ここは実り豊かな深山の里…
「おやちゃい村」
田んぼがいっぱいに広がり…
まわりは山々に囲まれて…
小川のきれいな水がさらさらと流れ…
おてんとうさまの光に照らされながら…
キラキラと輝いている…
川の流れに逆らうように泳ぐメダカやフナたちも楽しそう……
とっても気持ちよさそうに泳いでる…
今日はなんだか良いことあるかな…?
あなたもちょっぴり寄り道しませんか…?
おやちゃい村へ…
おいでんか~
「おやちゃいぼうず」
~新装版・新春スペシャル~
(其の2)
絵・文
「とらのすけ」
「おやちゃいぼうず制作委員会」
年が明けたばかりの…
おやちゃい村で…
空いっぱいに広がる青空のもと…
田んぼの真ん中にある一本道で…
子どもたちの楽しそうな歌が聞こえてきました…
お~しく~らまんじゅう~♪
お~やちゃ~いぼうず~♪
だ~れが泣くかな怒るかなぁ~♪
お尻の大~きい子~は誰だぁ~♪
そ~れは後ろの♪
おいらだよ~♪
歌っているのは…
元気いっぱい!
「おやちゃいぼうず」なのでした
おやちゃいぼうずの子どもたちが…
冬空のもと…
寒さに負けず、おしくらまんじゅうで遊んでいました…
すると…
いもさく
「あれれ~~?
あそこにすわってるのは誰だぁ~?」
うっかりのんきな
のんびり屋さんの
「いもさく」が…
誰かを見つけたようです…
そうたろう
「ホントでがんす~♪
なんだかとっても強そうでがんす~♪」
正直者で頑張り屋さんであり
気は優しくて力持ちな
「そうたろう」は…
その相手に興味津々です・・・
たまさぶろう
「おいどんとどっちが強いか…
相撲で勝負するべ!」
おやちゃいぼうずで一番相撲が強い
やんちゃ坊主な力持ちの…
「たまさぶろう」は…
得意の相撲で勝負に挑む様子・・・
ぴー助
「ふんっ!どうせ大した事ないわいっ・・・・・!
うわぁっ!?
こ・・・恐いよぉ~!
グスン・・・!」
すぐにカッカと怒りんぼう…
だけどもホントはとっても泣きベソ小僧な…
「ぴー助」は…
恐くてみんなの後ろに隠れてしまいました…
うり坊
「あーーーっ!!
何だか虎丸に似てるーーっ!!」
元気いっぱい暴れん坊な
甘えん坊!
まだ青いトマトの「うり坊」が…
お役目としてついている力人…
「虎丸」に見えると大はしゃぎ!
おやちゃいぼうずのみんなは興味津々!
いったい何者なんだろね?
と~っても気になってしょうがない!
みんなであいさつをしてみようか!!
「こ~~んに~~ちわ~~~♪♪」
猪狩丸(いがりまる)
「お・・・おう・・・!
こんにちは・・・!
おったまげたのう~・・・
おめぇら一体何者じゃ?」
うり坊
「おいらたち・・・
おやちゃいぼうずって言うんだ!
野菜の座敷わらしなんだよ!!」
猪狩丸
「野菜の座敷わらし・・・
なんか遠い昔の子どもの頃・・・
お爺はんから寝るときに聞かされた覚えがあるのう~~・・・」
うり坊
「ねぇ、おじさんって!
イノシシなんだよねっ!?」
猪狩丸
「おうっ!!
見ての通り猪じゃい!!
わしはのう…
おやちゃい山で暮らしている…
猪一族の山賊・・・!
猪狩丸じゃ・・・!!」
いもさく
「イノシシの山賊かぁ~~~♪
なんだかすんげぇだぁ~~~♪
体が大きくて♪
とっても強そうだぁ~~~♪
カッコええだぁ~~~♪」
猪狩丸
「ま・・まあのう・・・!
わしはこれでも猪一族の頭じゃからのう!
おやちゃい山で一番力持ちで強いんだぞ!!」
そうたろう
「ああぁぁーーーぁああっ!!!
イノシシのおじさん・・・!
ふんどし締めてるでがんす~~♪」
いもさく
「ホントだぁ~~~♪
カッコええだぁ~~~♪」
たまさぶろう
「な・・・なんだべっ!?
ふんどしだべかっ!!?
おいどんだってふんどし締めてるべ!」
そうたろう
「たまさぶろうのは、ふんどしではなく廻しでがんすよ♪」
ぴー助
「ふ・・・ふんっ・・・!
ち・・・ちょっと見てみたい・・・
・・・・でも恐い・・・グスン・・・」
うり坊
「わぁ~~~!!
イノシシのおじさんって…
ふんどし締めてるんだぁ~~~!!
ちょっと見たいなぁ~~~!!」
猪狩丸
「そりゃあ・・・
わしは男じゃけんのう!!
おめぇらほがいにふんどしが珍しいか?
わしら猪一族の男は皆ふんどしだぞ!?
男がふんどし締めるのは当たり前の事じゃろうが・・・!!」
うり坊
「じゃあおじさんは・・・
相撲も強いの~~!?」
猪狩丸
「もちろんじゃっ!!
わしはおやちゃい山の横綱じゃからのう!
相撲でわしに敵う者などおるものか!」
たまさぶろう
「イノシシのおじさん!!
お・・・お・・・
おいどんと相撲で勝負するべ!!」
猪狩丸
「おめぇか・・・
さっきから九州の方言でしゃべくっとるチビは・・・
野菜の子どものクセに・・・
いっちょ前に相撲の廻しなんか締めやがって・・・
まぁ~それはかまわんがのう・・・
確かにおめぇはこのチビらの中では一番威勢が良くて強そうじゃが・・・
でもまだ小さな子どもじゃけぇ・・・
大人のわしと相撲とるなんざ、そんな無謀な挑戦止めとけ止めとけ・・・
恥かいて泣きベソかくだけじゃ・・・」
うり坊
「ううんっ!!
