっとるんかぁ~?
お前もうすでに泣きそう顔しとるけど大丈夫かー?(笑)」

虎之助
「はいっっっ!!!大丈夫ですっっっ、!!!」

はははは…
と、何人かの受講生が笑っていたのが聞こえる…

横田教官
「ちょいと頼り無さそうな子やけど、まぁ素直で真面目そうではあるなぁ~」

と、沖田局長や鈴木副教官と顔を合わせながら言った

横田教官
「でもな、素直で真面目なだけでは消防士は勤まらんわけよ、予想だがお前は絶対俺に相当泣かされるぞ、もう訓練の様子が目に浮かぶようにわかるんだからな」

虎之助
「え…?は…はい……」

僕はそう言われた途端、喉に何かがつっかえたように声が小さく頼り無い返事になってしまった

横田教官
「ほうらなぁ~!もうこの様だ!
お前俺にもう一度怒鳴られたいんか?」

虎之助
「は…いえっ…!はいっっっ!!!すみませんでしたっっっ!!!」

慌てて返事を返す自分…

横田教官
「消防士を目指す男がこれぐらいの事で怖がるな!とって食ったりはしないから
!さっきは突然大声で怒鳴ったりして驚いただろう、でもな、これは俺がお前に消防士になってもらいたいと思っての事なんだ!今までとは全く違う世界なんだ!これから消防士という人命を救う仕事を志す為、新たに強い信念で気持ちを切り替えてもらうよう渇を入れたんだ!」 

虎之助
「はいっっっ!!!ありがとうございますっっっ!!!」

横田教官
「まぁしっかり頑張れや!先ずは試験に合格しろ!お前に消防士の訓練や座学を教えてるのはそれからだ!
合格したらその太い体も俺が引き締めてやる!」

虎之助
「はいっっっ!!!ありがとうございますっっっ!!!宜しくお願いしますっっっ!!!」

横田教官
「おうっ!頑張れっ!」

虎之助
「はいっっっ!!!」

2人の合図が冷えきった廊下に響き渡る

これが鬼の教官横田強と泣きべそ消防隊員虎之助の出会いだった…

横田教官は虎之助に何を感じ、思い立ったのか… 

日本消防疔消防隊員訓練学校の教官、「横田強」が「龍玄和尚」に続いて虎之助の人生を変えた師になろうとは、この時にはまだ思いもよらなかった…

後編へと続く

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