どすこい!西郷虎之助の七転八倒!

「西郷虎之助の人生は七転び八起き」の筆者・西郷虎之助でございます、この度Yahoo!ブログからようやく移行致しました、初めての方も、これまでお馴染みだった方も含め、新境地でお楽しみ頂けたら幸いです、どうぞこれからも意地っぱりで泣きベソ坊主な「虎之助」をどうぞ宜しくお願い致します。

虎之助の中学生日記(入学式編3)

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「深山中学校入学式」
虎之助とケン坊は今日晴れ晴れしく入学式を迎える
二人は真新しい学生服に身を包み、今日から入学する深山中学を前に希望と不安で胸を一杯にしていた

深山中学校には3校の小学校の生徒が集結するため、校門は今まで見たこと事がない大人数で賑わっている

二人はこの大人数に圧倒されながらも、これから始まる入学式と中学生活に想像以上の緊張を覚えながらも重い足取りを進めていった

しかし、虎之助は緊張からか朝から何度も急激な尿意を催してしまい、学校に到着してからも再びトイレに走るのであった

トイレに走った虎之助をよそに、ケン坊は入学式案内書のプリントを見ながらクラス表の確認を急ぐため南校舎へと向かう

ケン坊は、1年生の教室の前に張られているクラスを、ドキドキしながら確認していった、それと同時に相撲の稽古仲間とも顔を会わせる事になった

太「オッス!ケン坊!」

ケン坊「おう!太!今日から一緒の学校だな!」

太「ありゃ?相棒の赤鬼くんの西郷は?」

ケン坊「あぁ~…、虎助ならオシッコだよ、朝から何度も何度も行ってるんだ」

太「あははは!西郷は汗かきベソかきションベンかき!水分出しまくりだな!」

ケン坊「まぁそんな事よりさ、太は何組だったん?」

太「おいおい!まだ見てないのかよ、もう入学式はじまるぞ、ケン坊と西郷は俺と同じ4組だぜ!!あと剛と幸信に照彦、さらに正次郎も同じだ!相撲やるヤツばっかしだな!ははは!」

ケン坊「虎助と一緒かぁ~…良かった!まぁ探す手間が省けたよ…」

太「もうみんな整列してるぜ!早く4組の教室いこうや」

ケン坊「うん…虎助まだかなぁ~…早く戻って来ないかなぁ…」

二人は慣れた会話を交わしながら4組の教室へ向かう、ケン坊は太に背中を押されながらも虎之助の事がが心配でならなかった

二人は4組の教室へ向かうと、他の相撲の稽古仲間がケン坊に声をかける

正次郎「おうおう!ケン太の大将がきなはったぞ!わはははは!」

照彦「ケン坊おっせーな!糞でもしてたんかいな?」

剛「あれ森山?いつも一緒の西郷は?」

幸信「西郷くんと健太郎くん一緒のクラスだよ、二人共仲良しだから良かったね」

正次郎と照彦は道場の大将格なので威勢が強い、それに対して剛と幸信は弟格のせいかおっとりしている」
一方、太は正次郎と照彦にひっつく小判鮫的な存在にあたる

ケン坊「よう!なんかこうして顔会わせるの道場以外無いから変な感じだな」

正次郎「おい!虎はどうした虎は!泣きべそ西郷虎之助くんはどうしたんや?わはははは!」

ケン坊「トイレだよ、朝からオシッコが近いんだ」

照彦「あはははは!なんか年寄りみたいだな~!しっかし入学式は3時間もあるのに我慢出来るのか!?」

ケン坊「たぶん出来ない…担任の先生に相談しようと思うんだ…」

幸信「でも担任の先生はもう体育館に行ってるよ」

剛「森山、西郷はまだトイレから戻らないの?」

太「ションベンにしたらちぃ~とばかり長すぎるんじゃないんか?こりゃ~もしかして?」

ケン坊「うん…おっそいなぁ~…虎助のやつ…何やってんだよ~…まさか間に合わなかったんじゃないだろうなぁ…」

ケン坊は今だトイレから戻らない虎之助の事が心配でたまらず、入学式よりもそちらの方に緊張が走る…

そうこうしているうちに、教頭先生が来て「新入生の皆さん!まもなく式が始まりますよー!クラス表に表記されている出席順に整列して、速やかに体育館の入場口へ向かってください!」
とメガホンを使って大きな声で言い放つ