おじさんよりも・・・
うーーんと相撲が強い力士いるもんっ!
おいらの力人、虎丸の方が絶対相撲が強いんだもんっ!!」
たまさぶろう
「虎丸よりも、おいどんの力人!
千太朗の方が何倍も強いべ!!
虎丸なんて…
実は泣きベソの弱虫のションベンたれじゃべっ!!(笑)」
うり坊
「ションベンたれなんかじゃないもんっ!!(怒)
千太朗より虎丸の方が強いもん!」
たまさぶろう
「いんや千太朗の方が強いに決まってるべっ!!」
うり坊
「虎丸だい!!!」
たまさぶろう
「いんや千太朗じゃべ!!!!」
猪狩丸
「まぁ!まぁ!まぁ!
わかった!わかった!
もうどちらも強いからケンカはすんな、子どもは仲良く遊ばないけん!」
そうたろう
「そうでがんす!
イノシシおじさんの言う通りでがんす!
わいらは仲良しこよしの♪
おやちゃいぼうずでがんすよ♪」
ぴー助
「ふ・・・ふんっ!!
な・・・仲良くなんか・・・
してやんないよ~~~!
あっかんべぇ~~~だ!」
そうたろう
「ぴー助!
そんな事言っちゃダメでがんすよ!」
いもさく
「んだ!んだ!
おらたち仲良しおやちゃいぼうずだぁ~~~♪」
たまさぶろう
「元気いっぱいおやちゃいぼうず!
どすこい!どすこい!はっきよい!
のこった!のこった!たまさぶろう♪」
うり坊
「ねぇ!イノシシおじさん!!
おいらたちとお友だちになろうよ!!」
猪狩丸
「やれやれ・・・
にぎやかすぎてかなわん・・・
おめぇらほんまに個性的なチビらじゃのう~~・・・
まだ子どものクセに、わしを見ても全く恐がる様子も見せんと・・・
嬉しそうに話しかけてきおってからに…
普通の子どもならばのう…
わしをみたら大泣きじゃ…
まったく・・・
わしは拍子抜けしてしまうわい!」
うり坊
「ねぇ・・・
イノシシおじさんは・・・
ずっとここに座って何してるの~~?」
いもさく
「んだ♪んだ~♪
おらもそれがずっと気になってただぁ~~~♪
イノシシおじさん教えてだぁ~♪」
猪狩丸
「おいおい・・・
わしの名前は・・・
イノシシおじさんではないぞ・・・?
ちゃ~んとホントの名前で呼んでもらえると・・・
有難いんじゃがのう~・・・」
そうたろう
「猪狩丸おじさん!!
これで良いでがんすか~~?」
猪狩丸
「ま・・・
まぁ~えぇ~わい・・・
わしがずっとここにいる訳はのう・・・
こんなおっかねぇ~ツラした親父にすればだなぁ~・・・
ほんっに…情けねぇ~話なんだがや~・・・
おめぇらチビらに話すには・・
ちと恥ずかしいが・・・
笑わずに聞いてくれるかのう~・・」
うり坊
「うんっ!!
いいーよっ!!」
猪狩丸
「おめぇ~ら・・・
こんなおっかねぇ親父のために・・・
親身になってくれるなんてよぉ~・・・
わしはほんに嬉しいぞぉ~・・・
野菜の子どもといえども・・・
おめぇら純粋で可愛えぇ~のう・・・」
たまさぶろう
「可愛いだけじゃねぇんだべ!
お役目としてついた力人が、嫌いな野菜を美味しくべられるようになるまで仲良く一緒に暮らしてやるんだべ!
こうしておいどんとたちは力人をしっかり援護してやらなきゃならねぇんだべ!!」
ぴー助
「ふんっ・・・!
そうだ~!そうだ~!
わてらの役目はすんごいんぞ~~!」
猪狩丸
「ほうなんか~~・・・
おめぇらチビらでも・・・
色々役目を果たさんといけん仕事があったりと大変なんじゃのう~~・・・
まだ子どもと思い・・・
つい軽く見てしまったわい・・・
ほんにすまなんだなぁ~・・・」
うり坊
「ねぇ・・・
猪狩丸おじさん!!
おいらたちに何でも話してよ!!」
そうたろう
「わいらに出来る事があったら…
喜んで力になるでがんすよ~~♪」
たまさぶろう
「相撲が大好きな者同士じゃべ!
遠慮せんで何でも話すんだべ!!
おいどんも、猪狩丸おじさんの力になるだべさ!!」
ぴー助
「ふ・・・ふんっ・・・!
面倒じゃのう・・・!」
そうたろう
「ぴー助…
そんな事言っちゃダメでがんすよ!」
いもさく
「おらたち・・・
猪狩丸おじさんのお話・・・
みんなで一緒に聞いてあげるだぁ~♪」
おやちゃいぼうずのみんなは・・・
平岩に腰掛けている猪狩丸おじさんの前に集まり・・・
話を聞いてみる事にしました・・・
猪狩丸おじさんになは・・・
何やら深い事情があるようです・・・
あれあれあれ~~・・・
物語はまだまだ続きそう~・・・
それではみんな!
また次回!!
おやちゃい村で遊ぼうね!!
(終わり)
(*たまさぶろうの力人だった「百貫でぶの百太郎」は、著作権の関係で千太朗という別のキャラクターへと変更しています)