どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

「しまなみ・えれじぃ」~実らぬ恋の哀愁ドライブ~

かなわぬ恋と
決めつけても

諦めきれないよ

どうにもならぬと初めから
知っていたのに…

かざぐるまが
音をたててる

カラカラ…
響いては

風がやんで止まった後は


色がわかれる…


村下孝蔵「かざぐるま」より

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僕が「村下孝蔵」の歌が恋しくなるのは

10月の祭が始まる頃

金木犀がほのかに香り

田んぼのあぜ道には
まっかな曼珠沙華

一年で
彼の歌を部屋で流すのは
ほんの短いその間だけ…


僕はまた
いつものように過去へと引き戻されて


恋も実らぬ彼とのドライブを
思い返している


心に刺さったままのトゲは
今も抜けないまま

秋を迎える…




「しまなみ・えれじぃ」
~叶わぬ恋の哀愁ドライブ~


僕がまだ
20代だった頃

別に好きでもなく

ほとんど興味も示していない
中年の男性から
突然バーで口説かれた


不意にキスまでされて…

その時
僕はすごく

やるせない気持ちになった



なのに、彼に僕のメールアドレスを教えてしまった

なんで好きでもない相手にメールアドレス教えちゃったんだろう…



僕は家に帰ってから
「これからもヨロシク(^^)」と入ってきたメールの返事を、面倒くさそうに打った…


それから日曜日の朝

突然僕の携帯からメール着信音が鳴る


「メール着信あり」を開いてみると

「おはよう!伸一くん!もう起きてるかな?これから飯でも食いに行こうよ、ごちそうするから!OKだったら返事ちょうだい、無かったら夕方までは松山に居るから待ってるよ!ヨロシク!」(タク)


僕はそのメールを見て

「面倒くさいなぁ~・・・僕はこの人と付き合ってる訳じゃないのに・・・
なんか図々しい・・・この人・・」

無視してやろうと思った


だけど…
ずっと夕方まで待たせるのも悪いしなぁ…

「グゥ~~~・・・」

僕のお腹が鳴る

お腹も減ったなぁ・・・朝飯作るの面倒くさい・・・

どうするものかと悩みながら携帯の時刻を見ると

朝の八時半だった

う~~~~ん・・・

天気も良いし、別に予定もない・・・

タダ飯食えるし・・・




少し考えると・・

僕はメールを打って
こう返信した

「嬉しい~!今日退屈だったんだ!
何処か連れてってくれるの?
お腹も減ってペコペコ!早く何か食べたいよ~~(^o^)」



しょうがない
デートしてやるか!


僕は返信メールが来る前に、シャワーを浴びる


シャワーから戻ると早くも返信メールが来ている


「よかった!どうせ断るだろうなと半分諦めていたんだ、今日はたくさんごちそうしてあげるから一杯食えよ-!

で、今石手川ダムに居るんだけど、何処まで迎えに行けばいい?」(タク)