それを聞いた生徒達はぞろぞろと整列し、体育館へと進んでいく

正次郎「さぁ並ぶぞー!みんな集まれよー!」

照彦「あーあ、かったるいなぁー、入学式とか窮屈だから嫌いなんだよな、校長の話は長いしよ」

剛「えぇ!西郷まだ来ないの!?もう入学式始まっちゃうよ!」

幸信「どうしよぅ、なんか僕も緊張してきた、入学式の途中でトイレ行きたくなったらいけないから今のうちにもう一回行っとこ…」

太「あいつ!どうすんだよ!もうみんな体育館行ってるぞ!おいケン坊!」

ケン坊「しょうがないなぁ~…俺ちょっと探して来る!」

ケン坊がそう言って列を離れようとした時、今にも泣き出しそうな不安の表情で廊下横の階段を走って登ってきた虎之助がついに姿を表した

ケン坊「虎助!おい!虎助!こっちこっち!」

ケン坊は右手を挙げて虎之助を大きな声で呼んだ

それに気づいた虎之助は安堵の表情を浮かべてケン坊の元へ走って来る

虎之助「ケ…ハァハァ…ケン坊…俺のクラス…ハァハァ…何組か教えて…ハァハァ…」

虎之助は走って来たせいか体全身で息をきらしながらもケン坊に聞いてきた

ケン坊「俺と一緒だよ!同じ4組だ!」

虎之助「お、同じ!?…ハァハァ…あ、はぁ…良かったぁ~…ハァハァ…」

ケン坊にそう言われて虎之助は、同じクラスの生徒を呼吸を落ち着かせながら見上げた

そこには見慣れた相撲の稽古仲間達が待ち構えたかのように虎之助の方を見る

正次郎「おう!虎!ワシや!ちゃんとションベンしてきたか!わはははは!今日から一緒だ!ヨロシクな!」

照彦「おす!西郷!俺も一緒だぜぇ~!それにしてもションベン長かったなぁ~!実は糞してたろ!はははは!」

太「よう!赤鬼西郷!朝から何回もションベンが出るんだってな!あははは!!入学式3時間あるけど大丈夫かよ!」

大将格の稽古仲間に笑われながらションベンの事をヤジられ、虎之助は顔を真っ赤にした

虎之助「なんだよ!ケン坊!俺がさっきまでトイレ行ってた事とかまで全部しゃべったのかよ!」

虎之助はケン坊に赤い顔で攻め立てた

ケン坊「だって本当の事なんだからしょうがないだろ!虎助、体育館へ行ったら担任の先生にちゃんと言った方がいいよ!」

剛「よ!西郷、担任の先生、林田茂って男の先生だったよ、怖い先生じゃなかったらいいね…」
幸信「おはよう、西郷くん!僕達もどんな先生かまだ分からないから他の先生に教えてもらうといいよ」

遅れておっとり型の二人も虎之助に話しかける

虎之助「な!なんだよ!ケン坊!剛と幸信にまで話したなぁっ!」

虎之助は再びケン坊をさらに剣幕たてて攻め立てる、そして自分の平常を装いながら

虎之助「も…もう平気だいっ!大丈夫に決まってるだろ!さすがにこれだけションベン出したらもう出ないよ!」

虎之助はみんなに聞こえるかように強がりながらケン坊に良い放った

ケン坊「ダメだよっ!!今日の虎助オシッコの回数多すぎ!入学式の途中で絶対我慢出来なくなるから先生に相談しないと後で大変な事になるよ!」

ケン坊はまた人が変わったように真剣な顔つきで怒り出し、虎之助に強く攻め返した

虎之助「やめろよ!恥ずかしいな!みんなに聞こえるだろ!もう中学生なんだから大丈夫だよ!」

虎之助はさらに剣幕たててケン坊に怒りながら言い放つ

ケン坊「虎助…!お前……、な、なんだよっ!せっかく人が心配してるのに!
だったら勝手にしろや!俺もう知らないからな!」

ケン坊は言うことを聞かない虎之助にとうとう堪忍袋の紐が切れ、大声で虎之助に怒りをぶつけた

正次郎「おらおら!お前ら喧嘩すんなよ!他のみんなが怖がってるだろ!」

他の生徒が二人の喧嘩にざわざわしだす、正次郎の一喝でそれは治まりはしたものの二人はまだ怒りで興奮しているため、今にも取っ組み合いの喧嘩が始まりそうな雰囲気だった

照彦「喧嘩はあかんよ!喧嘩は!勝負の続きは土俵の中でつけるべし!」

太「そうやそうや!正々堂々土俵の中で勝負するのが
男ってもんよ!」

剛「まぁまぁ、落ち着きなさいなお二人さん、もうすぐ体育館に着きますよ~」

幸信「二人はいつも喧嘩するけど、すぐ仲直りするから大丈夫、喧嘩するほど仲が良いって言うもんね」

相撲仲間に宥められながら二人は落ち着きを取り戻そうとした

ケン坊「ふんっ!虎助の出席番号は10番だよ!早く前に行けよ!バーカ!」

虎之助「ふんっ!そりゃあ悪かったですなっ!」

二人はまだ機嫌が戻らないまま捨て台詞のようにお互いにそう言い放った

新入生の皆はそれぞれのクラスごとに体育館の入場口へと整列して入学式の入門の時を待ち構えている

これから晴れ晴れしく入学式を迎える新入生たち

新たな門出が始まるスタートラインに立つ今この時

虎之助に人生最大の悲劇が訪れてしまうとは…
当の本人にも知るよしもなかった

「深山中学校入学式!新入生!入場!」

体育館の中からマイクを使った先生の力強い声が入門口まで響き渡ってくる

その合図の後から新入生達は足を揃えるように前へと進み始めた…

…人生にはいろんな困難が立ちはだかる、笑ったり喜んだりする時もあれば、怒ったり泣いたりする事だって…、時には悲しんだり嘆いたりする事もある、人はそれらを経験して成長していく…

しかし分かっているものの、どうしても消してしまいたい過去だってあるものだ…
それは今
思い返しても私の頭に浮かび心の傷として残っている…

「私はあの出来事を一生忘れない…」