メールの終わりに(タク)と入れてある、その人のハンドルネームは「拓郎」


吉田拓郎のファンである為
このハンドルネームにしているのであろう

店ではタクさんと呼ばれている

今治市にマンションを借りて住んでいる
そうだ


伸一
石手川ダム
あ~そうかぁ…今治市から国道317号線を走ってきたんだな」


僕はタクさんに
メールを返す
「道後プリンスホテルまで来て下さい、駐車場で待ってます」


当時住んでた場所は
道後方面だった


道後プリンスホテルであれば、目的地としても迷わない
石手川ダムからセブンスターを右に曲がれば良いだけだ


20分程して
白いバンが道後プリンスの駐車場へと入り、僕の前までやってきた

どうやらそれがタクさんの車らしい



僕が車に乗ると
タクさんはニコニコと嬉しそうに
満面に笑みをこぼしている


そして僕も
「おじゃましまーす!と言って、嬉しそうに微笑み返しをする」


しかし、それはもちろん
「わざと」である

おいしいごちそうのタダ飯を食わせてもらうには、ある程度の営業スマイルも必要となる

タクさん
「ちょっと今治方面に行っていい?
俺のマンションにも来て欲しいんだ」


・・とタクさんが言う


僕は直感的に

「これはごちそう食う前に・・・食われるかも・・・」

と、タクさんの下心に警戒心を高める

伸一
「マンションに行って、何するんですか?」

と僕はハッキリとタクさんに質問する

タクさん
「色々とさぁ、話したい事があるんよ」

伸一
「話なら、ドライブしながらでいいじゃないですか~♪今日はドライブで色々な場所に行きたい~!」

と、別に好きでもないし、嫌われても構わないのでわざとらしく下心を跳ね避けたのだが


タクさん
「まぁおいでよ♪何も悪いことしないって、ごちそうするんだからいいでしょお~?」


伸一
「え~~~、マンションでジッとするなんてつまんない、止めよっかなぁ~」

と言うと

タクさん
「まぁ、音楽的でも聴きながら行こうよ♪そこにMD入ってるから、好きなの選んでいいよ!」

車は既に、今治方面行きの国道317号線へと向かっていた


この人・・・
見かけは穏和だが、なかなか強引だ


タクさん
「朝飯まだだろ?まず何か食おうか?
何食べたい?」

伸一
「八勝亭」で、唐揚げが食べたい!


タクさん
「八勝亭?って何処らへんにあるん?」


伸一
「この国道317号線沿いにありますよ~、玉川過ぎてホテルリバーサイドの手前です」

タクさん
「あぁ~~ぁあ!わかった!わかった!あそこな!うん、いいよ!いいよ!ごちそうするからさ!」


タクさんは運転しながら、僕の顔を見て
微笑む


僕も一応笑顔で返すが
内心どうでも良かった

しかし、今日一日は朝昼晩とごちそうしてもらう為、ある程度の愛想は我慢するしかない…


僕は、箱の中に入っているたくさんのMDを、一枚一枚見てみる

箱の中には丁寧に並べられたMD
キチンとレーベルに歌手名から曲名まで記されていた

結構几帳面な人なんだなぁ…と少しだけ関心する


吉田拓郎小田和正オフコース大瀧詠一ナイアガラトライアングル杉山清貴オメガドライブ槇原敬之平井堅、稲垣純一、徳永英明、BEGIN…等々


そして、僕の目に
一人の歌手名が・・・

村下孝蔵


アルバムタイトルは・・
歌人1」

僕はそのMDを手に取り


「これ聴きたい!」
と、タクさんにねだる

するとタクさんは
「いいよ、そこ入れな」

カーステレオのMDの差し出し口を指さす

そして僕は
タクさんが指さす方へと
村下孝蔵のMDをカーステレオに入れた


これが僕とタクさんの

恋の実らぬドライブの始まりだった


この出来事は

しまんと・えれじぃ~
で、あつしさんと高知県を旅したあの日から約3年後の出来事であった・・・


恋に激しく夢中になった
あつしさんとの~しまんと・えれじぃ~


恋の実らぬ毎月1回程度のドライブ
タクさんとの~しまなみ・えれじぃ~

前者が赤盤とすれば
後者は青盤といったところか・・・


好きでもない相手とのドライブ

これがちょうど1年間続いた…

彼が仕事で東北へと行くまで…



毎年10月
村下孝蔵の歌に

当時の実らぬ恋のじれったい彼とのドライブを…
今だに思い出してしまうのだ…


恋でもない、愛でもない

ただ

たまに会って
今治方面をドライブするのが
月1回の日程になっていたのである


どうして僕は

好きでもない相手と
断りもしないで毎回ドライブの誘いに乗り


好きでもない相手なのに
離れて逢えなくなった今でも
忘れる事が出来ないのか…




僕はあれから
毎年10月

曼珠沙華の花を見つけては

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あの頃
素直になれなかった自分を…

今でも
ほんの少しだけ
悔やんでいます…





こんな
男同士の出逢いも

あったんだ・・・



村下孝蔵の歌詞に沿って始まる
短編文集
「しまなみ・えれじぃ」
~実らぬ恋の哀愁ドライブ~

寝る前のお供に如何でしょうか・・・

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